解雇

その日は突然やってきました。

 

ある日のミーティングでPIから短いアナウンスがありました。

「もうすぐ、大きなグラントが1つ終わる。更新はしていない。ラボの予算は大幅に減る。多くの人は雇えないから。」

 

PIもCo-PIも70代半ばで、今後どこまで仕事を継続できるかわからないので、ラボを縮小していくとのこと。

日本では63歳くらいで定年を迎えるので、70歳を過ぎても元気に働けるのは凄い事だと思いますが、やはり年齢には抗えないよう。

最近Co-PIが体調を崩す事も多く、「そろそろかな…」とは思っていました。

 

しかし、そこからが本当の恐怖の始まりでした。

数日後、PIから電話がかかってきて、告げられました。

「あなたにつけているテクニシャンだけど、グラントが終了して雇えなくなったから、別の研究室に移ってもらう事になったから。

同じビルディングだから会えると思うけど、もうあなたの仕事はヘルプできなくなるから。

新しいテクニシャンを雇うお金はないから。」

 

なんと……昨年やっとテクニシャンがついて、仕事が捗るようになってきたと思っていたのですが、まさかの突然解雇。

彼女はもう10年以上このラボで働いていて、皆からの信頼も厚い人だったのに……驚きです。

 

そして、夫の方にも同じく連絡がありました。

夫についているテクニシャンは6月で辞め、代わりに別のテクニシャンがつく予定でしたが、それがなくなったとのこと。

私達は二人ともテクニシャンを外される事になりました。

 

他にも数人のテクニシャンが退職や異動となり、あくせく働いていたIT係も契約終了となりました。

今の所、解雇されたポスドクはいませんが、契約終了で別のラボへの異動が予定されていたり、所属だけ別の部署になったりといった感じで、かなり影響を受けているようです。

 

「私達が解雇されるのも時間の問題か……」

と心配しましたが、

「君たちは○○のグラントで雇うから、大丈夫だよ。」

とCo-PIから連絡があり、ちょっと安堵しました。

 

 

このラボにはポスドクやテクニシャンなど数十人が働いていますが、今回の出来事で人数が大幅に減り、今後も減り続けていくことになりそうです。

 

「こんな事、アメリカでは普通なの?」

と同僚に聞いてみると、

「予算が無くなって人が解雇されるのはよくある事だよ。

特に小さいラボではね。

でもここはかなり大きなラボだし、私は今まで10年以上ここで働いてきたけど、こんな事は始めて。」

とのこと。

 

別の同僚は、

「予算が無くなるのはしょうがないけど、この間PIに

『あなたは解雇されなくて良かったわね。』

って言われたのよ。他人事すぎてひどくない!?」

と話していました。

 

 

それにしても……

彼らの年齢を考えると、グラントを更新しないのは英断だとは思いますが、

グラントが無くなる事は予めわかっていたので、

もっと早めに色々できなかったのかなーと、ちょっと不思議です。

みんな、養うべき家族がいたり、それぞれの人生があるのになー。

 

数年前、ここのラボに留学しようと考えていた時、

知り合いから、

「PIの年齢を考えたほうがいいよ。」

と忠告されていましたが、

実際に会ってみるとあまりにも元気そうだったのと、その間もバンバン良い論文を出していたのとで、

一抹の不安を抱えながらもこのラボに決めました。

 

でも、

「やっぱり、ラボ選びは『若くて勢いのあるラボ』を考えなくちゃな。」

と思います。

 

もし今、留学先で悩んでいる人がいたら、1つの参考にしていただけると幸いです。

 

……私達は他に選択肢がないので、完全に難破する前に脱出すべく、

できるだけ早く仕事をまとめようと思います。

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