認知の柔軟性を上げる遺伝子変異
K+チャネル機能は脳機能を調節する。 National Institute of Child Health and Human DevelopmentのHoffmanらのグループは、peptidyl-prolyl cis–trans isomerase NIMA-interacting 1 (Pin1) が、A型K+チャネルサブユニット Kv4.2 とその補助サブユニット dipept […]
K+チャネル機能は脳機能を調節する。 National Institute of Child Health and Human DevelopmentのHoffmanらのグループは、peptidyl-prolyl cis–trans isomerase NIMA-interacting 1 (Pin1) が、A型K+チャネルサブユニット Kv4.2 とその補助サブユニット dipept […]
ビタミンB12でPDの認知症予防? 米メイヨークリニックのSavicaらの研究グループは、パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) の患者の血漿中ビタミンB12(VitB12)レベルを調べた。 結果、PDで認知症を発症しなかった患者群で血漿中のVitB12レベルが高かった(648.5 ng/L vs 452 ng/L, p < 0.05) 。 VitB1 […]
米シカゴのRush大学のChu, Kordower et al., は、パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)の患者で、AAV2-neurturin (CERE120) の遺伝子治療後8-10年で死亡した検体を病理解析した。 ニューチュリン遺伝子治療後のPD脳の病理 CERE120は、1例は両側被殻に接種され(術後10年)、もう1例は両側被殻と両側黒質緻密部に […]
米メイヨークリニックのZhao, Buらのグループは、ADのリスク因子である、加齢、APOEジェノタイプ、性別について、Morecular pathwayの変化を調べた。 彼らは、human apoE2-/apoE3/apoE4マウス × young (3mo)/middle (12mo)/old (3mo) × オス/メス の群に分け、脳組織のトランスクリプトーム解析、血漿のメタボローム解析を行 […]
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) 患者の神経イメージングや、ADモデル動物の解析では、ADによる神経変性は嗅内皮質から始まり、側頭頭頂葉皮質へと広がるとされる。 しかし、マイネルト基底核(nucleus basalis of Meynert, NbM) の変性の方が嗅内皮質よりも早く変性するというデータもある。 マイネルト基底核は前脳基底核に存在する […]
気候変動により、オーストラリアでは山火事が多発している。 その頻度は例年よりも30%増。 それにより、2019年四半後期から2020年にかけてのオーストラリアでの健康被害も急増している。 山火事との関連が示唆される健康被害による死者の数は417人、1,305人が救急処置を必要とする喘息発作で入院した。さらに3,151人が心疾患や呼吸器疾患で入院した。 心疾患や呼吸器疾患、急性喘息等で入院、死亡した […]
慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis, RA)で、Tumor Necrosis Factor (TNF) 阻害剤(etanercept, adalimumab, infliximab)を服用している5600万人の患者を調べた。あと、methotrexate。 RA自体はADのハイリスク(AOR = 1.37, p<0.0001)だった。 TNF阻害薬を服用していた患者は […]
Bridging integrator 1(BIN1)は、BAR adaptor protein familyのメンバーで、late-onset Alzheimer disease (AD)のリスク因子であり、Aβ産生、タウのリン酸化、ミクログリア機能に関連する。 米USF Morsani大学のThinakaranらの研究グループは、この遺伝子がシナプス伝達機能に関与している事を明らかにした。 A […]
タウオパチーとして分類される疾患(Alzhiemer’s disease, AD; Pick’s disease, PiD; CBD; Progressive supranuclear palsy, PSP; Chronic traumatic encephalopathy, CTE etc.)は、疾患毎に異なるタウ凝集構造を持つ事が分かってきたが、その原因は不明である。 […]
APOE4はアルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)の最大のリスクファクターで、アミロイドβ(Aβ)病理の増悪因子として働く。 一方で、APOE4はレヴィ小体型認知症(Dementia with Lewy body: DLB)や認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson’s desease dementia: PDD)のリスクファクターとしても […]
脳血流(Cerebral blood flow: CBF)は神経活動によって巧みに変化し、Neurovascular couplingと呼ばれる。 デンマーク・コペンハーゲン大学のGrubb、Lauritzenらのグループは、penetrating arteriolesとcapillariesの接合部に存在するprecapillary sphincters(前毛細血管括約筋)が、毛細血管血流量を調 […]
