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一人抄読会

髄膜リンパ管のドレナージ不全が、パーキンソン病の病態に関与する

長らく、脳にはリンパ管が存在しないと言われていましたが、 1987年、脳の表層にある髄膜には「リンパ管がある」と報告されていました [1]。 その後この発見はしばらく歴史に埋もれていましたが、 40年程経った2013年以降、「やっぱり髄膜にリンパ管がある」という再発見が報告され [2, 3, 4]、業界を沸かせました。   「リンパ管がある」というのは、異常タンパクの凝集が大問題となる神 […]

コロナウイルスは脳にも感染する?

先日のAlzforumで、コロナウイルスの脳内感染についてまとめられていたので、シェア。 内容としては、大きく2つ。   コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、脳にも感染するか COVID19に感染後、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) 等の認知症を発症するか コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、脳にも感染するか SARS-CoV- […]

GLS1を抑制すると老化細胞が死滅し、体が健康になる

このブログでも何度か取り上げましたが、 老化細胞(senescent cells)の除去(senolysis)は、アンチエイジングだけでなく、加齢に伴う様々な疾患の予防・治療ターゲットとして注目されています [1, 2]。 今回、東京大学の中西先生達の研究グループは、老化細胞の生命維持に関わる遺伝子、glutaminase 1 (GLS1) を同定し、その阻害薬で老化細胞が死滅し、体の組織が健康に […]

エクソソームで運ばれたタウは、透過性の亢進したリソソームから細胞質へ漏出し、凝集体のシードとなる

タウオパチ-の脳内では、 「異常に凝集したタウが細胞間を伝播して、伝播先の内因性タウを凝集させ、どんどんタウ凝集体が広がっていく」 と考えられていますが、 その細胞間を伝播するルートには、 直接膜を透過 マクロピノサイト-シス 液相エンドサイトーシス レセプター介在エンドサイトーシス ナノチューブ エクソソーム 等、様々なルートが報告されています [1, 2]。   オーストリア・Que […]

赤ちゃんが生まれた瞬間に呼吸を開始するメカニズムーSIDSの原因解明の緒となるか?

お母さんのお腹の中では、赤ちゃんは呼吸をしていませんが、 この世に出てきた瞬間に、「おぎゃー」と泣いて呼吸を開始することになります。 アメリカ・ヴァージニア大学の Dr Bayliss らの研究グループは、このメカニズムの鍵となる神経核および神経伝達物質について調べました。 赤ちゃんが生まれた瞬間に呼吸を開始するメカニズム 著者らは、橋から延髄にかけて存在する神経核で、呼吸調節を担っている、後台形 […]

Aβ オリゴマーがmGluR5に結合するのは、男性だけ?

アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) のオリゴマーは毒性が強く、シナプス障害等、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の神経変性に関与すると言われています。 一方、グルタミン酸は、学習や記憶に欠かせない分子ですが、そのレセプター Gaq-coupled metabotropic glutamate receptor 5 (mGluR5) は […]

ADタウの翻訳後修飾について網羅的に解析

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の主要病理の一つに、 「過剰にリン酸化したタウが凝集体を作り、それが脳内を広がっていく」 事はよく言われていますが、 タウは通常の脳でも、多くの部位がリン酸化しており、 他にも、ユビキチン化、アセチル化、メチル化、SUMO化、ニトロ化、糖化 etc. 様々な翻訳後修飾(post-translational modific […]

Alzforum: 2020年のまとめと2021年の展望

アルツハイマー病 (Alzheimier’s disease, AD) 等の変性疾患を研究する人達ならほぼほぼお世話になっているであろう、Alzforum。 今年も例年通り、2020年のまとめと、2021年の展望を発表しました。 2020年を振り返って 昨年は、COVID-19の影響で、AD患者さんは、社会的隔離による認知症症状の悪化に苦しみました。 また、研究者達にも大きな影響を与え […]

2021年 注目の科学(Nature)

