ポスドク時代のメンターとキャリア形成

ちょっと前のNature Communicationsに面白い研究が載っていて、先月のNature Carrer Newsでも取り上げられていたのですが、最近、その内容を思い出すことが多くなりました。

 

ポスドク時代のメンターとキャリア形成

若い研究者にとって、いいメンター(指導者)に出会う事は、その後のキャリア形成に大きく影響する。

オレゴン健康科学大学のLiénardらは、オープンアクセス(Academic Family Tree)のデータベースを使って、大学院生時代とポスドク時代にメンターによるトレーニングを受けた18,856人の研究者の、その後のキャリア形成を調べた。

その結果、同じ分野のメンターから指導を受けた研究者よりも、違う分野を専門とするメンターから指導を受けた方が、後に成功する率が高かった。

さらに、大学院生時代よりもポスドク時代に違う分野のメンターを持った人の方が、影響が大きかった。

先見の明のある研究者は、トレーニング環境として、自分達が全く知らない分野の研究室を選んだ方ががよさそうだ。

My View

私は、医学部生の頃は臨床医になるつもりでいて、大学院に入って初めて研究の世界に足を踏み入れたのですが、その時は、研究室の中身をよく調べずに入りました。

その後、「大学院時代にはノーベル賞受賞者かそれと同等の研究をしている研究室に行きなさい。」という話を何度か聞き、いい指導者の元でトレーニングを受けることがどれほど大切か、考えるようになりました。

 

「留学先は、自分の研究分野と全く違うところを選んだ方が良い。」

という言葉は、留学前にも何度か耳にしており、私も自分の足りない知識や技術を学べる研究室に行きたいと考えていました。

しかしながら、私には家族がいるので、「夫と私、2人とも自分の専門分野を追求できる研究室」という観点から、2人で相談して今の研究室を選びました。

 

研究室の規模は、日本にいた時よりもとても大きく、ポスドクだけでも20人近くいるので、学べる事は多いと思います。

ただ、今まで自分達が磨いてきたスキルとほとんど同じ事をしているラボなので、「新しい事を学ぶ」という事は難しいと感じています。PIは勝率の低い冒険を嫌う傾向にあるので、経験のない事に手を出す事は許してもらえず、自分達の得意な事で研究を進めるよう指示されます。

 

そういう意味では、やはり自分の磨いてきたスキルと全く関係のない分野の研究室を留学先に選ぶ方が、その後の考え方に広がりを持てるようになり、将来的に得られるものが大きいんじゃないかなと思います。

 

今後、若い人達に研究室選びを相談される事があったら、参考資料の一つとして、この経験を伝えたいなーと思いました。

 

……けれども、そんな考えだけに支配されていると、モチベーションが下がって今の時間の価値も下げてしまうので、そう考えつつも、私は私の選んだ環境からできるだけ多くの事を吸収し、18,856人の外れ値を目指して、日々精進する所存です。

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