SKY

アメリカから帰国して1年半が経ちましたが、この間に、何度か留学体験について講演の依頼がありました。

当時の事を思い返しながら、留学を通して自分が学んだと思うことや、後学の方々へためになりそうなメッセージを考えていると、それまでぼんやりと考えていた事が明確に整理されていくように感じました。

そして、自分にとって、ラボのPIとCo-PIの存在がどれだけ大きくなっていたか、今の自分の考え方や方向性について、彼らからどれだけ影響を受けているか、改めて考えさせられました。

私が彼らから学んだ事

スライドのまとめとして、私がラボのPIやCo-PIから学んだと思う事を、それぞれ3つずつあげてみましたが、二人の言葉には、いくつもの共通点があるように思いました。

PIから学んだ事

Vision

明確なビジョンを持つこと。

世の中の人が振り返るような、あなたを無視できなくなるような、そんなビジョンを持ちなさい。

Talk and Learn

とにかく人と話しなさい。

そして、その人からできる限り多くの事を学びなさい。

Share

このラボがここまで大きくなれたのは、Co-PIが「シェア」の精神を最初から最後まで持ち続けていたから。

自分のリソースを自分達だけで囲うのではなく、他の研究者達を信頼し、彼らに惜しみなく与えなさい。

そうすれば、協力の環がどんどん広がって、大きく堅固な関係が生まれていくでしょう。

Co-PIから学んだ事

Vision

君が魅力的なビジョンを持っていれば、能力の高い人達は君のもとに集まってくる。

彼らが君のもとに来たら、彼らの能力を思いっきり発揮できるように、サポートする。

そうしたら、大きな力が生まれるんだ。

Ask

僕は、誰にでも、どんな些細な内容でも、質問する事に躊躇しない。

だから僕は、ポスドクからでも学生からでも学ぶ事ができる。

Trust

僕は君たちが大好きだ。

君たちも僕と同じ気持ちでいてくれたら嬉しい。

これから留学を目指す人々へのメッセージ

講演のオーガーナイザーから、「これから留学を目指す人々へのメッセージ」という項目のスライドを作ってほしいと依頼されたことがあり、留学中やその前後の体験をもとに、考えてみました。

留学に向けて、将来の「目的」と「目標」を明確に持つ。

そのまま海外でPIになるのであれば、そのために何が必要かを考えておく。

数年で日本に帰るつもりなのであれば、「日本に何を持って帰りたいか、そのためには留学先で何を習得すべきか」を明確にしておく。

これがなければ、「ただ、なんとなく海外に出て、なんとなく海外生活を送って、なんとなく帰る」という事になりかねないので、この部分はいろんな人に相談しながら、時間をかけて考えておくべき。

「学び」を養分にして育つ。常にアンテナを張り、受容体の感受性を上げておく。

目標が定まったら、あとは「学びを養分にして育つ」イメージで臨む。

意識している人としていない人とでは、同じシチュエーションで同じ内容を聞いても、そこから学べる事は大きく異なってくる。

「どんな些細なことからも学んで、自分のものにしてやる」という心づもりで、常に受容体の感受性を上げておく。

そのために最低限必要なこと

  • 英語でのコミュニケーションは 必ず 取れるようになっておく。
  • 人の話をよく聞く。自分の中で 咀嚼しながら 話を「聞ける」人になる。
  • 自分の信念や考えを、簡潔に的確 話せるようになっておく。

※ 家族と一緒に研究留学を目指す人へ:家庭はFundamanetal

家庭は土台。家庭がぐらついた状態でキャリアを築こうとしても、砂上の楼閣となりかねない。

まずは家族全員の体と心の健康維持に注力する。家族全員がハッピーになって初めて、自分も研究に専念できるようになる。

私の場合

講演の後、多くの方々から質問があり、その中で、下記のような質問がありました。

明確な目標や目的をもって留学した方がよいとおっしゃっていましたが、先生の当初の目標はなんでしたか。
また、例えば研究における目標があったとして、その目標達成が途中で難しそうだとなった場合次の目標設定はどういう思考過程で変更されたのか知りたいです。

ここには書きませんが、私にも、当初の目標というものがあり、そして様々な困難を経て、今では別の目標も生まれました。

それは、私個人の力では到底達成できるものではなく、多くの人達と協力しても、私が死ぬまでに達成するのは難しいかもしれません。

家庭があり、仕事一筋の生活ではないので、「このままだと、口だけの目標倒れに終わりそうだな。」と感じる事もありますが……それでも、とりあえず今は、諦めずにコツコツやっていきたいです。

 

 

私は PI とも Co-PI とも異なる人間ですが、ここに書いた事は、明らかに彼らの言葉や生き様から影響を受けていると感じています。

そして、講演などで様々な方々から質問を受けるに連れ、彼らから学んだ事を、後世の人々に伝えたいという思いも生まれてきました。

 

私自身は人生の折り返し地点に差し掛かり、残された時間で達成できる事はそんなに多くはないかもしれません。

けれども、私の経験を若い人たちに聞いてもらう事で、彼らがより高く、広く、遠くまで飛んでいくための、何かヒントのようなものを掴んでもらえたらと願っています。

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