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Accelerated Approval Pathway で FDA の承認を受けたアデュカヌマブ。

この動きに乗って、その他のAβ抗体(レカネマブ(エーザイ/バイオジェン)、ドナネマブ(イーライリリー)、ガンテネルマブ(ロシュ)も、次々と申請済みもしくは申請準備を進めています。

アデュカヌマブの承認の根拠となった 第3相臨床試験は、EMERGEとENGAGEですが [1]

Aβ抗体治療の副作用の中で最も多いアミロイド関連画像異常(ARIA)を避けるために、厳しい除外項目が設けられていました。

では、この除外項目を患者さん達に当てはめると、実際にどれくらいの患者さんが除外されずにアデュカヌマブの治療を受けられるのでしょうか?

今回、アメリカ・Beth Israel Deaconessメディカルセンターの Dr. Andersonらは、センターを受診した患者さん達にこの除外項目を当てはめるとほとんどの人たちが除外された、と報告しました [2]

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アデュカヌマブを投与してもよい人は驚くほど少ない

彼らは、患者さんを下記3群に分け、それぞれの年齢や既往歴などを、EMERGEとENGAGEの除外項目と照合しました。

  • アルツハイマー病(Alzheimer's disease, AD):1,026,387人
  • AD関連障害(AD and related disorders, ADRDs):2,870,023人
  • 軽度認知機能障害(mild cognitive impairment, MCI):396,251人

除外項目は下記 ▼

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すると、除外項目にひっかかった人たちは、

  • AD:91.0%
  • ADRDs:92.2%
  • MCI:85.5%

ということで、「ほとんどの患者さんはアデュカヌマブ投与を推奨されない」という結果になりました。

Aducanumab-exclusion-2



うーん、病気を治したいと思っても、副作用で逆に病気になったら本末転倒……。

アデュカヌマブについては私の周りではFDA承認の是非に関して否定的な意見が多く、私も「どうだかなー。」と思いながらみています。

まあでもAD治療としては大きな一歩ではありますね。

 

以前 AIRA の副作用が少ない抗体療法についての論文を紹介しましたが、

今後、より副作用が少なく効果の高い薬が承認される事を願っています。

Glossary

ARIA: amyloid-related imaging abnormalities

Aβ抗体を受けている患者さんの脳画像所見として時折認める異常所見。

Aβ抗体療法だけでなく、他の抗体療法でも認める。

無症状の人もいるが、頭痛、意識障害、精神症状などの異常症状をきたす人もいる。

 

ARIAのMRI画像所見は2種類に分類される [11]

  • ARIA-E:血管原性脳浮腫(FLAIR高信号)
  • ARIA-H:微小出血(SWIで低信号スポット)

APOE-ARIA-MRI DiFrancesco et al, Front Neurol, 2015 より引用

 

詳しいメカニズムは明らかになっていないが、ARIA様画像所見は、CAAの所見と非常に似ている事などから、

Aβ抗体による間質のAβ除去

血管周囲のリンパドレナージを介してAβを外に排出しようとする

血管周囲にAβが蓄積(CAA)

血管性脳浮腫や脳内微小出血

という機序が、最も有力な説とされる。

 

ARIAを生じやすい人の特徴として、

  • Aβプラークが多い人
  • CAAの程度が強い人
  • 投与したAβ抗体の量が多い人
  • APOE4を持つ人

というファクターが上げられる。

References

  1. Alexander GC, Emerson S, Kesselheim AS. Evaluation of Aducanumab for Alzheimer Disease: Scientific Evidence and Regulatory Review Involving Efficacy, Safety, and Futility. JAMA. 2021 May 4;325(17):1717-1718. doi: 10.1001/jama.2021.3854. PMID: 33783469.
  2. Anderson TS, Ayanian JZ, Souza J, Landon BE. Representativeness of Participants Eligible to Be Enrolled in Clinical Trials of Aducanumab for Alzheimer Disease Compared With Medicare Beneficiaries With Alzheimer Disease and Mild Cognitive Impairment. JAMA. 2021 Sep 9:e2115286. doi: 10.1001/jama.2021.15286. Epub ahead of print. PMID: 34499725; PMCID: PMC8430904.
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