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SOD1変異のALS患者さんを対象とした、発症前診断・治療の治験

superoxide dismutase-1 (SOD1) の変異は、家族性筋萎縮性側索硬化症 (familial Amyotrophic Lateral Sclerosis, fALS) の原因遺伝子として知られています。 アメリカ・マイアミ大学の Dr. Benatar らのグループは、このSOD1変異の方々が、ALSの症状を発症する前に、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense o […]

アストロサイトが運動神経回路形成のゴールデンタイムを決める

個体の発生段階で、神経回路が形成されていくわけですが、このダイナミックな動きには、色々な分子の増減が関わっていて、 その時間・空画的な制御をイメージすると、その精密さはまさに「神業」と思ってしまいます。   今回、アメリカ・オレゴン大学のDr. Ackerman、Dr. Doeらの研究グループは、ショウジョウバエモデルを使って、 運動神経回路形成のゴールデンタイムをアストロサイトが制御し […]

線条体のドパミンバランスは幻覚を引き起こす……ということをマウスで検証

幻聴・幻視などの幻覚、とくに幻聴は統合失調症の患者さんに多くみられる症状ですが、 パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) などでドパミンアゴニストなどを内服している患者さんにもよく起こります。 それらの症例の共通点としてドパミンバランスの異常があるので、幻覚はドパミンバランスの異常が関係していると考えられてきました。 ただ、それを実験系で証明するのはちょっと […]

アストロサイトのAPOE4を除去するとタウ介在性神経障害が改善する

先日アポリポタンパクE4(Apolipoprotein E4, APOE4)とタウについての論文を紹介しましたが[1]、 その記事を書いた翌日に同じラボからこの論文が出たので、 「どーしよーかなー。」 と思いましたが、ついでに紹介。 アメリカ・ワシントン大学のDr. Holzmanらの研究室からの報告です[2]。 アストロサイトのAPOE4を除去するとタウ介在性神経障害が改善する APOEは、脳内 […]

アンチセンスオリゴでAPOE4を減らすとタウマウスの神経障害が改善する

アポリポタンパクE4(Apolipoprotein E4, APOE4)は、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の強力なリスク因子として注目されています [1]。 APOE4のAD増悪の機序としては、アミロイドβ (Amyloid β, Aβ)の凝集促進やクリアランス低下、タウを介した神経障害、血管系の異常など、様々報告されてきました。   アメ […]

ストレス性脱毛のメカニズムにGAS6が関与

強いストレスで髪が抜ける、という事は聞いたことがあると思います。 私の身内にも、しばらくの間円形脱毛症で悩んでいる人がいました。 でも、どうして強いストレスを受けると髪が抜けるのでしょうか?   今回、アメリカ・ハーバード大学のDr. Hsuらの研究グループは、ストレスホルモンと脱毛の関係について研究し、そのメカニズムにGAS6という分子が関与している事を明らかにしました [1]。 スト […]

ラクナ梗塞のGWAS・TWAS解析

脳梗塞には、梗塞巣の大きさや数、発症原因によっていくつかの種類に分類されています。 この内、脳の深部を流れる細い血管(穿通枝)が詰まることで生じる脳梗塞を「ラクナ梗塞」とよびます [1, 2]。 「ラクナ」とはラテン語で「小さな空洞」という意味で、画像上は15mm未満の小さな梗塞巣を意味します。 ラクナ梗塞の最大の原因は「高血圧症」で、穿通枝に高い圧力がかかる事で血管が脆くなり、破れたり詰まりやす […]

内因性のタウを持続的に抑制すると、アルツハイマー病モデルマウスのタウ病理が改善する

異常に凝集したタウを取り除く事は、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) 治療ターゲットの1つですが、 「内因性のタウを減らせば、異常タウによる病態もよくなるんじゃ?」 という考えから研究し、 内因性タウを抑制して認知機能が改善したり [1]、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) による神経障害が改善したり [2]、といった結果が報告されてい […]

