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タウ

髄液中p-tau205はアルツハイマー病の脳内のタウ病理を反映する

私達にとってはおなじみのリン酸化タウ抗体AT8。エピトープはタウのS202とT205のリン酸化部位です [1] 。 このp-tau202/205抗体は、AD脳の神経原線維変化を綺麗に検出します。 じゃあ、これって、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) のCSF中で増えて、バイオマーカーとして使えるんじゃないの?……ということで、スウェーデンGothenb […]

髄液中GAP-43は、Aβに関連したタウ病理を反映する

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の二大病理のひとつ、タウ凝集体の病理は、シナプスを介して広がっていくことが分かっています [1,2,3]。 また、二大病理のもう一つ、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) は、異常な神経活動過活動を誘発し、神経ネットワークを介したタウ病理の脳内進展を増悪させます [4,5,6] 。 ADの患者脳内では、 […]

低複雑性ドメインのアミノ酸主鎖同士の水素結合が、特定のタンパクの液液相分離および凝集化に関与

タンパク質は、通常、20種類のアミノ酸がバランス良く含まれている事が多く、それらのタンパク質はAnfinsenのドグマに従い、特定の構造に折りたたまれます。 しかしながら、20%程度のタンパク質の中には、限られた種類のアミノ酸のみで構成された領域がみられ、これらは低複雑性ドメイン(low-complexity domain, LCD)と呼ばれています。 このLCDは、細胞内での液液相分離(liqu […]

タウの “マスター” リン酸化部位

Alzheimer’s disease(AD)の主要病理の一つ、過リン酸化タウ。 タウには、リン酸化、ユビキチン火、アセチル化、メチル化、SUMO化、糖化……と、様々な翻訳後修飾(post-translational modification, PTM)が報告されており [1]、ADにおけるPTMの経時変化についても、色々と調べられてきました [2]。 その中でも特にリン酸化タウに関し […]

ジワジワと進展してきたタウが下前頭回でAβと出会った時、新皮質への爆発的広がりの扉が開く

私が研究を始めた頃、アミロイドβ(amyloid beta, Aβ)がアルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の根本的原因とする「アミロイド仮説」が全て、のような雰囲気がありました。 「Aβが溜まり始め、それがタウのリン酸化を引き起こし、神経原線維変化(neurofibrillary tangles, NFT)となって神経細胞が死んでいき、認知機能が低下してい […]

神経変性疾患の新たなキープレイヤー!?②:TMEM106Bの凝集体は神経疾患の他、健常高齢者脳内でも観察される

前回 [1] に引き続き、 TMEM106Bに関する論文。 今回は、Nature誌に掲載された、イギリス・MRC研究所のDr. Goedert、Dr. Scheresらの研究グループからで、色々な神経変性疾患の他、健常高齢者の脳内でもTMEM106Bの凝集体が観察された、というcryo-EMでの解析 [2]。   ざっくりおさらいですが、TMEM106Bは274aaのII型膜貫通型蛋白で […]

神経変性疾患の新たなキープレイヤー!?①:TMEM106Bの凝集体が色々な変性疾患で観察される

先日、TMEM106Bに関する驚きの論文がCellに1報、Natureに2報掲載されました。 Cellの論文は、アメリカ・コロンビア大学のDr.Fitzpatric、カナダ・英コロンビア大学のDr.Mackenzieらの研究グループからで、FTLD-TDP, PSP, DLBの患者さんの脳内でTMEM106Bの凝集体があることをcryo-EMとMSの解析から明らかになった、というもの [1]。 N […]

Glymphaticドレナージは細胞外タウを洗い流して、タウ凝集化や神経障害を防ぐ

私達の脳は液体で満たされており、 脳の間質内:脳間質液(interstitial fluid, ISF) 脳室や脳周囲:脳脊髄液(cerebrospinal fluid, CSF) と名付けられています。 ISFは、間質に溜まった脳内の代謝産物などをCSFへ送り出し、CSFはそれらを篩骨篩板や鼻のリンパ節などを経由して深部頸部リンパ節へ排出するというドレナージ機能がありますが [1] 、 その排出 […]

PSPとCBDの脊髄にTDP-43病理

前頭側頭葉変性症(Frontotemporal lobar degeneration, FTLD) は、人格変化、情動異常、言語障害などを特徴とする認知症の1つで、若年性認知症(65歳以下)の症例数としては、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)に次いで2番目に多いとも言われています [1]。 この疾患は遺伝学的、病理学的観点から、筋萎縮性側索硬化症(Amy […]

タウのインターラクトームマップ

タウは、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の主要病理の1つである神経原線維変化(neurofibrillary tangles, NFT)の構成タンパクの1つで、これまでに色々なタンパクとの相互作用が報告されてきました [1, 2] が、 生理状態のタウと変異タウとでインターラクトームを直接比較した研究はあまりありませんでした。 今回、アメリカ・Glad […]