Nature誌の ”2020年に注目すべきサイエンスイベント” から。 気候変動問題への取り組み復活 2021年は気候変動問題に対する取り組みの重要な年になりそうとのこと。 世界が注目していたアメリカ大統領選挙は、民主党の Joe Biden氏が勝利し、パリ協定への再加入が約束されました。 今年11月には、イギリス・Glasgow で国連の気候変動対策の会議が開催されます。 各国が、それぞれ地球温 […]

2020年 今年のブレイクスルー研究(Science)

年の瀬、各誌この1年のブレイクスルーや来年の展望etc.をまとめています。 今回は、Science誌の ”2020 Breakthrough of the Year” から。 待望のワクチン 今年の Breakthrough に選ばれたのは、COVID19ワクチンでした。 2019年12月31日、中国の武漢で、謎のクラスター肺炎が発生していると報告 2020年1月8日、中国の研究者が肺炎の原因ウイ […]

TDP43はAβのフィブリル化を阻害して、AD病理を増悪させる

TAR DNA-binding protein 43 (TDP-43) は、筋萎縮性側索硬化症 (amyotrophic lateral sclerosis, ALS) や前頭側頭葉変性症(Frontotemporal lobar degeneration, FTLD)内に見られる凝集蛋白として同定されました [1] が、 その後、高齢者の脳内に凝集体として高率に存在することが明らかとなり、それら […]

脳動脈瘤のリスク遺伝子

世界人口の3%の人達は、脳血管に動脈瘤を持つと言われています [1]。 未破裂動脈瘤の多くはサイズが3-4mm以下と非常に小さく、このような動脈瘤が破裂することは非常に稀(0-0.4%)と言われています [2]。 しかしながら、サイズが大きくなると破裂の危険性が高まり、破裂すると、くも膜下出血の原因となります。 くも膜下出血は、生命に関わり、命が助かった場合でも重い後遺症が残ることがあり、社会復帰 […]

歯状回アストロサイトに蓄積したタウの、ニューロンへの影響

タウオパチーに分類される神経変性疾患 アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD) 進行性核上性麻痺(Progressive supranuclear palsy, PSP) 大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration, CBD) 球状グリア性タウオパチー(globular glial tauopathy, GGT) 前頭側頭葉変性症 […]

中年期の拡張期高血圧は晩年の脳白質障害に影響する

高血圧は、脳心血管系に重大なダメージを与えることは言う前でもありませんが、高血圧自体に症状はなく、 急性期高血圧でなければ、脳心血管系の破綻→重篤な疾患(脳卒中や心筋梗塞 etc.)となるまでには数十年の経過がかかるので、 「気にはなるけれども……」 と言いながら放置してしまう人もいるようです。   血圧には、収縮期血圧と拡張期血圧とありますが、 「血圧○○mmHg以上」というときには、 […]

毎日のちょっとした身体的活動で心が健康になる

運動が、身体だけでなく、脳機能や精神の健康維持にも欠かせないのは周知の事実ですが、実際、どれくらいの運動で効果があるのでしょうか? ドイツ・ハイゼンベルグ大学のDr. Meyer-Lindenbergらの研究グループは、毎日の歩行や階段昇降など、ちょっとした身体的活動だけで、精神状態がよくなる事を、報告しました [1]。 毎日のちょっとした身体的活動で心が健康になる 著者らは、18–28歳の参加者 […]

アデュカヌマブの効果はずっと続く?

先月6日に行われたFDAのアデュカヌマブミーティングではだいぶ旗色が悪く、FDA承認は難しそうな印象ですが、 少なくともマウス脳内では成績優秀のようです。 今回、ドイツ・Tübingen大学のDr. Juckerらの研究グループは、アミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)プラークができる初期の段階からアデュカヌマブを接種すると、 晩年のAβプラーク病理形成が抑えられる、という内容を報告しま […]

GGA3欠損でBACE1が軸索内に蓄積する

GGA3は、Golgi-localized, gamma adaptin ear-containing, ARF-binding (GGA) ファミリーの一つで、トランス・ゴルジネットワーク–リソソーム間や、エンドソーム–リソソーム間のタンパク輸送等に重要な役割を果たすタンパクとして知られています。 アメリカ・タフツ大学のDr. Tescoらの研究グループは、以前、 マウスの神経細胞でGga3を欠 […]

食道のレヴィ病理はLBDの進行と相関が高い

パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD) 認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson’s disease dementia, PDD) レヴィ(Lewy)小体型認知症(Dementia with Lewy bodies, DLB) などは、 αシヌクレイン(α-synuclein, α-syn)の凝集を主成分とした、 Lewy小体(Lewy bo […]

COVID19に最も感染しやすい場所はどこ?

