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パーキンソン病

糖尿病の薬がパーキンソン病に効く?:GLP-1受容体作動薬lixisenatideの第二相試験の結果

Science誌で、去年のBreakthrough賞に選ばれたのは、「GLP-1受容体作動薬」でした。 GLP-1受容体作動薬は、現在、2型糖尿病の治療法として一般的に使用されています。 この薬は、GLP-1受容体の活性を上げることで、腸管からの糖の吸収を抑える働きがあります [1] 。 同時に、食欲も抑え [2]、アメリカでは抗肥満薬としてもFDAに認可されています。 それだけでなく、心不全や血 […]

パーキンソン病の生物学的定義/区分について提唱

パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) の4大症状は、振戦、固縮、無動・寡動、姿勢反射障害と言われており、進行性に運動障害をきたします。 また、便秘、嗅覚障害、レム睡眠行動異常(Rapid eye movement (REM) sleep behavior disorder, RBD)、精神症状、認知症など、多彩な非運動症状をきたし、それらの多くは運動症状よ […]

パーキンソン病患者さんの歩行を助けるロボ

パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)は、非運動症状(睡眠障害、便秘、嗅覚異常 etc.)の後に、運動症状(安静時振戦、筋強剛、無動/寡動、姿勢反射障害 etc.)をきたし、重症化すると歩行が困難になります。 運動症状は、早期の段階ではL-DOPAやドパミン受容体アゴニストなどの薬物療法で改善できますが、症状が進行すると、薬物療法だけでは対応できず、脳深部刺激 […]

α-シヌクレインを減らしてパーキンソン病を防ぐ

パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) はその多くが孤発性ですが、10%程度に遺伝性で発症する家族性PDがあります [1]。 その中で、主要病理蛋白であるα-シヌクレイン (α-synuclein, α-syn) をコードするSNCA遺伝子のコピー数が2倍体 [2]、3倍体 [3] と、α-synの発現量が増えることで家族性PD(PARK4)を発症することが […]

2023年 今年のブレイクスルー研究(Science)

年の瀬、各誌この1年のブレイクスルーや来年の展望etc.をまとめています。 諸事情で、帰国後ほとんど post 出来なかった Self Journal Club ですが、少し the shape of the land が見えてきたように思うので、こちらも徐々に復活させていきたいです。 まずは、毎年楽しみにしている Science の Breakthrough of the Year から。 20 […]

黒質ドパミン神経細胞の中でも、パーキンソン病で特にやられやすいサブタイプ

パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)は、黒質緻密部(substantia nigra pars compacta, SNc)のドパミン(DA)神経細胞が障害され、それに伴って振戦・固縮・動作緩慢・姿勢反射障害などのパーキンソン運動神経症状が現れます。 なぜこの部分のDA神経が最も障害されやすいかについては酸化ストレス [1] やカルシウム代謝 [2] 、投射 […]

α-シヌクレインのNAC領域の変異(E83Q)の解析

α-シヌクレイン(α-synuclein, α-Syn)は、パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)やレヴィ小体型認知症(dementia with Lewy bodies, DLB)の主要病理であるレヴィ小体の構成蛋白の一つで、この蛋白をコードする遺伝子 SNCA の変異は、家族性PDの原因遺伝子の一つにもなっています。 SNCAの点変異 A53T [1] A […]

ジワジワと進展してきたタウが下前頭回でAβと出会った時、新皮質への爆発的広がりの扉が開く

私が研究を始めた頃、アミロイドβ(amyloid beta, Aβ)がアルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の根本的原因とする「アミロイド仮説」が全て、のような雰囲気がありました。 「Aβが溜まり始め、それがタウのリン酸化を引き起こし、神経原線維変化(neurofibrillary tangles, NFT)となって神経細胞が死んでいき、認知機能が低下してい […]

変異GCaseはシャペロン介在性オートファジーを阻害する

ゴーシェ病の原因遺伝子 GBA1。 GBA1 はリソソーム脂質加水分解酵素グルコセレブロシダーゼ(Glucocerebrosidase, GCase)をコードする遺伝子で [1] 、GBA1のホモ変異でGCaseの活性が低下し、基質のグルコセレブロシドが肝脾、骨髄、脳内などに蓄積し重篤な症状をきたします。 この変異をヘテロで持つキャリアの人達は、ゴーシェ病への罹患は免れますが、晩年パーキンソン病( […]

Alzforum: 2021年のまとめと2022年の展望

今年に入ってから、身内の手術やメンターの他界などであまり頭が働かず、論文もアブストをさらっと見るだけで、内容をまともに読めていませんでした。 でも、このまま停滞していても良くないので、一人抄読会を再開しようと思います。 仕切り直しの初回は、論文ではなく Alzforum から。 先月に投稿されていた2021年のまとめ記事で、頭を整理し直したいと思います。 Aβ抗体による治療 アデュカヌマブ(Adu […]

