運動すると血漿中のクラステリンによって脳の炎症が抑えられ、認知機能がUPする
運動の認知機能等に対する効果については、このブログでも何度かとりあげてきました。 運動がアルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)などの変性疾患病理を抑えたり神経新生を促したりして、認知機能を保つ効果がある事については多くのエビデンスがありますが、 そのメカニズムは一つではなく、複数の機序がシナジー的に効力を発揮していると考えられます。 その中でも […]
運動の認知機能等に対する効果については、このブログでも何度かとりあげてきました。 運動がアルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)などの変性疾患病理を抑えたり神経新生を促したりして、認知機能を保つ効果がある事については多くのエビデンスがありますが、 そのメカニズムは一つではなく、複数の機序がシナジー的に効力を発揮していると考えられます。 その中でも […]
私が大学生の頃、よく一夜漬けで勉強し、後から後悔していました。 テスト初日はなんとかなっても、2日目、3日目となるとそうはいかない…… 後に「記憶の固定にはその日の睡眠が重要」ということを知り、「やっぱりなー」と腑に落ちたのを覚えています。 今回、京都大学の林先生らの研究グループは、 「記憶の固定の各段階において重要な脳部位が、時間的解剖学的に異なる」 ということを明らかにしました。 […]
先日、「アデノ随伴ウイルスベクターを使ってNeuroD1を過剰発現させ、アストロサイトをニューロンに形質転換する」という論文の間違いについて取り上げましたが [1]、 今回は「レンチウイルスで同じNeuroD1を過剰発現し、ミクログリアをニューロンに形質転換する」という論文についても疑問を呈する論文が出ました [2]。 グリアを神経に変えて病気を治す…という論文には間違いがあったらしいーその2 こ […]
先日、ミクログリアがタウの伝播に一役買っているかも…という内容の論文 [1] を紹介しましたが、 今回はアミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)の話。 ドイツ・Freiburg大学の Dr. Meyer-Luehmann の研究グループは、 「野生型マウスのニューロンをAPPマウスに移植したら、移植したニューロンにAβ病理が現れ、その現象にミクログリアが関与していた」 という内容の研究内容 […]
脳のお掃除屋さんのミクログリア。 アミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)とかタウとか、脳内で蓄積すると困るタンパク達を貪食して除去しようとしてくれていますが、反面、活性化したミクログリアが炎症性サイトカインを出して現場を荒らしたり、貪食してほしくないモノまで貪食したりと、脳内環境において二面性を示しています。 活性化ミクログリアの広がりがタウ伝播 [1] やシナプス障害 [2]、タウが蓄 […]
睡眠不足とアルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)との関係については、以前から研究されており [1, 2]、 このブログでも以前、 「睡眠不足になるとアミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)やタウが脳内に溜まりやすくなる」 という内容の報告を取り上げました [3]。 逆に、「ADになると睡眠の質が落ちる」という事も報告されており、ADのモデルマウス達( […]
新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)の脳内感染等についてはこのブログでも何度か取り上げましたが、 現在、新型コロナウイルス感染後遺症の一つ「ブレインフォグ(brain fog)」に悩まされている人が多いという現状を考えると、 やはりSARS-Cov-2は脳内に感染し、障害を起こす可能性がある、と考えた方がよさそうです。 今回、ドイツ・リューベック大学の Dr. Schwaniger らの研究 […]
パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)の原因には、遺伝要因の他に環境要因も示唆されています [1, 2]。 有名なのは、農薬の一種であるロテノン(rotenone)や、合成麻薬の成分の一つである MPTP(1-Methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)が典型的なパーキンソニズムをきたす、というもので、 これらはミトコ […]
「余計な事に気をとられず、タスクフォーカスしたい!」と思っているのは、私だけじゃないはず… 世の中にはタスクフォーカスのトレーニング法の本なども多数出版されており、需要は多いんじゃないかと思います。 時々「今日は集中できたー」と思う事があり、そんな時はちょっと賢くなったような気になりますが、 実際のところ、(少なくともマウスでは)賢くなる方向に神経回路が変化するみたいです。 今回、ア […]
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1997年、「狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzheldt-Jakob disease, CJD)ではプリオン蛋白が細胞間を伝播して病態を広げていく」という事を見出した Dr. Prusiner がノーベル賞を受賞しました。 時は流れて、今ではアルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)やパーキンソン病(Parkinson’s disea […]