ミクログリアは、脳卒中、てんかん、精神疾患、神経変性疾患etc.、あらゆる病態において重要な役割を担っている。 ハンガリーのCserépら(Ádám Dénesのグループ)は、マウスやヒトの脳内で、ミクログリアが独特の動きをして神経細胞の機能をチェックしている事を見出した。 ミクログリアが神経細胞を触診し…… 彼らは、CX3CR1+/GFPトランスジェニックマウスを作製し、その脳内をライブイメージ […]
Presenilin1 E280A変異(PSEN1 E280A)は家族性アルツハイマー病(Familial Alzheimier’s disease: FAD)の原因となる最も多い遺伝子変異である。 ハーバード大学のArboleda-Velasques、Antioquia大学のLoperaらは、コロンビアのPSEN1 E280A変異の家系で、この変異を持ちながら70代まで軽度認知機能障 […]
半年ほど前にPhase 3 trialが失敗に終わった……と思われていたAducanumabですが、 Biogenの自社グループがデータを再検証・再解析した結果、有意にポジティブととらえられたため、FDAの承認を目指して再始動したようです。 私も以前このブログで取り上げていましたが(こちら)、今回のニュースには驚きました。 特に高容量のAducanumabを服用した患者は認知機能の改善が見られたと […]
社会では、2-10%の人達が、同性のみ or 同性と異性両方のパートナーを持つと言われている。 双子や家族歴などを調べた研究結果では、これらの傾向に一部遺伝子の関与が示唆されてきたが、複雑性を調べるには検定力不足なものが多い。 今回、米ハーバード大学、米マサチューセッツ総合病院、豪クイーンズランド大学の研究者らは、UKバイオバンクと23andMeのデータ(477,522人)を用いてG […]
加齢により、脳内の幹細胞・前駆細胞達の機能が喪失していく事はよく知られている。 では、加齢における何の要素が原因となっているのだろうか? 英ケンブリッジ大学のSegel, Chalutらは、オリゴデンドロサイト前駆細胞(Oligodendrocyte progenitor cells : OPCs)の増殖・分化が、加齢に伴う脳の硬さに影響を受ける事を明らかにした。 年を取ると脳が固くなり…… 彼ら […]
以前は全く別の疾患と考えられていたものが、共通のリスク因子や病理を持つことが多いという認識が広まり、神経変性疾患の枠組みも大きく変わってきていると感じます。 今回の論文は、frontotemporal lobar degeneration with TDP-43 (FTLD-TDP) の修飾因子としてGBASで上がってきたTMEM106Bが、 PD患者の認知機能低下とも関連していそう、 というお話 […]
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)では、脳血流量(cerebral blood flood: CBF)が低下している。そのメカニズムはどうなっているのか。 英ロンドン大学のNortley, Attwellらは、毛細血管の径を調整するペリサイトに何等かの障害が起こっている可能性を考え、ヒトやげっ歯類の脳組織でペリサイトの動態を調べた。 Aβが脳内血管を収縮 […]
スペインAugust Pi i Sunyerバイオメディカル研究所のLorenaらの研究グループは、ADバイオマーカーと長期的な認知機能低下について検証した。 対象者:認知機能正常者(cognitively and biologically normal, CBN; n = 32) 認知機能評価:Ancient Farming Equipment Test; AFE-T バイオマーカー:脳脊髄液( […]
Aβプラークはアルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)のhallmarkである。 NIHのZhang, Mattsonらは、AD患者の脳内およびADマウスモデル(APP/PS1)の脳内を調べ、AβプラークにOlig2-/NG2陽性のオリゴデンドロサイト前駆細胞(oligodendrocyte progenitor cells; OPCs)が集まっており、これら […]
脳内の神経新生は、大人になってからは脳室下帯→嗅球や、海馬の歯状回など、一部の領域に限られる。 スペインのLorens-Martinらは、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)で最も障害される海馬で、神経新生がどのようになっているか調べた。 海馬の神経新生は大人でもたくさん起こっている 大人の海馬の神経新生(adult hippocampal neurogen […]
疫学的には、非ステロイド抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs: NSAIDs) は認知症の発症を予防できる可能性が示唆されてきた。 けれども、今まで多くのNSAIDsの認知症への治験が失敗に終わっている。 カナダMcGill大学のJohn Breitnerらは、アルツハイマー病(Alzheimer\’s disease: AD)のリスクの […]
慢性外傷性脳症(Chronic traumatic encephalopathy, CTE)は、何回も頭部に衝撃を受けた人等に起こる、脳内の神経変性性タウタウオパチーである。 CTEでは、過リン酸化したタウが、脳皮質の浅層(Ⅱ-Ⅲ層)の血管周囲に存在する神経細胞や変性アストロサイト内に蓄積する。 神経細胞の病理は、アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease, AD)の神経 […]
アルツハイマー病(Alzheimer's deisease:AD)では、神経活動が異常となり、これがさらにAD病理を悪化させる事が知られている。 ガンマ振動(gamma oscillations)と呼ばれる、神経活動の30-90Hzの波長は、高次認知機能に関連があり、ADモデルマウスではこの波長が障害される。 マサチューセッツ工科大学のLi-Huei Tsaiらは、以前、オプトジェネシスによりガン […]
