NELM-2021-Donanemab

アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) の疾患修飾療法 (disease modifying therapies, DMTs) の1つとして注目されているアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) の免疫療法ですが、

現時点で第3相, 第2/3相臨床試験まで進んでいる「Aβ受動免疫療法」は、下記4つ [1]

  • アデュカヌマブ (Aducanumab, Phase3)
  • ガンテネルマブ (Gantenerumab, Phase3)
  • レカネマブ (Lecanemab, BAN2401, Phase3)
  • ガムネックス (Gamunex, Phase2/3)

追従する第2相臨床試験は、下記2つ。

  • クレネズマブ (Crenezumab)
  • ドナネマブ (Donanemab)

 

ソラネズマブ (Solanezumab) の失敗が大きく影を落としたイーライ・リリーですが、今回、ドナネマブの第2相臨床試験の結果を報告しました [2]

NELM-2021-Donanemab

ドナネマブの第2相臨床試験の結果:良好!

方法

早期ADの患者さんは2群に分けられ、

  • ドナネマブ(最初の3回は 700mg、以降は1400mg)
  • プラセボ

を、4週間毎に72週間静注投与されました。

評価は、

  • タウPET
  • アミロイドPET
  • 認知機能検査
    • Clinical Dementia Rating Scale-Sum of Boxed (CDR-SB)
    • 13-item Cognitive Subscale of the Alzheimer's disease Assessment Scale (ADAS-Cog13)
    • Alzheimer's Disease Cooperative Study-Instrumental Activities of Daily Living Inventory (ADCS-iADL)
    • Mini-Mental State Examination (MMSE)

で行われました。

結果

257人の患者さんのうち、131人がドナネマブを投与され、126人がプラセボを投与されました。

ドナネマブ投与群ではプラセボ群と比較して、アミロイドβの蓄積および認知機能低下が抑制されていました。

トータルの評価では、32% の効果が認められました。

NELM-2021-Donanemab-結果

My View

……という結果で、この論文が出る前の1月の時点でイーライ・リリーからアナウンスがありましたが、ドナネマブの第2相臨床試験は良好とのこと。

この発表のあと、イーライ・リリーの株価も急上昇しているそうです [3]

マーケットとしても注目されますが、個人的にはやっぱり「効果と安全性の高い薬になり得るかどうか」ということ。

以前、ARIAについて考察しましたが、

ドナネマブでもやはりARIAは起こっています。

アデュカヌマブの件もあるので、第3相試験の結果も注意深く見守っていきたいと思います。

References

  1. Alzforum
  2. Mintun MA, Lo AC, Duggan Evans C, Wessels AM, Ardayfio PA, Andersen SW, Shcherbinin S, Sparks J, Sims JR, Brys M, Apostolova LG, Salloway SP, Skovronsky DM. Donanemab in Early Alzheimer's Disease. N Engl J Med. 2021 Mar 13. doi: 10.1056/NEJMoa2100708. Epub ahead of print. PMID: 33720637.
  3. https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-01-11/lilly-surges-as-experimental-alzheimer-s-drug-shows-promise
にほんブログ村 子育てブログ ワーキングマザー育児へ