進行の早いアルツハイマー病のタウの構造の違いを間接的に検証

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)は、認知症をきたす疾患の中で最も症例の多い疾患ですが、同じADでも、10年以上かけてゆっくり進行するタイプもあれば、発症から数ヶ月~1年程度で急激に症状が悪化するタイプもあり、その臨床経過は様々です。 以前より、発症から2-3年以内に急激に臨床症状が悪化し、死亡してしまうタイプのADを「急性進行形AD(rapid pro […]

タウ+ニューロンを貪食したミクログリアは、お腹いっぱいになるとそれを吐き出してタウ伝播に一役買ってしまう……

脳のお掃除屋さんのミクログリア。 アミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)とかタウとか、脳内で蓄積すると困るタンパク達を貪食して除去しようとしてくれていますが、反面、活性化したミクログリアが炎症性サイトカインを出して現場を荒らしたり、貪食してほしくないモノまで貪食したりと、脳内環境において二面性を示しています。 活性化ミクログリアの広がりがタウ伝播 [1] やシナプス障害 [2]、タウが蓄 […]

ウイルス蛋白が凝集体伝播を促す?

1997年、「狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzheldt-Jakob disease, CJD)ではプリオン蛋白が細胞間を伝播して病態を広げていく」という事を見出した Dr. Prusiner がノーベル賞を受賞しました。 時は流れて、今ではアルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)やパーキンソン病(Parkinson’s disea […]

活性化ミクログリアがタウ病理の広がりを介在する……かも

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の代表的な病理といえば、 アミロイドβ(Amyloid beta, Aβ) タウ 神経炎症 血管病変 神経障害 などが挙げられるかと思います。 これらの変化をリアルタイムで見る方法として、AβやタウのPETトレーサーが開発されてきました。 そして、最近は神経炎症の変化を追うため、活性化ミクログリアをターゲットとしたトレー […]

タウフィラメントの構造でタウオパチーを分類する

クライオ電子顕微鏡法(cryo-electron microscopy, cryo-EM)でのフィラメント構造解析については、このブログでも何回かとりあげました。   主に、イギリス・MRC分子生物学研究所の Dr. Goedert、Dr. Scheres らの研究グループからの報告が多く、ここ数年の間にタウオパチーやシヌクレイノパチーのフィラメント構造を次々と解明してきました。 今回彼 […]

運動は認知機能低下を抑制できるー特に血漿中タウが高い人に効果的

運動がアルツハイマー病などの認知症予防に効果的であることは、このブログでも何度かとりあげました。 機序的にも疫学的にも、運動の認知機能に対するポジティブな効果は疑いようがないんじゃないかと思います。 でも運動の効果って、年齢や性別、基礎疾患などによって様々なような気がしますね。 今回、アメリカ・Rush 大学の Dr Desai らの研究グループは、血漿中のタウをバイオマーカーとして、運動の有無や […]

タウのオリゴマーはアストロサイトの老化および HMGB1 分泌を促し、神経障害や認知機能障害を悪化させる

神経変性疾患分野では、老化細胞 (senescent cells) への注目が集まっていると思います。 以前、老化したグリアを除去するとモデルマウスのタウ病理と認知機能が改善したという論文を紹介しましたが、 今回は、そのメカニズムに注目した論文。 アメリカ・テキサス大学の Dr. Kayed らの研究グループは、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) や […]

LDL受容体を過剰発現すると、APOE の発現を抑えてタウ介在性神経変性が改善する

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) と脂質異常症の関係は以前から報告されており、Low-density lipoproteins (LDL) とアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) 、タウとの関係も研究されてきました。 ADと脂質異常の関係で最も頭に浮かんでくるタンパクはアポリポタンパクE (Apolipoprotein E, APOE) […]

タウのアセチル化を抑制すると、外傷性神経変性を抑制できる

外傷性脳損傷 (traumatic brain injury, TBI) は、外傷による神経障害を指し、特に後にタウやTDP-43が異常凝集し、神経変性が起こる慢性外傷性脳症候群 (chronic traumatic encephalopathy, CTE) が社会問題となっています。 外傷後にどのように神経変性が起こるのかについては、様々なメカニズムが推測されており、治療ターゲットとしていくつか […]

Klotho-VSヘテロを持つ人達は、Aβ依存的タウの沈着および認知機能低下が少ない。

昨年、寿命に関わる膜タンパク Klotho遺伝子 の、F352V (rs9536314) とC370S (rs9527025) の二つのミスセンス変異をヘテロで持つ人達(Klotho-VShet)はアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) になりにくいという論文を紹介しましたが[1] 、 今回、ドイツ・ミュンヘン大学の Dr. Neiuzel、Dr. Ewe […]

Biogen のタウ抗体(Gosuranemab)の治験結果は「効果なし」

「アデュカヌマブ」が初めてのアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) 抗体としてFDAの限定承認を受け、良くも悪くも注目されている Biogen ですが、 もちろん、他のアプローチによるアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) 治療についても続々と薬を開発しており、 どんどん臨床試験を進めています。   先日は、タウ抗体「ゴスラネマブ ( […]