APOE4を持つアストロサイト&酵母では脂質代謝異常が起こっている

アポリポタンパクは、脂質等と結合して、脂質の運搬や脂質代謝関連酵素の活性化、あるいは補酵素として働く一連のタンパクの総称です。 このうち、アポリポタンパクE (Apolipoprotein E, APOE) は、主に3つのアイソフォームがあり、それぞれ APOE2 APOE3 APOE4 と呼ばれます。 この中でAPOE4は、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, […]

錐体路からTDP-43が広がるALSモデルマウス

筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS) は、特に運動ニューロンの障害を特徴とする神経難病です [1]。 この運動神経の変性・細胞死が進行することで、数ヶ月から数年のペースで四肢体幹の筋肉が萎縮していき、呼吸筋の萎縮により自力での呼吸も難しくなります。   TDP-43は、2006年にALSと前頭側頭葉変性症(Frontotempora […]

TREM2欠損のAβ&タウ病理への影響

TREM2 (triggering receptor expressed on myeloid cells 2) は、脳内ミクログリアに発現するレセプタータンパク [1, 2]で、この遺伝子の変異はアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) のリスクとなることが知られています [3]。 TREM2とAD病理との関係で最も研究が進んでいるのは、ミクログリアのアミ […]

ドナネマブの第2相臨床試験の結果:良好!

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の疾患修飾療法 (disease modifying therapies, DMTs) の1つとして注目されているアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) の免疫療法ですが、 現時点で第3相, 第2/3相臨床試験まで進んでいる「Aβ受動免疫療法」は、下記4つ [1]。 アデュカヌマブ (Aducanumab […]

Lewy body dementia (LBD) のGWAS解析:ADとPDに共通のリスク遺伝子

レヴィ小体型認知症(Dementia with Lewy bodies, DLB) パーキンソン病認知症 (Parkinson’s disease dementia, PDD) は、 Parkinson’s disease (PD) に特徴的な運動機能症状に加えて認知機能障害を伴う疾患で、Lewy body dementia (LBD) と呼ばれています [1]。 以前はP […]

低用量で効果的なγセクレターゼモジュレータ

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の主要病理の1つ、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) 。 Aβは、アミロイド前駆蛋白 (Amyloid precursor protein, APP) から、β切断・γ切断と2段階の切断を受けて産生されますが、 その切断の仕方により、様々な大きさのAβが産生されます [1]。 Aβの種類 割合 Aβ3 […]

C9orf72ポリPRは、p53の転写調節を介して神経障害を誘導する

筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS) 前頭側頭型認知症 (frontotemporal dementia, FTD) の2疾患には神経細胞内のTDP-43凝集体を主要病理とする症例が多く報告されており、このような症例は 「TDP-43プロテイノパチー」に分類されます。 家族性ALS/FTDで最も多く報告されている遺伝子変異は、「C9orf72 […]

活性化ミクログリア由来の炎症物質が、線状体の神経細胞に働きかけ、気分障害を誘発する

中枢神経における炎症性シグナルは、鬱症状や自殺企図、やる気の低下など、気分障害と関連があると言われています [1]。 また、イメージング [2] や、剖検脳 [3] の解析から、ミクログリアの活性化が鬱症状に関与しているのではないかと言われていました。 今回、スウェーデン・Lindoping大学の、Dr. Engblom らの研究グループは、活性化ミクログリアから分泌したインターロイキン6(int […]

身体と脳を若く保つ5つのファクター

「いつまでも健康で、若々しくいたい」 と考える人は多いと思いますが、 実際の所、加齢との関連が最も高いファクターはどのようなものでしょうか? オランダ・アムステルダムUMCの Dr. Lansen らの研究グループは、 「カラダ年齢」に関係するファクターを科学的に洗い出しました [1]。 身体と脳の加齢に関係する5つのファクター 彼らは、オランダの Netherlands Study of Dep […]

APOE抗体による免疫療法は、血管に優しく、副作用が少なさそう

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) は、 アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) を主体とするAβプラーク 過リン酸化タウを主体とする神経原線維変化 (neurofibrillary tangles, NFT) を2大病理としますが、Aβは、Aβプラークとして間質に溜まるだけでなく、血管にも沈着し、脳血管アミロイド症 (cerebral a […]