COVID19のワクチンの中間報告で盛り上がりをみせるアメリカですが、新規感染者数はうなぎのぼり。 マスク・隔離・長期間の我慢が苦手な人達は、 「もう無理!」 と、公共の場に集まって食事したり遊んだりしています。 また、経済的に困窮してなんとか働こうとする人達もいるので、 クラスターが追えないくらいに、再び感染が広がっています。   今回、アメリカ・スタンフォード大学のDr. Lesko […]

妊娠中のストレスは胎児の脳の発達に影響する

「妊娠中に過度のストレスにさらされると、お腹の赤ちゃんの発育に良くない」 と、よく言われますが…… イギリス・エジンバラ大学のDr. Boardmanらの研究グループは、妊娠中のお母さんのストレスと子供の脳の発育について科学的に検証しました [1]。 妊娠中のストレスは胎児の脳の発達に影響する 著者らは、78組の母子を対象に、 母親の妊娠中の毛髪に含まれるコルチゾールの量(hair cortiso […]

αシヌクレイン凝集形成の多様性について真面目に検証

αシヌクレイン(α-synuclein, α-syn)は、パーキンソン病、レビィ小体型認知症、多系統萎縮症など、シヌクレイノパチーの主要病理タンパクとして研究が進められており、 α-syn凝集体の多様性が疾患や病理の多様性を生んでいる、という考えが主流となっています。 α-synは、タウetc.と違って、ただ振盪させているだけでモノマーが勝手に凝集していくのですが、 今までは、その時のバッファーの […]

ADリスク遺伝子多型を持つ人は若い頃から海馬が小さくなる

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)には、これまで多くのリスク遺伝子が報告されており、特にAPOE4は最も強力なリスク多型と言われています。 ADのリスク遺伝子ランキング(Alzform/TopResults.asp [1] より) # Gene Polymorphism Ethnicity OR (95% CI) P-value 1 APOE APOE_ […]

ヒトの野生型APP遺伝子ノックインマウス

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の2大病理タンパクであるアミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)と過リン酸化タウ。 アミロイド仮説の提唱とともに、多くの変異アミロイド前駆体蛋白質(Amyloid precursor protein, APP)やプレセニリン (Presenilin, PSEN) 遺伝子の過剰発現マウスが開発され、AD研究に重要な […]

そのオリゴマー抗体の特異度、大丈夫?

以前、A53T変異の入ったBAC-SNCA-Tgマウスを解析していた事があり、 その際、α-シヌクレイン(α-syn)のオリゴマー抗体(SynO1)とフィブリル抗体(SynF2)を使って、 α-synのオリゴマーが特定の部位で増加している、 という研究結果を報告しましたが…   その時のアッセイで、 SynO1もSynF2も、ある程度まではモノマーに結合するなー SynO1はフィブリルに […]

Tmem106bの完全欠損はFTLD-GRNマウスのフェノタイプを増悪させる

今回は、前頭側頭葉変性症(Frontotemporal lobar degeneration, FTLD)の約半数を占める 「TDP43凝集体を伴うFTLD(FTLD-TDP)」 …に深く関与する、 ProgranulinとTMEM106bについてのお話。 研究の背景 Progranulin Progranulin(PGRN)は成長因子の一種であり、 細胞増殖、腫瘍形成、創傷治癒、発達、炎症etc […]