黒質のドパミン神経特異的にミトコンドリア機能を阻害したら、パーキンソン病の各症状が順に現れる

パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)の原因には、遺伝要因の他に環境要因も示唆されています [1, 2]。 有名なのは、農薬の一種であるロテノン(rotenone)や、合成麻薬の成分の一つである MPTP(1-Methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)が典型的なパーキンソニズムをきたす、というもので、 これらはミトコ […]

ミクログリアはナノチューブを介して、お隣さんにα-synをおすそ分けする

ミクログリアは脳内のお掃除屋さんで、アミロイドβ(Amyloid beta, Aβ)、タウ、αシヌクレイン(α-synuclein, α-syn)など、神経変性疾患に関わる様々な病的蛋白を貪食・分解・除去してくれています。 でも、ミクリグリアにだってキャパシティがあり、あまりにたくさんの病的蛋白を処理しなければならないと、お腹いっぱいですぐにキャパ超えしてしまいます。 そんな時、ミクログリア達はど […]

PD/MSA由来増幅 α-Syn の ドパミン神経細胞毒性についてと、DJ-1 欠失の影響について検証

パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) と多系統萎縮症 (Multiple system atrophy, MSA) の主体病理は α-シヌクレイン (α-synuclein, α-syn) の凝集体で、 その凝集体の構造の違いが、病理の脳内分布や臨床症状の違いに影響を与えている、という考えが一般的になっています [1] 。 以前、ベルギーの Dr. Bae […]

線条体のドパミンバランスは幻覚を引き起こす……ということをマウスで検証

幻聴・幻視などの幻覚、とくに幻聴は統合失調症の患者さんに多くみられる症状ですが、 パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) などでドパミンアゴニストなどを内服している患者さんにもよく起こります。 それらの症例の共通点としてドパミンバランスの異常があるので、幻覚はドパミンバランスの異常が関係していると考えられてきました。 ただ、それを実験系で証明するのはちょっと […]

髄膜リンパ管のドレナージ不全が、パーキンソン病の病態に関与する

長らく、脳にはリンパ管が存在しないと言われていましたが、 1987年、脳の表層にある髄膜には「リンパ管がある」と報告されていました [1]。 その後この発見はしばらく歴史に埋もれていましたが、 40年程経った2013年以降、「やっぱり髄膜にリンパ管がある」という再発見が報告され [2, 3, 4]、業界を沸かせました。   「リンパ管がある」というのは、異常タンパクの凝集が大問題となる神 […]

Alzforum: 2020年のまとめと2021年の展望

アルツハイマー病 (Alzheimier’s disease, AD) 等の変性疾患を研究する人達ならほぼほぼお世話になっているであろう、Alzforum。 今年も例年通り、2020年のまとめと、2021年の展望を発表しました。 2020年を振り返って 昨年は、COVID-19の影響で、AD患者さんは、社会的隔離による認知症症状の悪化に苦しみました。 また、研究者達にも大きな影響を与え […]

食道のレヴィ病理はLBDの進行と相関が高い

パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD) 認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson’s disease dementia, PDD) レヴィ(Lewy)小体型認知症(Dementia with Lewy bodies, DLB) などは、 αシヌクレイン(α-synuclein, α-syn)の凝集を主成分とした、 Lewy小体(Lewy bo […]

αシヌクレイン凝集形成の多様性について真面目に検証

αシヌクレイン(α-synuclein, α-syn)は、パーキンソン病、レビィ小体型認知症、多系統萎縮症など、シヌクレイノパチーの主要病理タンパクとして研究が進められており、 α-syn凝集体の多様性が疾患や病理の多様性を生んでいる、という考えが主流となっています。 α-synは、タウetc.と違って、ただ振盪させているだけでモノマーが勝手に凝集していくのですが、 今までは、その時のバッファーの […]

LRRK2はミクログリアの神経毒性を惹起する

α-シヌクレイン(α-synuclein, α-syn) は、ミクログリアを活性化し、神経障害に関与する事が知られていますが、その詳細なメカニズムについては議論が続いています。 アメリカNIH, NIAのDr. Kim, Dr. Masliahらの研究グループは、 α-synのオリゴマーがToll-like receptro2 (TLR2) を介してミクログリアを活性化し [1]、 nuclear […]

PD遺伝子変異が特発性レム睡眠行動異常に関連するか

レム睡眠行動異常(rapid-eye-movement sleep behavior disorder, RBD)は、レム睡眠期の筋緊張低下が消失し、夢の内容によって実際に体が動いてしまう症状です。 RBDとパーキンソン病(Parkinson disease, PD)関連疾患との関係は強く、 特発性RBD(isolated RBD, iRBD)の発症から10年以上経つと、多くの患者さんがパーキンソ […]

