precapillary sphincter

脳血流(Cerebral blood flow: CBF)は神経活動によって巧みに変化し、Neurovascular couplingと呼ばれる。

デンマーク・コペンハーゲン大学のGrubb、Lauritzenらのグループは、penetrating arteriolesとcapillariesの接合部に存在するprecapillary sphincters(前毛細血管括約筋)が、毛細血管血流量を調節する事を明らかにした。

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脳血流と脳血管抵抗を調節する括約筋

著者らは、二光子顕微鏡でNG2-dsRedマウスの脳皮質血管を観察し、penetrating arteriolesの最初の枝の根本に、血管周囲を取り囲むように存在するprecapillary sphinctersを同定した。

precapillary sphinctersは、マウス皮質の浅層にある枝に多く存在し、深層には少なかった。

precapillary sphincter
Grubb et al., Nat Commun, 2019より

  マウスのヒゲを刺激して感覚野の血管系を測定したところ、上流のpenetrating arteriolesや下流のbulb, 1st capillariesに比べて、このprecapillary sphinctersが最も神経活動に感受性が高く、径の拡張が大きかった。

血管抵抗の変化を調べると、これもprecapillary sphinctersが最も変化が激しかった。

これらの結果により、precapillary sphinctersは、Neurovascular couplingにおいて、毛細血管に流れる血液量を調節するとともに、より径の大きな細動脈からの血液流入によって生じる血圧変動から、毛細血管を守っていると考えられた。

My View

先日の「ペリサイトと脳血流量調節」に関するぼやき(こちら)に関連した論文……

毛細血管の血流量を調節するペリサイトの話は詳しく述べましたが、毛細血管の中でも特にpenetrating arteriolesの最初の枝(第1-4枝)が神経活動etc.の刺激に対して最も感受性が高く、径の変化が大きいと紹介しました。

今回は、それらensheathing pericytesなどが存在する部分よりももっと根本の部分、ちょうどpenetrating arteriolesとcapillariesの接合部にあるprecapillary sphinctersが、毛細血管の血流調節に大きな役割を担っている、と報告しています。

また、このprecapillary sphinctersはとくにpenetrating arteriolesの血管径が大きい、皮質浅層に多く存在しており、径の小さな毛細血管への血液流入による血圧変動から、毛細血管を守っていると考えられました。

個人的な印象としては、「よく観察してあるなー」と思いました。 ここのグループは、以前から二光子顕微鏡を用いて、神経活動と微小血管の変化についてetc. 報告してきているので(Cai et al., PNAS, 2018; Khennouf et al., Brain, 2018)、

日ごろ観察する中で「capillaryの根本だけ妙に径変化が激しいな」って感じで気づいたのかもしれません。

レビューの事(こちら)があるので、毎回血管の定義を確認してしまいますが、

ここのグループはpenetrating arteriolesの最初の枝はcapillariesとして研究しています。

この手の話題は、まだまだ続きそう……な気がします。

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