Accelerated Approval Pathway で FDA の承認を受けたアデュカヌマブ。 この動きに乗って、その他のAβ抗体(レカネマブ(エーザイ/バイオジェン)、ドナネマブ(イーライリリー)、ガンテネルマブ(ロシュ)も、次々と申請済みもしくは申請準備を進めています。 アデュカヌマブの承認の根拠となった 第3相臨床試験は、EMERGEとENGAGEですが [1]、 Aβ抗体治療の副作用 […]
先日に引き続き、ミクログリアのイメージングのお話。 アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の診断をつける上で、画像データは欠かせませんが、だいたい single-photon emission computerized tomography (SPECT) か、2-Deoxy-2-[18F]fluoro-D-glucose positron emission […]
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の代表的な病理といえば、 アミロイドβ(Amyloid beta, Aβ) タウ 神経炎症 血管病変 神経障害 などが挙げられるかと思います。 これらの変化をリアルタイムで見る方法として、AβやタウのPETトレーサーが開発されてきました。 そして、最近は神経炎症の変化を追うため、活性化ミクログリアをターゲットとしたトレー […]
以前このブログで、「グリアに遺伝子改変操作を加えて機能性ニューロンに変化させる」という内容の論文を紹介しました。 上記2つはマウスのPtbp1をノックダウンしてアストロサイトをニューロンに変える [1, 2] という方法 でしたが、 他にもNeuroD1を過剰発現させてニューロンに変える [3, 4, 5] という方法もあります。 両者とも主に中国からの報告が多く、「最近の中国は凄いな」と思ってい […]
クライオ電子顕微鏡法(cryo-electron microscopy, cryo-EM)でのフィラメント構造解析については、このブログでも何回かとりあげました。 主に、イギリス・MRC分子生物学研究所の Dr. Goedert、Dr. Scheres らの研究グループからの報告が多く、ここ数年の間にタウオパチーやシヌクレイノパチーのフィラメント構造を次々と解明してきました。 今回彼 […]
ミクログリアは脳内のお掃除屋さんで、アミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)、タウ、αシヌクレイン(α-synuclein, α-syn)など、神経変性疾患に関わる様々な病的蛋白を貪食・分解・除去してくれています。 でも、ミクリグリアにだってキャパシティがあり、あまりにたくさんの病的蛋白を処理しなければならないと、お腹いっぱいですぐにキャパ超えしてしまいます。 そんな時、ミクログリア達はど […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の90%は孤発性で、リスク遺伝子多型に関しては今までにも何度かゲノムワイド関連解析 (genome-wide association study, GWAS) が行われてきました。 今までで一番大きいGWAS解析では、71,880症例のAD群と383,378症例のコントロール群のGWAS解析で、29のリスク多型を報告 […]
家族性アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の殆どはAβ産生系の遺伝子に変異があり、10%はアミロイド前駆蛋白 (Amyloid precursor protein, APP) の遺伝子に変異が報告されています。 今回、スウェーデン・Uppsala大学の Dr. Ingelsson らの研究グループは、新たな変異として、APPのUppsala変異を報告し […]
筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS) は、主に上位下位の運動神経が障害されていく疾患で、約10%が家族性、90%が孤発性に発症します。 ALSで同定されているものの中で最も多い遺伝子変異は C9orf72の6塩基反復配列の伸長で、家族性ALSの約40%、孤発性ALSの約8%に認められています。 C9orf72がALSを発症する機序の一つとして […]
運動がアルツハイマー病などの認知症予防に効果的であることは、このブログでも何度かとりあげました。 機序的にも疫学的にも、運動の認知機能に対するポジティブな効果は疑いようがないんじゃないかと思います。 でも運動の効果って、年齢や性別、基礎疾患などによって様々なような気がしますね。 今回、アメリカ・Rush 大学の Dr Desai らの研究グループは、血漿中のタウをバイオマーカーとして、運動の有無や […]
COVID-19 で自宅待機が長らく続き、精神的に辛い日々を過ごされた方は多いんじゃないかと思います。 外を出歩けず、対面で人と話せず……社会的に隔離されたように感じていたかもしれません。 アメリカでは、COVID-19 で自宅待機が続く間、精神科受診が必要な人達が 30% 以上上昇したというニュースもありました。 実際社会から孤立すると、脳内ではどのような変化が起こるのでしょうか? 今回、アメリ […]
睡眠時、海馬で観察される脳波の一つにリップル波(sharp wave ripple)があり、学習直後の睡眠時に一過性に上昇して記憶の定着に関与することが知られています [1]。 また一方で、海馬は視床下部とのコネクションも強く、ホルモン調節にも関与しているのではないかと言われているそうです [2]。 今回、アメリカ・ニューヨーク大学の Dr. Tingley, Dr. Buzsáki らの研究グル […]
神経変性疾患分野では、老化細胞 (senescent cells) への注目が集まっていると思います。 以前、老化したグリアを除去するとモデルマウスのタウ病理と認知機能が改善したという論文を紹介しましたが、 今回は、そのメカニズムに注目した論文。 アメリカ・テキサス大学の Dr. Kayed らの研究グループは、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) や […]
