Klotho-VSヘテロを持つ人達は、Aβ依存的タウの沈着および認知機能低下が少ない。
昨年、寿命に関わる膜タンパク Klotho遺伝子 の、F352V (rs9536314) とC370S (rs9527025) の二つのミスセンス変異をヘテロで持つ人達(Klotho-VShet)はアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) になりにくいという論文を紹介しましたが[1] 、 今回、ドイツ・ミュンヘン大学の Dr. Neiuzel、Dr. Ewe […]
昨年、寿命に関わる膜タンパク Klotho遺伝子 の、F352V (rs9536314) とC370S (rs9527025) の二つのミスセンス変異をヘテロで持つ人達(Klotho-VShet)はアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) になりにくいという論文を紹介しましたが[1] 、 今回、ドイツ・ミュンヘン大学の Dr. Neiuzel、Dr. Ewe […]
「アデュカヌマブ」が初めてのアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) 抗体としてFDAの限定承認を受け、良くも悪くも注目されている Biogen ですが、 もちろん、他のアプローチによるアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) 治療についても続々と薬を開発しており、 どんどん臨床試験を進めています。 先日は、タウ抗体「ゴスラネマブ ( […]
アデュカヌマブのFDA限定承認で注目を集める、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の免疫療法ですが、 もちろん、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) だけでなく、もう一つの AD 主要病理であるタウに対する免疫療法(ワクチン、抗体療法)もどんどん開発され、続々と臨床試験が行われています。 今回、Axon Neuroscience SE社が […]
「頭部外傷 (traumatic brain injury, TBI) 」には、 一回の強い外傷によって生じる頭部外傷 複数回の慢性的な外傷によって生じる脳障害 に分けられます。 後者の中に、「慢性外傷性脳症 (chronic traumatic encephalopathy, CTE) 」も分類されます。 CTE は、複数回の頭部外傷後に進行性の認知機能低下を生じる神経変性疾患です [1]。 ボ […]
アポリポタンパクE (Apolipoprotein E, APOE) は、孤発性アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の最大のリスク多型ですが、その多くはアストロサイトから分泌されます [1]。 以前、アストロサイト由来のAPOEがAD病理に与える影響について取り上げました [2, 3]。 でも、ニューロンから極わずかに分泌されているAPOEも、ADの病 […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) のバイオマーカーは年々進化していっているように感じています。 私が修練医だった頃は、髄液中Aβ42/40比の有用性は報告されていたものの、たいていは神経診察と脳MRI、SPECTやFDG PETくらいで診断していました。 今では、アミロイドPETに加えてタウPETが登場し、近年は髄液中ではなく血漿のリン酸化タウが測定 […]
脳の髄膜リンパ管が “再発見” されてから [1, 2]、神経変性疾患と髄膜リンパ管との関連についての研究が立て続けに報告されています [3, 4, 5]。 それと並行して、髄膜内の免疫系についても注目が集まっているようです (Glossary 参照)。 今回、アメリカ・メイヨー・クリニックの Dr. Mesquita, Dr. Kipnis らの研究グループは、 加齢によ […]
パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) や多系統萎縮症 (Multiple system atrophy, MSA) の主要病理、レヴィ小体やオリゴデンドログリア細胞内嗜銀性封入体 (glial cytoplasmic inclusion, GCI) の主要成分は、α-シヌクレイン (α-synuclein, α-syn) と言われています。 1960年代か […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の主要病理の一つ、タウは、リン酸化の他、アセチル化、ユビキチン化、SUMO化、ニトロ化など、色々な翻訳後修飾(post-translational modification, PTM)を受けており、様々な機序で病態に関与すると言われています。 今回、アメリカ・アインスタイン メディカルセンターの Dr. Cuervo […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の主要病理の一つ、神経原線維変化 (neurofibrillary tangles, NFTs) は、主に過リン酸化タウで構成されています。 このタウ病理の広がり方については、Dr. Braak の提唱する「Braak仮説」が最も有力とされています [1]。 ただ、実際の AD 患者さんの脳MRIをみていると、Pos […]
アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) の抗体療法は、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の治療として最も期待がかかっている治療法の一つですが、 治験の結果は、マウスの実験結果ほど手応えがない……というのが現状です。 マウスとヒトとで脳内環境が異なる、というのがその答えになるとは思いますが、 では具体的にどこを改善したら、ヒトでもAβ抗体療 […]