Aβプラークの新しいタイプーcoarse-grained plaqueー

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の2大病理といえば、 アミロイドβ(Aβ)プラークと神経原線維変化(NFT)ですが、 Aβプラークには、その形態や構成Aβによって、いくつかの種類に分類されていました [1]。 Fibrillar plaques : 30–100 µm, Aβ+, 認知機能との相関あり compact / cored-only plaq […]

LRRK2はミクログリアの神経毒性を惹起する

α-シヌクレイン(α-synuclein, α-syn) は、ミクログリアを活性化し、神経障害に関与する事が知られていますが、その詳細なメカニズムについては議論が続いています。 アメリカNIH, NIAのDr. Kim, Dr. Masliahらの研究グループは、 α-synのオリゴマーがToll-like receptro2 (TLR2) を介してミクログリアを活性化し [1]、 nuclear […]

Aβ抗体の持つ、Aβ凝集阻害機能について検証

1999年にSchenkらの研究グループがアミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)抗体による、ADモデルマウス脳内のAβプラーク消失と認知機能改善を報告 [1] して以来、現在まで多くのAβ抗体が開発され、臨床応用に向けて様々な努力が続けられています。 Aβ抗体のAβ除去メカニズムについては、諸説ありますが、現在ではミクログリアの貪食作用を介したAβ除去説が一番に考えられています。 他には […]

Single-Nucleus RNAシークエンスの落とし穴

脳内での細胞達の動向をみるために、シングルセルRNAシークエンス(single-cell RNA-Seq, scRNA-Seq)が注目され、 これまで、マウス脳内やヒト脳内での各細胞のheterogeneityについて多数報告されてきました [1, 2, 3] 。 特にミクログリアでは、今までマウスとヒトとでだいぶプロファイルが違うと言われてきており [4]、 ミクログリアを扱う同僚の一人は、 「 […]

認知機能低下の一番の要因は混合病理

心機能障害、糖尿病 (diabetes mellitus, DM)、心血管障害 (cardiovascular disease, CaVD) は、アルツハイマー病病理(Alzheimer’s disease neuropathologic change, ADNC)を持つ患者の認知機能低下の要因として知られている。 今回、スウェーデン・Uppsala大学病院のDr. IrinaとDr. […]

VCPがタウ凝集体を分解する ー “vacuolar tauopathy”

valosin-containing protein (VCP) は、全ての真核生物と古細菌などに存在するATPaseで、 ユビキチン-プロテアソーム系(Ubiquitin-proteasome system, UPS) アポトーシス オートファゴソーム形成 etc. 様々なタンパク分解系に関与し、 タンパク複合体、オルガネラ、クロマチンなど、大きなタンパクの分解に関与すると言われています [1] […]

PD遺伝子変異が特発性レム睡眠行動異常に関連するか

レム睡眠行動異常(rapid-eye-movement sleep behavior disorder, RBD)は、レム睡眠期の筋緊張低下が消失し、夢の内容によって実際に体が動いてしまう症状です。 RBDとパーキンソン病(Parkinson disease, PD)関連疾患との関係は強く、 特発性RBD(isolated RBD, iRBD)の発症から10年以上経つと、多くの患者さんがパーキンソ […]

FBXO7のヘテロ変異の組み合わせで家族性若年性PD発症

F-box protein 7 (FBXO7) は、常染色体劣性遺伝型パーキンソニズムの原因遺伝子であるが、そのフェノタイプは様々。   今回、アメリカ・ワシントン大学のDr. Zabetianらの研究グループは、FBXO7に2箇所の変異を持つ、若年性パーキンソニズムを発症した姉妹(onsetはそれぞれ21才と27歳)について報告した。 FBXO7のヘテロ変異の組み合わせで家族性若年性P […]

脳外科手術でアミロイドは伝播するか?

以前、死後脳の下垂体から抽出・精製したヒト由来成長ホルモン(human cadaveric pituritary-derived grouth hormone:c-hGH)投与が原因で、数年~数十年後に脳アミロイドーシスを発症した症例の解析について取り上げました [1, 2]。 他にも、硬膜移植での伝播も報告されています [3, 4] 。   これらの手術は、現在行われていませんが、 医 […]