小児に偶発的に見つかった脳腫瘤性病変に関する文献的考察 公開日:2024年7月1日 Original Article 先日、頭部MRIで偶発的に見つかった片側視床の腫瘤性病変。 それが何なのか現時点でははっきりとはわかりませんが、脳外科の主治医によると、このような子どもの症例は、時々見かけるそうです。 そのまま大きくならずに経過している […] 続きを読む
糖尿病の薬がパーキンソン病に効く?:GLP-1受容体作動薬lixisenatideの第二相試験の結果 公開日:2024年4月29日 Original Article Science誌で、去年のBreakthrough賞に選ばれたのは、「GLP-1受容体作動薬」でした。 GLP-1受容体作動薬は、現在、2型糖尿病の治療法として一般的に使用されています。 この薬は、GLP-1受容体の活性 […] 続きを読む
運動によって血管が健康になるメカニズム 公開日:2024年3月16日 Original Article 運動によって脳が健康になることはこれまでも何回か取り上げてきました [1, 2, 3, 4] もちろん、脳だけでなく、体全体を張り巡らしている「血管」自体の健康も促す事は周知の事だと思います。 今回、アメリカ・カリフォル […] 続きを読む
ストレスで骨髄細胞からMMP8が発現し、脳内環境を変化させる 公開日:2024年3月13日 Original Article ストレス社会と言われる現代。 テレビでも、ストレスでうつ病になったり、病気に罹りやすくなったりする人達の特集が組まれているのをよく見かけます。 でも、なぜストレスで心と体にこんなにも影響が出るのでしょうか? アメリカ・マ […] 続きを読む
Aβは細胞膜に埋め込まれてイオンチャネルの働きをし、細胞のホメオスタシスを乱す 更新日:2024年4月18日 公開日:2024年3月9日 Original Article アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) のオリゴマー、フィブリルなどの集合体には神経毒性があり、シナプス障害を引き起こし、認知機能低下に繋がる事が示唆されています [1] 。 また、Aβがあると、神経活動が異 […] 続きを読む
TMEM106Bのコア蛋白の蓄積がTDP-43の病態に関与 公開日:2024年3月5日 Original Article TMEM106Bは、TDP-43陽性封入体を伴う前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar denegeration with TDP-43 immunoreactive inclusions, FTLD […] 続きを読む
ミクログリアの活性化と補体の抑制でアルツハイマー病を治療 公開日:2024年3月1日 Original Article 脳の掃除屋、ミクログリア。 アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) の脳内に蓄積するアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) プラーク周囲にも集族し、Aβプラークを除去しようと頑張 […] 続きを読む
APOEの機能を喪失したら、脳が健康に 更新日:2024年2月28日 公開日:2024年2月27日 Original Article APOEにはAPOE ε2、ε3、ε4の3つのアイソフォームがあり、APOE4はアルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) の最大のリスク多型となります [1] APOE2はADにはなりにくいで […] 続きを読む
LATEでもcryptic splicingが増えている 更新日:2024年2月29日 公開日:2024年2月26日 Original Article 先日、TDP-43プロテイノパチーにおける cryptic exons の発現が筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis, ALS)などで発症前から増加するという論文 [1] を紹介 […] 続きを読む
α-シヌクレインのアイソフォームの凝集化速度いろいろ 公開日:2024年2月23日 Original Article α-シヌクレイン (αsynuclein, αsyn)は、パーキンソン病 (Parkinson's disease, PD) やレヴィ小体型認知症 (Dementia with Lewy bodies, DLB) 、多系 […] 続きを読む
レカネマブの副作用ARIAによる死亡症例報告 公開日:2024年2月22日 Original Article アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) の治療法として、アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) に対する抗体療法が開発されましたが、 その臨床試験が開始されてから今まで、副作用と […] 続きを読む
「HDGFL2」のcryptic exon転写産物は、早期ALSのバイオマーカーとなり得るか? 公開日:2024年2月19日 Original Article TAR DNA-binding protein 43(TDP-43)には様々な機能が報告されていますが、その中でも重要なものとして、「遺伝子を正確に転写させる機能」があります。 筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic […] 続きを読む