Alzheimer’s disease (AD) の 主要病理の一つである アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) プラークですが、その形態によって、いくつかの種類に分かれています [1, 2]。(Glossary参照) その中でも、孤発性 AD の脳内で多くを占める Aβプラークは、 中心にコアを持つ、典型的老人斑 (cored plaques) 中心にコアを持たない、び […]
神経変性疾患で大きなトピックとなっているタンパク凝集体の実験について。 リコンビナントのタウやα-シヌクレイン (α-synuclein, α-syn) の凝集体は、実際の患者さん脳内のタンパク凝集体と構造が異なることが、度々問題になってきました。 でも、ヒトの脳からタンパク凝集体を抽出するのは毎回大変だし、サンプル数も限られている…… という事で、うちのラボで必死になってやっているのが、 「ヒト […]
アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) もタウもα-シヌクレイン (α-synuclein, α-syn)も、 モノマー → オリゴマー → フィブリル とだんだん大きく凝集していき、 神経細胞やそれ以外の場所に蓄積していきます。 またフィブリル等の一部が離れてシードとなり、別の細胞内で新たなフィブリルを形成し、病態を伝播させるとも言われています。 このざっくりと3つに分 […]
superoxide dismutase-1 (SOD1) の変異は、家族性筋萎縮性側索硬化症 (familial Amyotrophic Lateral Sclerosis, fALS) の原因遺伝子として知られています。 アメリカ・マイアミ大学の Dr. Benatar らのグループは、このSOD1変異の方々が、ALSの症状を発症する前に、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense o […]
個体の発生段階で、神経回路が形成されていくわけですが、このダイナミックな動きには、色々な分子の増減が関わっていて、 その時間・空画的な制御をイメージすると、その精密さはまさに「神業」と思ってしまいます。 今回、アメリカ・オレゴン大学のDr. Ackerman、Dr. Doeらの研究グループは、ショウジョウバエモデルを使って、 運動神経回路形成のゴールデンタイムをアストロサイトが制御し […]
幻聴・幻視などの幻覚、とくに幻聴は統合失調症の患者さんに多くみられる症状ですが、 パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) などでドパミンアゴニストなどを内服している患者さんにもよく起こります。 それらの症例の共通点としてドパミンバランスの異常があるので、幻覚はドパミンバランスの異常が関係していると考えられてきました。 ただ、それを実験系で証明するのはちょっと […]
先日アポリポタンパクE4(Apolipoprotein E4, APOE4)とタウについての論文を紹介しましたが[1]、 その記事を書いた翌日に同じラボからこの論文が出たので、 「どーしよーかなー。」 と思いましたが、ついでに紹介。 アメリカ・ワシントン大学のDr. Holzmanらの研究室からの報告です[2]。 アストロサイトのAPOE4を除去するとタウ介在性神経障害が改善する APOEは、脳内 […]
アポリポタンパクE4(Apolipoprotein E4, APOE4)は、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の強力なリスク因子として注目されています [1]。 APOE4のAD増悪の機序としては、アミロイドβ (Amyloid β, Aβ)の凝集促進やクリアランス低下、タウを介した神経障害、血管系の異常など、様々報告されてきました。 アメ […]
強いストレスで髪が抜ける、という事は聞いたことがあると思います。 私の身内にも、しばらくの間円形脱毛症で悩んでいる人がいました。 でも、どうして強いストレスを受けると髪が抜けるのでしょうか? 今回、アメリカ・ハーバード大学のDr. Hsuらの研究グループは、ストレスホルモンと脱毛の関係について研究し、そのメカニズムにGAS6という分子が関与している事を明らかにしました [1]。 スト […]
脳梗塞には、梗塞巣の大きさや数、発症原因によっていくつかの種類に分類されています。 この内、脳の深部を流れる細い血管(穿通枝)が詰まることで生じる脳梗塞を「ラクナ梗塞」とよびます [1, 2]。 「ラクナ」とはラテン語で「小さな空洞」という意味で、画像上は15mm未満の小さな梗塞巣を意味します。 ラクナ梗塞の最大の原因は「高血圧症」で、穿通枝に高い圧力がかかる事で血管が脆くなり、破れたり詰まりやす […]
異常に凝集したタウを取り除く事は、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) 治療ターゲットの1つですが、 「内因性のタウを減らせば、異常タウによる病態もよくなるんじゃ?」 という考えから研究し、 内因性タウを抑制して認知機能が改善したり [1]、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) による神経障害が改善したり [2]、といった結果が報告されてい […]
アポリポタンパクは、脂質等と結合して、脂質の運搬や脂質代謝関連酵素の活性化、あるいは補酵素として働く一連のタンパクの総称です。 このうち、アポリポタンパクE (Apolipoprotein E, APOE) は、主に3つのアイソフォームがあり、それぞれ APOE2 APOE3 APOE4 と呼ばれます。 この中でAPOE4は、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, […]
筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS) は、特に運動ニューロンの障害を特徴とする神経難病です [1]。 この運動神経の変性・細胞死が進行することで、数ヶ月から数年のペースで四肢体幹の筋肉が萎縮していき、呼吸筋の萎縮により自力での呼吸も難しくなります。 TDP-43は、2006年にALSと前頭側頭葉変性症(Frontotempora […]
