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個体の発生段階で、神経回路が形成されていくわけですが、このダイナミックな動きには、色々な分子の増減が関わっていて、

その時間・空画的な制御をイメージすると、その精密さはまさに「神業」と思ってしまいます。

 

今回、アメリカ・オレゴン大学のDr. Ackerman、Dr. Doeらの研究グループは、ショウジョウバエモデルを使って、

運動神経回路形成のゴールデンタイムをアストロサイトが制御している、という研究結果を報告しました[1]

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ショウジョウバエの運動神経回路形成のゴールデンタイムは8時間

彼らは、アニオン透過型のチャネルロドプシンをショウジョウバエの運動神経細胞特異的に発現させ、

孵化後の時間を区切って、1時間ずつ神経を刺激したり抑制したりしました。

 

その結果、ショウジョウバエの運動神経回路形成は、孵化後8時間まで神経活動の影響を受ける事がわかりました。

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運動神経回路形成のゴールデンタイム決定をアストロサイトが担っている

次に、アストロサイトがこの期間に影響しているかどうか調べるため、このショウジョウバエのアストロサイトを除去して同様の実験をおこないました。

すると、アストロサイトを除去したショウジョウバエでは、ゴールデンタイムの8時間を過ぎても、樹状突起の伸長が神経刺激に影響を受けることがわかりました。

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アストロサイトーニューロン間のNlg2-Nrx-1シグナルがゴールデンタイムを決める

アストロサイトがどうやってこのゴールデンタイムを決定しているのか調べるため、彼らはアストロサイト特異的に色々な遺伝子をノックダウンしてスクリーニングしました。

 

結果、Neuroligine2 (Nlg2) をノックダウンしたときにこの効果が相殺され、

運動神経経路形成のゴールデンタイム決定に、アストロサイトーニューロン間の Nlg2-Nrx-1シグナルの関与が示唆されました。

 

Nrx-1は、微小管の安定化を介して、ニューロンの樹状突起伸長調節に寄与していました。

 

運動系経路形成のゴールデンタイムを延長させたショウジョウバエでは、飛び方が異常をきたしており、

このゴールデンタイムが適切に調節されることが、正常な運動神経回路形成に重要であると考えられました。

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Reference

  1. Ackerman SD, Perez-Catalan NA, Freeman MR, Doe CQ. Astrocytes close a motor circuit critical period. Nature. 2021 Apr 7. doi: 10.1038/s41586-021-03441-2. Epub ahead of print. PMID: 33828296.