「朝型人間」か「夜型人間」かの違いは、メンタルヘルスに影響を及ぼすようだ。 イギリスのDevon&Exeter病院のJones、Weedonらは、UKバイオバンクや23andMeの参加者ら697,828人のデータを解析し、朝型人間のクロノタイプ(特定の時間に睡眠を取る生得的傾向)に関連する遺伝子変異を調べた。 朝方人間は幸福度が高い 彼らはまず、「自分は朝型人間だ」という自己申告によって遺伝子変異 […]
バイオジェンとエーザイが、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI due to AD)および軽度AD患者を対象にした、 アデュカヌマブの有効性、安全性を評価する臨床第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)の中止を3月21日に発表しました。(エーザイのHPより) 決定は、安全性に関する問題ではなく、主要評価項目が達成される可能性が低いと判断されたから、とのことです。 アデュカ […]
脳卒中や外傷性脳損傷(Traumatic brain injury:TBI)後の運動機能や認知機能障害は、生活の質を大幅に低下させる。 脳卒中/TBI後の機能回復をいかに促進させるかは、重要な課題である。 近年、C-C chemokine receptor 5(CCR5)のシグナル伝達を抑えると、認知機能や、海馬・皮質の神経可塑性を向上させる事が明らかになった。 そこで、アメリカUCLAのJoy、 […]
運動が認知機能に良い影響をもたらすという研究結果は多数報告されている。 インスリン、レプチン、GLP1、グルココルチコイドなど、中枢神経以外で産生されるホルモンが神経保護やシナプスの可塑性などを介して、認知機能向上を促す事もよく知られている。 運動と認知機能で最近同定され、注目されているホルモンに、irisinがある。 運動をすると、末梢の筋肉に発現している前駆タンパク FNDC5(fibrone […]
多発性硬化症(Multiple Sclerosis: MS)は、以前まで主に脳の白質を障害する疾患と考えられてきたが、最近では、脳の灰白質にも障害を起こすと考えられるようになった。 特に、灰白質の障害は、脳の萎縮および病気の進行に深く関与している。 しかしながら、今までMSのモデルはexperimental autoimmune encephalomyelitis (EAE)のように、白質、特にM […]
前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia: FTD)と筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は共通の臨床症状、遺伝子異常、病理像を呈する。 染色体9番目のオープンリーディングフレーム72(C9orf72)のイントロン1にある、6塩基の繰り返し配列(GGGGCC: C4C2)の拡張(700~数千回)は、ALS/FTDの中でも […]
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)における性差は多数報告されており、一般的には女性の方がリスクが高いと言われている。 マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)のBuckley、Sperlingらは、アミロイドβ(Amylid beta: Aβ)とタウの沈着の性差について調べた。 女性の方がタウが溜まりやすい……模様 […]
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)の多くの症例と、前頭側頭型認知症(Fronttemporal dementia:FTD)の約45%の症例でDNA-binding protein 43(TDP-43)の機能障害が確認されている。 また、家族性ALSの症例の中にTDP-43遺伝子の変異も確認された。 しかしながら、TDP-43の異常と神経変性を […]
睡眠―覚醒のサイクルは、脳間質(interstitial fluid: ISF)と脳脊髄液(cerebrospinal fluid: CSF)中のアミロイドβ(amyloid-β: Aβ)レベルを調節している。さらに、慢性的な睡眠不足により脳内のAβプラーク量が増加する。 しかしながら、ADの神経変性と関連が強いのは、Aβではなくタウ病理と考えられている。 そこで、ワシントン大学のHolthらは、 […]
歯周病菌の一つであるPorphyromanas gingivalis (P. gingivalis)は、歯周病を引き起こすだけでなく、アルツハイマー病(Alznerimer’s disease: AD)のリスク因子としても注目が集まっている。 今回、Cortexyme社のCominyとLynchらは、歯周病菌P. gingivalisが口腔内から脳内に移動し、ADを引き起こす可能性につ […]
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)では、興奮性ニューロンが特に障害されやすい。それはなぜか? アルツハイマー病で興奮性ニューロンの方が障害されやすい 病的タウは興奮性ニューロンの方により蓄積しやすい(マウスとヒトでの検証) コロンビア大学のFuらは、嗅内皮質(entorhinal cortex: EC)にタウが溜まり始めるマウス(EC-tau)の、内側嗅 […]
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)では、ゲノムワイド関連解析(Genome-wide association study: GWAS)などにより、遺伝的リスク因子が同定されているが、多くの孤発性遅発性ADのリスクは、いまだ未解明である。 コロンビア大学のKleinらは、ADと診断された669人の脳の、背外側前頭前野(dorsolateral prefro […]