TREM2 (triggering receptor expressed on myeloid cells 2) は、脳内ミクログリアに発現するレセプタータンパク [1, 2]で、この遺伝子の変異はアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) のリスクとなることが知られています [3]。 TREM2とAD病理との関係で最も研究が進んでいるのは、ミクログリアのアミ […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の疾患修飾療法 (disease modifying therapies, DMTs) の1つとして注目されているアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) の免疫療法ですが、 現時点で第3相, 第2/3相臨床試験まで進んでいる「Aβ受動免疫療法」は、下記4つ [1]。 アデュカヌマブ (Aducanumab […]
レヴィ小体型認知症(Dementia with Lewy bodies, DLB) パーキンソン病認知症 (Parkinson’s disease dementia, PDD) は、 Parkinson’s disease (PD) に特徴的な運動機能症状に加えて認知機能障害を伴う疾患で、Lewy body dementia (LBD) と呼ばれています [1]。 以前はP […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の主要病理の1つ、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) 。 Aβは、アミロイド前駆蛋白 (Amyloid precursor protein, APP) から、β切断・γ切断と2段階の切断を受けて産生されますが、 その切断の仕方により、様々な大きさのAβが産生されます [1]。 Aβの種類 割合 Aβ3 […]
筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS) 前頭側頭型認知症 (frontotemporal dementia, FTD) の2疾患には神経細胞内のTDP-43凝集体を主要病理とする症例が多く報告されており、このような症例は 「TDP-43プロテイノパチー」に分類されます。 家族性ALS/FTDで最も多く報告されている遺伝子変異は、「C9orf72 […]
中枢神経における炎症性シグナルは、鬱症状や自殺企図、やる気の低下など、気分障害と関連があると言われています [1]。 また、イメージング [2] や、剖検脳 [3] の解析から、ミクログリアの活性化が鬱症状に関与しているのではないかと言われていました。 今回、スウェーデン・Lindoping大学の、Dr. Engblom らの研究グループは、活性化ミクログリアから分泌したインターロイキン6(int […]
「いつまでも健康で、若々しくいたい」 と考える人は多いと思いますが、 実際の所、加齢との関連が最も高いファクターはどのようなものでしょうか? オランダ・アムステルダムUMCの Dr. Lansen らの研究グループは、 「カラダ年齢」に関係するファクターを科学的に洗い出しました [1]。 身体と脳の加齢に関係する5つのファクター 彼らは、オランダの Netherlands Study of Dep […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) は、 アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) を主体とするAβプラーク 過リン酸化タウを主体とする神経原線維変化 (neurofibrillary tangles, NFT) を2大病理としますが、Aβは、Aβプラークとして間質に溜まるだけでなく、血管にも沈着し、脳血管アミロイド症 (cerebral a […]
学生時代、100歳を過ぎても元気に笑っている「きんさんぎんさん」の元気な姿をみて心が癒やされていました。 ぎんさんの他界後、剖検脳ではアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の病理がみられたそうです。 にもかかわらず、生前は認知症を発症していなかったとのこと。 彼女達のように、100歳過ぎても元気で過ごされているご長寿の方々を「centena […]
脳神経内科が取り扱う神経変性疾患の多くは、疾患ごとに特定の部位の神経細胞が障害されやすくなっており、それに伴って疾患特異的な神経症状を呈します。 例えば、 アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) やレヴィ小体型認知症 (Dementia with Lewy bodies, DLB) :前脳基底核のコリン作動性神経細胞 パーキンソン病 (Parkinson& […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) では、エンドソームの機能障害が確認されており [1]、 エンドソームの機能障害は、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) の沈着より先に生じる事が、ダウン症の患者さんや早期AD患者さんで確認されています [2, 3]。 以前このブログでも、エンドソームの膨張にフォーカスした論文を紹介しました [4]。 今 […]
高齢者の体内では、「炎症」関連のマーカーが高くなっており、脳内では健常人でも軽度の炎症が起こっています。 私は野生型マウス (C57BL/6J) 脳内を若齢と老齢で比較した事があるのですが、 老齢マウスの脳内では、アストロサイトおよびミクログリアの増生が顕著で、初めて見た時に 「健康なのに、年をとったというだけでこんなに脳内環境が違うのか。」 と、大変驚いたのを覚えています。 この「 […]