血漿中のptau217

以前、p-tau181が血漿サンプルで測定可能で、かなりアルツハイマー病(Alzheimer's disease, AD)特異的なバイオマーカーになり得る [1, 2]、という話(こちら)をしました。

また、別のタウリン酸化サイト、p-tau217を脳脊髄液(cerebrospinal fluid, CSF)で測定したところ、p-tau181よりも感度・特異度が優れていた [3, 4]、という話(こちら)も紹介しました。

じゃあ、p-tau217が血漿サンプルで測定できたら、p-tau181よりも感度・特異度が良いの?

……という、私達の疑問に答えてくれる論文2報を紹介。

p-tau217は、血漿測定でも優秀

3コホートの合作

3つのコホート、計1,402人のADやその他の神経変性疾患の血漿中p-tau217を測定した。

1. アリゾナのコホート(コホート1)

  • AD, n=34
  • AD以外, n=47人

2. スウェーデンBioFINDER-2のコホート(コホート2)

  • AD dementia, n=121
  • 軽度認知機能障害(mild cognitive impairment, MCI), n=178
  • 認知機能正常 n=301
  • AD以外の神経変性疾患, n=99

3. コロンビア家族性AD家系のコホート(コホート3)

  • PSEN1 E280A変異のキャリア, n=257
  • ノンキャリア, n=257

 

結果、血漿中p-tau217は、他の血漿マーカーやMRIマーカーよりも感度・特異度の良い結果が得られた。

CSFマーカーやPETマーカーとはそこまで違いがなかった。

けれども、血漿サンプルは侵襲性の低い採取法であり、実用化が期待される。

今後は、アッセイ法の最良化や、人種の多様性などの評価が必要。

アメリカ・ワシントン大学からの報告

もうひとつの論文はこちら↓。

アメリカ・ワシントン大学のBarthelemy, Batemanらの研究グループは、以前、CSF中のp-tau217は、p-tau181よりもADへの感度・特異度が高い、という結果を報告した。

今回、同じ患者さんのサンプルを用いて、血漿中のp-tauを液体クロマトグラフィー質量分析法 (Liquid Chromatograph - Mass Spectrometry:LC-MS/MS)で調べた。

血漿中のタウは、CSF中タウと同じようにトランケーションされており、p-tau217とp-tau181の結果は、CSF中の双方の結果と相関していた。

p-tau217は、血漿サンプルでも、p-tau181よりも優秀なバイオマーカーとなり得る。
 



 
と、ゆーわけで、p-tau217は血漿測定でもp-tau181より優秀、というお話。

着々とデータが蓄積されてきていますね。

References

  1. Thijssen, E.H., La Joie, R., Wolf, A. et al. Diagnostic value of plasma phosphorylated tau181 in Alzheimer’s disease and frontotemporal lobar degeneration. Nat Med 26, 387–397 (2020). https://doi.org/10.1038/s41591-020-0762-2
  2. Janelidze, S., Mattsson, N., Palmqvist, S. et al. Plasma P-tau181 in Alzheimer’s disease: relationship to other biomarkers, differential diagnosis, neuropathology and longitudinal progression to Alzheimer’s dementia. Nat Med 26, 379–386 (2020). https://doi.org/10.1038/s41591-020-0755-1
  3. Barthélemy, N.R., Bateman, R.J., Hirtz, C. et al. Cerebrospinal fluid phospho-tau T217 outperforms T181 as a biomarker for the differential diagnosis of Alzheimer’s disease and PET amyloid-positive patient identification. Alz Res Therapy 12, 26 (2020). https://doi.org/10.1186/s13195-020-00596-4
  4. Janelidze, S., Stomrud, E., Smith, R. et al. Cerebrospinal fluid p-tau217 performs better than p-tau181 as a biomarker of Alzheimer’s disease. Nat Commun 11, 1683 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-15436-0
  5. Palmqvist S, Janelidze S, Quiroz YT, et al. Discriminative Accuracy of Plasma Phospho-tau217 for Alzheimer Disease vs Other Neurodegenerative Disorders [published online ahead of print, 2020 Jul 28]. JAMA. 2020;e2012134. doi: 10.1001/jama.2020.12134
  6. Barthélemy NR, Horie K, Sato C, Bateman RJ. Blood plasma phosphorylated-tau isoforms track CNS change in Alzheimer's disease. J Exp Med. 2020;217(11):e20200861. doi: 10.1084/jem.20200861
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