ミクログリアが神経シナプスの剪定を行い、シナプスの再編や可塑性に重要な役割を果たしている事は周知の事実ですが、 その働きについては主に興奮性シナプスについて研究されてきました [1, 2]。 ただ、最近明らかになってきたように、ミクログリアには非常に広い多様性があり、それぞれのサブタイプによって働きが大きく異なります [3, 4]。 今回、アメリカ・ハーバード大学の Dr. Fishell らの研 […]
脳卒中や筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS) などの疾患で、手足も動かせず、言葉も発せられない患者さん達は、自分の考えていることを周りに伝えることができません。 私が患者さんの立場だったら、 「今思っていることをテレパシーで伝えられたら」 と歯痒い気持ちでいっぱいになると思います。 今回、アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ […]
TREM2 (triggering receptor expressed on myeloid cell 2) は、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) のリスク遺伝子の一つで、 TREM2 の変異をヘテロで持つ人達は、low-of-function で約3倍 AD になりやすいといわれています [1, 2]。 また TREM2 ノックアウトマウスでは、 […]
抗 アミロイドβ 抗体ドナネマブ (Donanemab, LY3002813) の第2相臨床試験の結果を受けて、 イーライリリー (Eli Lilly) とバナー・アルツハイマー病研究所(Banner Alzheimer’s Institute)がドナネマブの第3相試験を行うことを発表しました。 対象者は、 「認知症を発症していないけれども、血漿 p-tau217 が上昇 […]
パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) と多系統萎縮症 (Multiple system atrophy, MSA) の主体病理は α-シヌクレイン (α-synuclein, α-syn) の凝集体で、 その凝集体の構造の違いが、病理の脳内分布や臨床症状の違いに影響を与えている、という考えが一般的になっています [1] 。 以前、ベルギーの Dr. Bae […]
高齢になればなるほどアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) に罹患する人たちの数は増えていきますが、 同じ年齢でも AD になる人とならない人がいます(どんな病気でもそうですが。) その原因を究明すべく、研究者たちは日夜頑張っているわけですが、 今回、アメリカ・マウントサイナイ医科大学の Dr. Tu らの研究グループは、 AD の人たち AD じゃない人 […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) などの神経変性疾患において、ニューロンだけでなくグリアやサイトカインの役割も次々と明らかになってきています [1]。 インターロイキン3 (Interleukin-3, IL-3) は、炎症や自己免疫疾患との関わりが強いサイトカインですが [2]、 AD のリスク [3, 4, 5, 6] や重症度 [7, 8] と […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) と脂質異常症の関係は以前から報告されており、Low-density lipoproteins (LDL) とアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) 、タウとの関係も研究されてきました。 ADと脂質異常の関係で最も頭に浮かんでくるタンパクはアポリポタンパクE (Apolipoprotein E, APOE) […]
外傷性脳損傷 (traumatic brain injury, TBI) は、外傷による神経障害を指し、特に後にタウやTDP-43が異常凝集し、神経変性が起こる慢性外傷性脳症候群 (chronic traumatic encephalopathy, CTE) が社会問題となっています。 外傷後にどのように神経変性が起こるのかについては、様々なメカニズムが推測されており、治療ターゲットとしていくつか […]
APOE4は、孤発性アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の最大のリスク多型ですが、 動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクも高く、血液脳関門(blood-brain barrier, BBB)など、血管障害のメカニズムについても研究が進んでいます。 アメリカ・カリフォルニア大学の Dr. Zlokovic らの研究グループは、以前、 […]
筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS) は、運動神経変性を主とする神経変性疾患ですが、 90%が孤発性で、家族性ALSは10%くらいと言われています。 その家族性ALSの原因遺伝子として最初に同定されたのは Cu/Zn superoxide dismutase (SOD1) 変異です。 ALSの病態機序はまだ完全には解明されておら […]
家族性アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の患者さんを対象に、薬剤の治療効果を観察する DIAN-TU 研究で、 ガンテネルマブ (Gantenerumab) ソラネズマブ (Solanezumab) の4-7年間の観察結果が報告されました [1]。 結果だけみるとネガティブなんですが、バイオマーカーは下がったところもあるよう……アデュカヌマブと似てま […]