医原生アルツハイマー病!? 更新日:2024年2月19日 公開日:2024年2月18日 Original Article 「アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) のタウやパーキンソン病 (Parkinson's disease, PD) のα-シヌクレイン (α-synuclein, α-syn)が、プリオン […] 続きを読む
ワン・ツー・パンチでアルツハイマー病を撃退 更新日:2024年3月2日 公開日:2024年2月15日 Original Article アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) に対する抗アミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) 抗体が承認され、「疾患修飾薬はない」と言われ続けていたAD治療の分野は大きく前進しました […] 続きを読む
アストロサイト由来の、脂質と結合した状態のアポEの構造 公開日:2024年2月14日 Original Article アポリポタンパクE(apolipoprotein E, APOE)司る遺伝子には、ε2, ε3, ε4の3つのアイソフォームがあり、APOE2はアルツハイマー病(Alzheimer's disease, AD)のリスクを […] 続きを読む
進行性核上性麻痺のGWAS解析 更新日:2024年2月19日 公開日:2024年2月11日 Original Article まだプレプリントだけど、驚いたので早めに書き留めておきます。 進行性核上性麻痺 (Progressive supranuclear palsy, PSP) 。 60-70歳くらいに多い、進行性の認知症、眼球運動障害、体幹 […] 続きを読む
PCAはやっぱりアルツハイマー病だった 公開日:2024年2月10日 Original Article 10年以上前の事ですが、外来で他科から紹介を受けた症例の脳MRIをみて驚いた事があります。(上のイメージは、Lancet の "Picture Quiz" より引用しました。) その方は、軽度の認知症と空間認識の障害、鬱 […] 続きを読む
パーキンソン病の生物学的定義/区分について提唱 公開日:2024年2月6日 Original Article パーキンソン病 (Parkinson's disease, PD) の4大症状は、振戦、固縮、無動・寡動、姿勢反射障害と言われており、進行性に運動障害をきたします。 また、便秘、嗅覚障害、レム睡眠行動異常(Rapid e […] 続きを読む
神経は細動脈の血管平滑筋にシナプス様の突起を伸ばして、Neurovascular Couplingを形成していた 更新日:2024年2月3日 公開日:2024年2月2日 Original Article 脳の神経活動と脳血流は密接に連動しています。 神経活動が高まれば、その分多くの酸素を消費する必要があり [1]、その酸素を供給するため、神経活動の高い部分により多くの血流が流れます。 この現象を Neurovascula […] 続きを読む
髄液中p-tau205はアルツハイマー病の脳内のタウ病理を反映する 更新日:2024年1月30日 公開日:2024年1月29日 Original Article 私達にとってはおなじみのリン酸化タウ抗体AT8。エピトープはタウのS202とT205のリン酸化部位です [1] 。 このp-tau202/205抗体は、AD脳の神経原線維変化を綺麗に検出します。 じゃあ、これって、アルツ […] 続きを読む
パーキンソン病患者さんの歩行を助けるロボ 更新日:2024年2月3日 公開日:2024年1月26日 Original Article パーキンソン病(Parkinson's disease, PD)は、非運動症状(睡眠障害、便秘、嗅覚異常 etc.)の後に、運動症状(安静時振戦、筋強剛、無動/寡動、姿勢反射障害 etc.)をきたし、重症化すると歩行が困 […] 続きを読む
髄液中GAP-43は、Aβに関連したタウ病理を反映する 公開日:2024年1月25日 Original Article アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) の二大病理のひとつ、タウ凝集体の病理は、シナプスを介して広がっていくことが分かっています [1,2,3]。 また、二大病理のもう一つ、アミロイドβ ( […] 続きを読む
α-シヌクレインを減らしてパーキンソン病を防ぐ 更新日:2024年2月3日 公開日:2024年1月17日 Original Article パーキンソン病 (Parkinson's disease, PD) はその多くが孤発性ですが、10%程度に遺伝性で発症する家族性PDがあります [1]。 その中で、主要病理蛋白であるα-シヌクレイン (α-synucle […] 続きを読む
APOE-E136S (Christchurch) 変異がアルツハイマー病に打ち勝つメカニズム 更新日:2024年1月14日 公開日:2024年1月13日 Original Article 以前、PSEN1-E280A変異という強力な家族性アルツハイマー病(Alzheimer's disease, AD)の遺伝子変異を持ちながら、70歳まで認知症を発症しなかった、APOE3 R136S変異(Chistchu […] 続きを読む