FBXO7のヘテロ変異の組み合わせで家族性若年性PD発症

F-box protein 7 (FBXO7) は、常染色体劣性遺伝型パーキンソニズムの原因遺伝子であるが、そのフェノタイプは様々。   今回、アメリカ・ワシントン大学のDr. Zabetianらの研究グループは、FBXO7に2箇所の変異を持つ、若年性パーキンソニズムを発症した姉妹(onsetはそれぞれ21才と27歳)について報告した。 FBXO7のヘテロ変異の組み合わせで家族性若年性P […]

グリアをドパミン神経に変えてパーキンソン病を治す

以前、CRISPR-Rxシステムを使ってpolypyrimidine tract-binding protein 1 (Ptbp1) をノックダウンし、 アストログリアを網膜細胞や線条体のドパミン神経細胞(domamin neuron, DA neuron)に変換して機能回復を得られた、 という論文 [1] を紹介しました(こちら)。   今回は、PTBに対するshRNA(shPTB)を […]

アポモルフィンの持続投与でPDの前屈症改善

前屈症(camptocormia)はパーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)の3-17%で発症し、患者のQOLを著しく下げる。 残念なことに、このcamptocormiaは、L-DOPAや脳深部刺激療法(deep brain stimulation, DBS)、ボトックス注射等の効果が芳しくない。 日本では、ウェアリングオフのレスキュー剤として使用されているアポ […]

α-Synオリゴマーがフェロトーシスを誘導する

パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) などのシヌクレイノパチーでは、α-シヌクレイン (α-Syn) の異常凝集、蓄積が起こる。 α-Synモノマーは脂質に作用してシナプス小胞のトラフィッキングに関与するとも考えられている。 α-Synオリゴマーは、細胞膜やミトコンドリア膜の脂質酸化、ミトコンドリアタンパクの酸化etc.を介して、ミトコンドリアのアポトーシ […]

PD, MSA, DLBのα-Synの増幅

アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease, AD) やパーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) などの神経変性疾患の研究領域では、 異常に凝集したタンパクが細胞内外に蓄積し、病理の進展および神経変性を誘導している、というのが概ねコンセンサスになっています。 このタンパク凝集体の性質を調べる為、多くの研究室では、 患者の脳内から凝集 […]

PDでは、腸管神経の遺伝子変化が早期から認められる

Genome-wide association studies (GWAS) により、脳疾患に関連する様々な遺伝子変異が同定された。 しかしながら、single cellでの解析は未開。   そこで、スウェーデンKarolinska研究所のSullivan、Hjerling-Lefflerらの研究グループは、マウスのsingle-cell transcriptomeデータとヒトのGWAS […]

グリアをニューロンに変えて病気を治す

脳内のグリア細胞を神経細胞に変化させると、神経変性疾患などで失った神経を補充し、機能改善させる事ができる。 以前、中国の研究グループから、in vitroでpolypyrimidine tract-binding protein 1 (Ptbp1)をノックダウンすると、線維芽細胞などが機能的な神経細胞に変化する事が報告されていた(Xue et al., Cell, 2013)。 今回、中国の別のグ […]

PDの黒質ではミクログリアが老化している

中脳黒質緻密部のドパミン神経細胞の変性は、加齢と共に進行し、とくにパーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)に特徴的である。 加齢はPDの最も大きなリスク因子である事から、アメリカ・フロリダ医科大学のKhoshboueiらのグループは、加齢と共に黒質のミクログリアの老化(senescence)が起こっているのではないかと仮説を立て、野生型マウス(C57BL/J6マ […]

ビタミンB12でPDの認知症予防?

ビタミンB12でPDの認知症予防? 米メイヨークリニックのSavicaらの研究グループは、パーキンソン病 (Parkinson’s disease, PD) の患者の血漿中ビタミンB12(VitB12)レベルを調べた。 結果、PDで認知症を発症しなかった患者群で血漿中のVitB12レベルが高かった(648.5 ng/L vs 452 ng/L, p < 0.05) 。 VitB1 […]

パーキンソン病にニューチュリン遺伝子治療……結果は?

米シカゴのRush大学のChu, Kordower et al., は、パーキンソン病(Parkinson’s disease, PD)の患者で、AAV2-neurturin (CERE120) の遺伝子治療後8-10年で死亡した検体を病理解析した。 ニューチュリン遺伝子治療後のPD脳の病理 CERE120は、1例は両側被殻に接種され(術後10年)、もう1例は両側被殻と両側黒質緻密部に […]