センテナリアンの人達はアルツハイマー病理に負けない脳を持つ

学生時代、100歳を過ぎても元気に笑っている「きんさんぎんさん」の元気な姿をみて心が癒やされていました。 ぎんさんの他界後、剖検脳ではアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の病理がみられたそうです。 にもかかわらず、生前は認知症を発症していなかったとのこと。   彼女達のように、100歳過ぎても元気で過ごされているご長寿の方々を「centena […]

アルツハイマー病で特に障害されやすい細胞の共通点:RORB

脳神経内科が取り扱う神経変性疾患の多くは、疾患ごとに特定の部位の神経細胞が障害されやすくなっており、それに伴って疾患特異的な神経症状を呈します。 例えば、 アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) やレヴィ小体型認知症 (Dementia with Lewy bodies, DLB) :前脳基底核のコリン作動性神経細胞 パーキンソン病 (Parkinson& […]

Rab5の発現を上げると、エンドソーム障害とともにAD-likeな病理病態が起こる

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) では、エンドソームの機能障害が確認されており [1]、 エンドソームの機能障害は、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) の沈着より先に生じる事が、ダウン症の患者さんや早期AD患者さんで確認されています [2, 3]。 以前このブログでも、エンドソームの膨張にフォーカスした論文を紹介しました [4]。 今 […]

マクロファージの代謝を促進すると、加齢による認知機能低下が改善する

高齢者の体内では、「炎症」関連のマーカーが高くなっており、脳内では健常人でも軽度の炎症が起こっています。 私は野生型マウス (C57BL/6J) 脳内を若齢と老齢で比較した事があるのですが、 老齢マウスの脳内では、アストロサイトおよびミクログリアの増生が顕著で、初めて見た時に 「健康なのに、年をとったというだけでこんなに脳内環境が違うのか。」 と、大変驚いたのを覚えています。   この「 […]

髄膜リンパ管のドレナージ不全が、パーキンソン病の病態に関与する

長らく、脳にはリンパ管が存在しないと言われていましたが、 1987年、脳の表層にある髄膜には「リンパ管がある」と報告されていました [1]。 その後この発見はしばらく歴史に埋もれていましたが、 40年程経った2013年以降、「やっぱり髄膜にリンパ管がある」という再発見が報告され [2, 3, 4]、業界を沸かせました。   「リンパ管がある」というのは、異常タンパクの凝集が大問題となる神 […]

GLS1を抑制すると老化細胞が死滅し、体が健康になる

このブログでも何度か取り上げましたが、 老化細胞(senescent cells)の除去(senolysis)は、アンチエイジングだけでなく、加齢に伴う様々な疾患の予防・治療ターゲットとして注目されています [1, 2]。 今回、東京大学の中西先生達の研究グループは、老化細胞の生命維持に関わる遺伝子、glutaminase 1 (GLS1) を同定し、その阻害薬で老化細胞が死滅し、体の組織が健康に […]

エクソソームで運ばれたタウは、透過性の亢進したリソソームから細胞質へ漏出し、凝集体のシードとなる

タウオパチ-の脳内では、 「異常に凝集したタウが細胞間を伝播して、伝播先の内因性タウを凝集させ、どんどんタウ凝集体が広がっていく」 と考えられていますが、 その細胞間を伝播するルートには、 直接膜を透過 マクロピノサイト-シス 液相エンドサイトーシス レセプター介在エンドサイトーシス ナノチューブ エクソソーム 等、様々なルートが報告されています [1, 2]。   オーストリア・Que […]

赤ちゃんが生まれた瞬間に呼吸を開始するメカニズムーSIDSの原因解明の緒となるか?

