overcome

ーー Chairとどんな事を話せばいいのか……。

いつもならざっくばらんな話をしてChairとの会話を楽しんでいた私も、さすがに今回は緊張しました。

今まで、Chairからは好意的な雰囲気が感じられていたのですが、前回のミーティングではかなり怒っていて、

ーー ああ、私は信用を失ったんだな。

と感じていたからです。

 

一方で、夫からは

「あの時は色々言われたけど、Chairが『君の事を買っている』と言ったのは本当だと思うよ。

だって、いくら無理難題な指令だった(急遽外勤を指令したこと)からと言って、その研究員一人のために技術補佐員を雇うって、本当にその人に期待してなきゃ普通やらないでしょ。

外勤員補充のために無理やり留学先から帰国させられた人だっていたわけだし。」

とも言われ、実際その通りだとも思っていました。

ミーティング前の準備

ミーティングでは大抵、話す内容などを色々と準備して臨みますが、今回はChairがどのような話をしてくるのかわからなかったので、私は何を準備したらよいか迷いました。

とりあえずここ1ヶ月の間に自分が考えた内容と、それを元にした今後の方針などをまとめ、

話し方で悪い印象を与えないように、以前読んでいた、永松茂久氏の「話し方が9割」という本を再読しました。

「もう会話で悩まない!疲れない!オロオロしない!」――もっと話し方がうまければ、人生うまくいくのに……。「話すこと」にまつわる悩みを挙げるとキリがありません。本書でお伝えするのは、コミュニケーションの基本である会話がうまくいくようになる、ちょっとした、でも多くの人が気づいていないエッセンス。

 

ーー 自分からあまり喋らず、相手に気持ちよく話してもらう。

本書には色々ポイントが書いてありますが、今の私に一番必要なポイントこれのような気がしました。

その後、

  • とにかくChairが私に話したい内容をじっくりと聞く。
  • その上で意見を求められたら、その場で考えうる限りで答える。

というように方針を立てました。

オンラインミーティング開始

……という感じで臨んだ、オンラインミーティング。

挨拶を交わした後のChairから、

「君があの異動の後に直ラボの人たちからそのように言われていたとは知らなかった。申し訳なかったね。」

と言われました。

「あの異動は私が無理やり指示したという事は、直ラボの人たちにもわかってもらっていると思っていたんだけど、違ってたみたいだね。」

 

私はどう返事したらよいものかと戸惑いましたが、

「当時の直ラボメンバーの誰がどのように考えていたかなどの具体的な事は私にもわからず、数人からの話やメールで推測しただけだ」

と答えました。

その後、当時の出来事についてChairが思っていた事などを教えていただき、お互い大変だった頃の話を共有しました。

 

しばらく言葉を交わした後、Chairから唐突に、

「で、直ラボでみんなが噂している内容は全部誤解、という事だよね。」

と言われました。

 

私は、Chairの直球的な言葉に驚き、返事に迷いました。

先に私が送ったメールの内容だけで、Chairの意見がここまで変わるとは思っていなかったからです。

ーー 本当に「誤解」という一言で片付けていいのだろうか、その背景とは別に、私の言動の中にあった非を私自身が見落としてはいないだろうか。

と、色々な考えが交錯し、私はモゴモゴと、かなり歯切れの悪い返事をしてしまいました。

 

Chairからは

「他に思い当たる事があるか」

と尋ねられ、私は

「少なくとも直ラボPIが自分の事を快く思っていない、という事は本当だと思う。」

と答えました。

私が気になっていた事

私は、最近、オンラインミーティングで直ラボPIの表情がだんだんと堅くなっており、ずっと気になっていた事を話しました。

現在、今所属しているラボ(今ラボ)と別の大型ラボとの共同研究を進めている際、私が帰国後にプロジェクトを継続できるように直ラボPIにも入ってもらっており、定期的に3施設でのオンラインミーティングを行っています。

アメリカの2施設はかなりのビッグラボで、特にもう一つの大型ラボは直ラボと研究内容が近く、直ラボとしては是非とも交流を深めたいラボの一つです。

そのため、直ラボPIは最初にミーティングに入ってもらった時から色々と大胆な発言をしていてました。

その後からも、毎回ミーティングで場違いな話を展開しており、アメリカの今ラボPIはかなり機嫌を悪くしていました。

プロジェクトの進行にも差し支えるので、私は直ラボPIに少しトーンダウンをお願いしていました。

 

一方で、私の帰国後にもプロジェクトを滞りなく進めるよう、マウスの搬入など大変な事を直ラボに依頼せざるを得ず、直ラボPIの立場からすると、それまでの直ラボでの噂も相まって、実際「大変な事を簡単にお願いして感謝の気持ちが足りない」という印象になるのは自然な流れのように思いました。

 

原因は、私が今ラボPIの意見を優先して、直ラボPIのしたいことを拾えておらず、その状況下で帰国後のサポートなどのお願いをする立場になった、という事などにあるのかもしれせん。

 

私のようなポスドクが共同研究の指揮をとるのはそんなに珍しい事ではなく、今ラボと大型ラボのPIは、私に全面的に協力する姿勢を示してくれています。

けれども、自身もステップアップを模索している中堅PIにとって、自分より下の人間をサポートをするだけの余裕はあまりないはずです。

私は、他2人の大御所PIと違って、直ラボPIからの言葉からは距離を感じていました。

 

私は、

  • このプロジェクトのサポートの主体は今ラボPIなので、彼女の意見を一番に考えるのは当然ではあるけれど、帰国後は彼女の気に障らない範囲で、直ラボPIのしたいことも広げられるように、共同研究を進めていきたい。
  • 今までの直ラボPIの表情などから、自分に対してどう思っているかわからず不安だったが、今回、快く思っていない事をはっきりと示してくれたことで自分も安心した。とても勇気のいる事だったと思うし、感謝している。
  • 他のラボのメンバーとは話した事もないので、実際に会って話をすれば、私に対する印象も変わるんじゃないかと思っている。

というような内容を話し、Chairの意見を求めました。

 

「先生も色々と気を使っているんだねぇ。」

というのがChairからの感想でした。

 

Chairからは、直ラボPIから実際の気持ちを聞いた事はないと断られた上で、

  • 直ラボPIを含め、Chair周囲にいるスタッフの先生たちは上からの命令を素直に聞いてきた人が多く、そのような人たちにとっては、私のように自分の意見をはっきり述べる人物は確かに苦手なタイプかもしれない。

と言われ、

「でも、先生なら大丈夫だと思うよ。」

とまとめられました。

ミーティング後の一人反省会

和やかなムードでミーティングが終わり、私はいつものようにミーティングの一人反省会を開きました。

ーー こーゆー事も、もっと伝えたかったな。

ーー あの時、あの言葉を使ったのはまずかったな。

と、相変わらずネガティブな考えが先に出てしばらく沈みましたが、まあこれは私の性分なので仕方がありません。

 

「話し方が9割」に書かれた内容をミーティング前に再読していたので、自分の伝えたかったことの半分も言葉に出しませんでしたが、

「自分から多くを語りすぎず、けれども求められた意見は言葉を選びながら話す」

という事を意識していたお陰で、少なくとも自分に対する相手の印象は良い状態のままでミーティングを終える事ができた……ように思います。

 

もちろん、今回の話で私の状況が一変したわけではなく、これからも気を引き締めていく必要はありますが、

少し、自分の気持ちに余裕を持たせられるような気がしました。

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