以前、A53T変異の入ったBAC-SNCA-Tgマウスを解析していた事があり、
その際、α-シヌクレイン(α-syn)のオリゴマー抗体(SynO1)とフィブリル抗体(SynF2)を使って、
α-synのオリゴマーが特定の部位で増加している、
という研究結果を報告しましたが…
その時のアッセイで、
- SynO1もSynF2も、ある程度まではモノマーに結合するなー
- SynO1はフィブリルにも結合してそうだなー
という印象を持っていました。
(もちろん、感受性にはかなりの違いがありますが。)
今回、スイス・Brain Mind研究所のDr. Lashuelらの研究グループは、
世に出ている18種類のα-syn抗体(うち、16種類は構造特異的抗体)の特異度を
- Slot blot analysis
- Western blot analysis
- Biacore studies for binding affinity measurements
- Digital sandwich ELISA (SIMOA) assay
等でvalidationしました [1]。
Increasing evidence suggests that alpha-synuclein (α-syn) oligomers are obligate intermediates in the pathway involved in α-syn fibrillization and Lew…
α-synオリゴマーの特異度を検証
結果は、
- 特定の構造(モノマー、オリゴマー、フィブリル)のα-synだけに結合する抗体はゼロ
- オリゴマー特異的抗体と言われている抗体は、α-synフィブリルも認識する
- オリゴマーとフィブリルに結合し、モノマーに結合しない抗体もある
というもの。
ほとんどのオリゴマー抗体はフィブリルにも結合するので、
これらの抗体を使って「オリゴマー特異的」と結論づけていた研究等は
ちょっと見直しが必要がありそうです。
…って、私もか…orz…
まあ、このスタディーにはO1とF2は入っていないんだけれど…でも…
Reference
- Kumar ST, Jagannath S, Francois C, Vanderstichele H, Stoops E, Lashuel HA. How specific are the conformation-specific α-synuclein antibodies? Characterization and validation of 16 α-synuclein conformation-specific antibodies using well-characterized preparations of α-synuclein monomers, fibrils and oligomers with distinct structures and morphology. Neurobiol Dis. 2020 Sep 22;146:105086. doi: 10.1016/j.nbd.2020.105086. Epub ahead of print. PMID:32971232.