メダル

帰国の日が近づき、週末の時間を使って、断捨離や荷造りを少しずつ進めています。

一番の強敵は、もちろん子供部屋。

特に長女(9歳)の勉強机の棚には、割れた電球、取手のとれたコップ、拾ってきた石……等のがらくた……もとい記念の品々が所狭しと並べられています。

「だめ!これは捨てないで!大切な Memory なの!」

そんな彼女と辛抱強く交渉しながら、日本に持って帰る物と捨てていく物を仕分けていきました。

 

長女の机が片付き、次は長男(12歳)の机。

彼は妹と違って収集癖はないのですが、それ以前に片付けが大の苦手。

ただ捨てるのが面倒……という理由で積み重なっていたプリントなどを二人でやっつけていきました。

―― こっちはただ捨てていくだけだから楽だわ。

などと思いながら長男の棚を整理していると、棚の奥に金色のメダルを見つけました。

 

―― あ、これ、日本から持ってきてたんだった……。

メダル

まだ幼かった長男に、私が放った一言

このメダルは、長男が日本の保育園に通っていた頃、運動会の最後に園児達一人一人に手渡されていたメダルでした。

 

この頃、私達両親は初めての子育てに張り切っていて、長男には、勉強以外にも、ピアノや水泳、体操……と、彼が興味を示したものは進んで習い事に通わせ、

その中で本人にあうものがあれば続け、能力を伸ばしてもらいたい、と思っていました。

特に私は子供の頃、挑戦したい習い事がいっぱいあったのですが、親にお金を払ってもらうのが申し訳なくてなかなか言い出せなかったので、

自分の子供には余計な事は気にせず思い切り学んでほしいという気持ちが強かったと思います。

大きくなった今の彼を見ていれば、彼は私達の子供時代の性格とは全く異なり、あまり物事をストイックに追求するタイプではないとわかるのですが、

当時はまだ幼い長男の性格も考え方も、私達にはよくわかっていませんでした。

 

彼は当時、まだ6,7歳の男の子。

色々なものに若干の興味を示すものの、どの習い事にもそこまで夢中になれず、しばらくすると

「やっぱりやめたくなった。」

と言って、このまま習い事を続けるべきかやめるべきか、家族でよく話し合いをしていました。

 

私は、長男の

「やっぱりやめたい、やっぱり続けようかな、でもめんどくさい……」

の繰り返しにだんだんうんざりしてきていて、ある日、習い事に行くのが億劫で休みたいと言っていた彼に対して、とうとう、

「なんで長男くんは何でも一生懸命にやろうとしないの!?」

という言葉を彼に投げかけました。

 

その言葉を受けた長男は、私の目をじっと見つめたあと、何も言わずにその場を離れました。

私は

―― とんでもないことを言ってしまった。

と後悔しましたが、どうしてよいかわからず、そのままリビングのソファーに座っていました。

長男が持ってきたメダル

しばらくすると、長男が自分の部屋から戻ってきました。

そして、

「これ、お母さんにあげる。」

と言って私にこのメダルを差し出しました。

 

私ははっとしました。

保育園の年長さんの時の運動会で長男がこのメダルをもらったとき、

担任の先生は

「今日はみんなとても良く頑張ったので、みんなにこの金メダルをあげたいと思います。」

と言って、園児一人一人にメダルを渡していました。

 

―― 僕だって頑張ってる。

 

彼はこのメダルを渡すことで、私にそう伝えたかったのでしょう。

 

「さっきはごめんね。長男くんもたくさん頑張ってるのに、間違った事を言っちゃって。」

と私が言うと、彼は

「いいよ。」

と優しく返してくれました。

メダルは私の宝物箱へ

私はこのやり取りを忘れないように、長男からもらったメダルを自分の宝物箱へ入れ、時々眺めていました。

渡米前、多くの荷物を実家へ送りましたが、このメダルはアメリカ行きの荷物の中に入れました。

 

いつからか、下の子供達が私の持ち物を漁って気に入った物を自分の部屋へ持っていくようになりましたが、その過程のどこかで、このメダルも子供部屋に持ち出されました。

その後このメダルは、巡り巡って長男の棚に落ち着いていたようです。

 

「このメダル、またお母さんが持ってていいかな?」

と尋ねると、彼はいつもの、ちょっと甘えた感じの優しい口調で

「いいよ。」

と答えました。

 



 

メダルは日本行きの荷物の中に入れました。

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