TMEM106B凝集体はLATE症例にも多く存在していた 更新日:2023年6月16日 公開日:2023年6月15日 Original Article TMEM106Bは、後期エンドソーム/リソソームの膜タンパクで、TDP-43プロテイノパチーのリスク多型となる遺伝子の一つでもあり [1]、以前から注目されていました。 特に昨年、FTLD-TDPや、普通のAging脳内 […] 続きを読む
家族性ADに打ち勝つ遺伝子変異:RELN-COLBOS変異(RELN H3447) 更新日:2024年1月15日 公開日:2023年6月9日 Original Article 以前、PSEN1-E280A変異という強力な家族性ADの遺伝子変異を持ちながら、70歳まで認知症を発症しなかった、APOE3 R136S変異(Chistchurch変異)の症例 [1] について取り上げましたが、 今回同 […] 続きを読む
低複雑性ドメインのアミノ酸主鎖同士の水素結合が、特定のタンパクの液液相分離および凝集化に関与 更新日:2023年5月11日 公開日:2022年8月12日 Original Article タンパク質は、通常、20種類のアミノ酸がバランス良く含まれている事が多く、それらのタンパク質はAnfinsenのドグマに従い、特定の構造に折りたたまれます。 しかしながら、20%程度のタンパク質の中には、限られた種類のア […] 続きを読む
タウの “マスター” リン酸化部位 更新日:2023年5月11日 公開日:2022年7月27日 Original Article Alzheimer's disease(AD)の主要病理の一つ、過リン酸化タウ。 タウには、リン酸化、ユビキチン火、アセチル化、メチル化、SUMO化、糖化……と、様々な翻訳後修飾(post-translational m […] 続きを読む
“細胞外” のAβプラークの起源は “細胞内” のオートリソソームだった 更新日:2023年5月11日 公開日:2022年7月14日 Original Article 「オートファジー」は、生態系の恒常性を維持する為になくてはならないものであり、アルツハイマー病(Alzheimer's disease, AD)を含む数々の変性疾患でオートファジー機能障害との関連性が示唆されています [ […] 続きを読む
保護中: PAAN/MIFをターゲットにしてパータナトスを阻害すると、パーキンソン病を防ぐことができる……か否か 更新日:2024年6月24日 公開日:2022年6月13日 Original Article この投稿はパスワードで保護されているため抜粋文はありません。 続きを読む
CCR5は、記憶同士をリンクする時間枠の窓(temporal window)を閉じる 更新日:2023年5月11日 公開日:2022年5月30日 Original Article 記憶の形成というのは色々と複雑な機序が絡み合っているという印象がありますが、「最初に入ってきた記憶が、そのちょっと後に入ってきた記憶の整理に影響する」というのは、私達の実社会でもなんとなく実感が湧くと思います。 マウスで […] 続きを読む
黒質ドパミン神経細胞の中でも、パーキンソン病で特にやられやすいサブタイプ 更新日:2024年2月3日 公開日:2022年5月20日 Original Article パーキンソン病(Parkinson's disease, PD)は、黒質緻密部(substantia nigra pars compacta, SNc)のドパミン(DA)神経細胞が障害され、それに伴って振戦・固縮・動作緩 […] 続きを読む
TDP-43のC末断片はゲル状の細胞内封入体を作る 更新日:2023年5月11日 公開日:2022年5月16日 Original Article 先日、TDP-43の凝集体はアミロイドフィブリル状の構造をしておらず、もっとグチャッとしている……のような内容の論文 [1] について考察しましたが、 それに関連して……今回は、TDP-43のC末断片(TDP-25)凝集 […] 続きを読む
α-シヌクレインのNAC領域の変異(E83Q)の解析 更新日:2024年2月3日 公開日:2022年5月12日 Original Article α-シヌクレイン(α-synuclein, α-Syn)は、パーキンソン病(Parkinson's disease, PD)やレヴィ小体型認知症(dementia with Lewy bodies, DLB)の主要病理で […] 続きを読む
アルツハイマー病では、神経細胞の遺伝子がより多く変異している 更新日:2023年5月11日 公開日:2022年5月8日 Original Article 私達は、普段何気なく生活しているこの瞬間にも、どこかの体細胞の遺伝子が傷つき、損傷と自己修復を繰り返しています。 増殖抑止機能の部分の遺伝子修復が追いつかなかったりして、自己増殖能がイカれた細胞の一部はがん細胞として独り […] 続きを読む
ジワジワと進展してきたタウが下前頭回でAβと出会った時、新皮質への爆発的広がりの扉が開く 更新日:2024年2月3日 公開日:2022年5月4日 Original Article 私が研究を始めた頃、アミロイドβ(amyloid beta, Aβ)がアルツハイマー病(Alzheimer's disease, AD)の根本的原因とする「アミロイド仮説」が全て、のような雰囲気がありました。 「Aβが溜 […] 続きを読む