no-more-cry

ある日の朝、コーヒーを飲もうとラボの給湯室に行くと、先客がいて部屋には美味しそうなコーヒーの匂いが漂っていました。

彼女は、このラボが立ち上がったときに最初に雇われた5人の従業員のうちの一人で、30年以上ブレインバンクの管理を任されています。

今PIとして第一線で活躍しているラボの卒業生達も、病理はほとんど自分が教えたんだ、とよく話していました。

 

「おはよう」

普通に朝の挨拶を交わすと、思い立ったように彼女は話しかけてきました。

「あなたに伝えたいことがあったの。

最近よくみんながあなたの英語がすごく上達したって話をしていたんだけど、この間のセミナーでのあなたの講演を聞いて、私もびっくりしたわ。

すごく自信に満ちていて、発表も素晴らしかったし、その後みんなと話しているときに vice versa とか使っていたでしょう?

ここにいるノンネイティブの人たちで、vice versa なんて言葉を使っているのは初めてきいたわ。

Wow! She is like a real American! って思っちゃった。」

 

正直、自分がどこで vice versa と言ったのか全く覚えていないのですが、彼女の中では印象的だったようです。

私は、

「ありがとう、あなたからそう言われるととても嬉しい。

でも本当のところ、あの発表はものすごく練習したから自信あるように見えただけだよ。」

と答えました。

 

彼女はうなずきながら続けました。

「あなたがどれだけたくさん練習したか、私にはわかる。

私はあなたがここにきて初めてのカンファで、すごくビクビクしていたのを今でも鮮明に覚えているもの。

あなたは今でも心の中ではビクビクしているのかもしれない。

けれど、そんな素振りは全く見せずにすごく堂々と発表していて、私は本当に感動したわ。

こんなことを話しながら、私はもう泣きそうよ。」

 

彼女は「I'm proud of you.」という言葉を何度も繰り返しました。

そんな彼女からの言葉を受けて、私も涙が出そうになりました。

 

 

 

彼女が部屋を出てから、私は文字通り"毎日"泣いていた日々を思い出しました。

今考えると、泣いていた理由のほとんどは家族の事でした。

もしも私に家族がいなくて単身で渡米していたら、あんなに毎日泣くことはなかったでしょう。

 

以前、次男(当時3歳)が初めて泣かずにバイバイできた日の事を書き留めましたが、

彼はその日を堺に全く泣かなくなり、彼本来のご機嫌さを倍増させて毎日楽しそうに過ごしています。

上2人も、始めは毎朝学校やキャンプに行きたくないと泣いてばかりでしたが、今はその事をすっかり忘れているようにみえます。

そして、私が泣く原因の9割以上を締めていた彼は ― もしかしたら今もまだアンハッピーかもしれませんが、彼なりに折り合いをつけて、一つ一つの目標を見据えながら毎日努力しているようにみえます。

 

 

「私もこれからは泣かないって決めてみようか。」

そんな考えが、ふと頭を過りました。

 

元々泣き虫なので、すぐにやぶってしまうかもしれませんが、

「とりあえず後1年は泣かない」とこっそり自分に約束し、給湯室を後にしました。

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