お母さんのお腹の中では、赤ちゃんは呼吸をしていませんが、 この世に出てきた瞬間に、「おぎゃー」と泣いて呼吸を開始することになります。 アメリカ・ヴァージニア大学の Dr Bayliss らの研究グループは、このメカニズムの鍵となる神経核および神経伝達物質について調べました。 赤ちゃんが生まれた瞬間に呼吸を開始するメカニズム 著者らは、橋から延髄にかけて存在する神経核で、呼吸調節を担っている、後台形 […]

Aβ オリゴマーがmGluR5に結合するのは、男性だけ?

アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) のオリゴマーは毒性が強く、シナプス障害等、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の神経変性に関与すると言われています。 一方、グルタミン酸は、学習や記憶に欠かせない分子ですが、そのレセプター Gaq-coupled metabotropic glutamate receptor 5 (mGluR5) は […]

ADタウの翻訳後修飾について網羅的に解析

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の主要病理の一つに、 「過剰にリン酸化したタウが凝集体を作り、それが脳内を広がっていく」 事はよく言われていますが、 タウは通常の脳でも、多くの部位がリン酸化しており、 他にも、ユビキチン化、アセチル化、メチル化、SUMO化、ニトロ化、糖化 etc. 様々な翻訳後修飾(post-translational modific […]

TDP43はAβのフィブリル化を阻害して、AD病理を増悪させる

TAR DNA-binding protein 43 (TDP-43) は、筋萎縮性側索硬化症 (amyotrophic lateral sclerosis, ALS) や前頭側頭葉変性症(Frontotemporal lobar degeneration, FTLD)内に見られる凝集蛋白として同定されました [1] が、 その後、高齢者の脳内に凝集体として高率に存在することが明らかとなり、それら […]

脳動脈瘤のリスク遺伝子

世界人口の3%の人達は、脳血管に動脈瘤を持つと言われています [1]。 未破裂動脈瘤の多くはサイズが3-4mm以下と非常に小さく、このような動脈瘤が破裂することは非常に稀(0-0.4%)と言われています [2]。 しかしながら、サイズが大きくなると破裂の危険性が高まり、破裂すると、くも膜下出血の原因となります。 くも膜下出血は、生命に関わり、命が助かった場合でも重い後遺症が残ることがあり、社会復帰 […]

歯状回アストロサイトに蓄積したタウの、ニューロンへの影響

タウオパチーに分類される神経変性疾患 アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD) 進行性核上性麻痺(Progressive supranuclear palsy, PSP) 大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration, CBD) 球状グリア性タウオパチー(globular glial tauopathy, GGT) 前頭側頭葉変性症 […]

中年期の拡張期高血圧は晩年の脳白質障害に影響する

高血圧は、脳心血管系に重大なダメージを与えることは言う前でもありませんが、高血圧自体に症状はなく、 急性期高血圧でなければ、脳心血管系の破綻→重篤な疾患(脳卒中や心筋梗塞 etc.)となるまでには数十年の経過がかかるので、 「気にはなるけれども……」 と言いながら放置してしまう人もいるようです。   血圧には、収縮期血圧と拡張期血圧とありますが、 「血圧○○mmHg以上」というときには、 […]

毎日のちょっとした身体的活動で心が健康になる

運動が、身体だけでなく、脳機能や精神の健康維持にも欠かせないのは周知の事実ですが、実際、どれくらいの運動で効果があるのでしょうか? ドイツ・ハイゼンベルグ大学のDr. Meyer-Lindenbergらの研究グループは、毎日の歩行や階段昇降など、ちょっとした身体的活動だけで、精神状態がよくなる事を、報告しました [1]。 毎日のちょっとした身体的活動で心が健康になる 著者らは、18–28歳の参加者 […]

アデュカヌマブの効果はずっと続く?

先月6日に行われたFDAのアデュカヌマブミーティングではだいぶ旗色が悪く、FDA承認は難しそうな印象ですが、 少なくともマウス脳内では成績優秀のようです。 今回、ドイツ・Tübingen大学のDr. Juckerらの研究グループは、アミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)プラークができる初期の段階からアデュカヌマブを接種すると、 晩年のAβプラーク病理形成が抑えられる、という内容を報告しま […]