タウワクチン「AADvac1」の第二相試験の結果

アデュカヌマブのFDA限定承認で注目を集める、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の免疫療法ですが、 もちろん、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) だけでなく、もう一つの AD 主要病理であるタウに対する免疫療法(ワクチン、抗体療法)もどんどん開発され、続々と臨床試験が行われています。 今回、Axon Neuroscience SE社が […]

ニューロンのAPOEは免疫系を介してアルツハイマー病の神経障害に寄与する

アポリポタンパクE (Apolipoprotein E, APOE) は、孤発性アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の最大のリスク多型ですが、その多くはアストロサイトから分泌されます [1]。 以前、アストロサイト由来のAPOEがAD病理に与える影響について取り上げました [2, 3]。 でも、ニューロンから極わずかに分泌されているAPOEも、ADの病 […]

将来アルツハイマー病になるかどうか、凄い精度で診断するツール

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) のバイオマーカーは年々進化していっているように感じています。 私が修練医だった頃は、髄液中Aβ42/40比の有用性は報告されていたものの、たいていは神経診察と脳MRI、SPECTやFDG PETくらいで診断していました。 今では、アミロイドPETに加えてタウPETが登場し、近年は髄液中ではなく血漿のリン酸化タウが測定 […]

タウのアセチル化がシャペロン介在性オートファジーを抑制し、タウ病理を促進する

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の主要病理の一つ、タウは、リン酸化の他、アセチル化、ユビキチン化、SUMO化、ニトロ化など、色々な翻訳後修飾(post-translational modification, PTM)を受けており、様々な機序で病態に関与すると言われています。 今回、アメリカ・アインスタイン メディカルセンターの Dr. Cuervo […]

アルツハイマー病のタウ病理の広がり方は4種類

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) の主要病理の一つ、神経原線維変化 (neurofibrillary tangles, NFTs) は、主に過リン酸化タウで構成されています。 このタウ病理の広がり方については、Dr. Braak の提唱する「Braak仮説」が最も有力とされています [1]。 ただ、実際の AD 患者さんの脳MRIをみていると、Pos […]

アストロサイトのAPOE4を除去するとタウ介在性神経障害が改善する

先日アポリポタンパクE4(Apolipoprotein E4, APOE4)とタウについての論文を紹介しましたが[1]、 その記事を書いた翌日に同じラボからこの論文が出たので、 「どーしよーかなー。」 と思いましたが、ついでに紹介。 アメリカ・ワシントン大学のDr. Holzmanらの研究室からの報告です[2]。 アストロサイトのAPOE4を除去するとタウ介在性神経障害が改善する APOEは、脳内 […]

アンチセンスオリゴでAPOE4を減らすとタウマウスの神経障害が改善する

アポリポタンパクE4(Apolipoprotein E4, APOE4)は、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の強力なリスク因子として注目されています [1]。 APOE4のAD増悪の機序としては、アミロイドβ (Amyloid β, Aβ)の凝集促進やクリアランス低下、タウを介した神経障害、血管系の異常など、様々報告されてきました。   アメ […]

内因性のタウを持続的に抑制すると、アルツハイマー病モデルマウスのタウ病理が改善する

異常に凝集したタウを取り除く事は、アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) 治療ターゲットの1つですが、 「内因性のタウを減らせば、異常タウによる病態もよくなるんじゃ?」 という考えから研究し、 内因性タウを抑制して認知機能が改善したり [1]、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) による神経障害が改善したり [2]、といった結果が報告されてい […]

TREM2欠損のAβ&タウ病理への影響

TREM2 (triggering receptor expressed on myeloid cells 2) は、脳内ミクログリアに発現するレセプタータンパク [1, 2]で、この遺伝子の変異はアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) のリスクとなることが知られています [3]。 TREM2とAD病理との関係で最も研究が進んでいるのは、ミクログリアのアミ […]

エクソソームで運ばれたタウは、透過性の亢進したリソソームから細胞質へ漏出し、凝集体のシードとなる

タウオパチ-の脳内では、 「異常に凝集したタウが細胞間を伝播して、伝播先の内因性タウを凝集させ、どんどんタウ凝集体が広がっていく」 と考えられていますが、 その細胞間を伝播するルートには、 直接膜を透過 マクロピノサイト-シス 液相エンドサイトーシス レセプター介在エンドサイトーシス ナノチューブ エクソソーム 等、様々なルートが報告されています [1, 2]。   オーストリア・Que […]

ADタウの翻訳後修飾について網羅的に解析

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の主要病理の一つに、 「過剰にリン酸化したタウが凝集体を作り、それが脳内を広がっていく」 事はよく言われていますが、 タウは通常の脳でも、多くの部位がリン酸化しており、 他にも、ユビキチン化、アセチル化、メチル化、SUMO化、ニトロ化、糖化 etc. 様々な翻訳後修飾(post-translational modific […]

認知機能低下の一番の要因は混合病理

心機能障害、糖尿病 (diabetes mellitus, DM)、心血管障害 (cardiovascular disease, CaVD) は、アルツハイマー病病理(Alzheimer’s disease neuropathologic change, ADNC)を持つ患者の認知機能低下の要因として知られている。 今回、スウェーデン・Uppsala大学病院のDr. IrinaとDr. […]