英語による「戦略的スピーキング」のワークショップ第1回目を受けました。
以前、説明会に出席し、心待ちにしていた「Language ConnectED」主催の「Strategically Speaking」プログラム。 コロナ禍で開催を見送られていましたが、今春、オンラインでのトレーニングプロ …
このワークショップには、私の他、日本、中国、韓国、ヨーロッパ圏 etc. それぞれ英語を母国語としない国から渡米してきた研究者達が参加していました。
第1回目のテーマは、
Small Talk, Networking, and Basics of Communicating your Science です。
National Postdoctoral Association (NPA) の紹介
National Postdoctoral Association (NPA) とは、アメリカの非営利団体で、ポスドク達が自身の能力を伸ばすためのサポートを行っています。
2021年現在、約180の組織が加入し、40,000人のポスドク、2,000人の個人メンバーがいるそうです。
NPAがバックアップしている強化項目は下記6点。
- Discipline-specific conceptual knowledge
- Research skill development
- Communication skills
- Professionalism
- Leadership and management skills
- Responsible conduct of research
ウェブサイトはこちら ▼
詳細はこちら ▼ で開示されています。
今回のコースでは、上記6項目中、下記3点を中心に学んでいきます。
- コミュニケーション能力
- プロフェッショナリズム
- リーダーシップとマネージメントスキル
ネットワーキングとスモールトーク
ネットワーキングとは、自身のネットワークを広げることを指します。
例えば、
- 学会に参加して多くの知見を得たり
- その講演者に質問して意見を交わしたり
- 後日メールで共同研究を申し込んだり
- 自分の研究室の学生に講演をお願いしたり
などの活動がネットワーキング活動といえると思います。
一方、スモールトークとは、いわゆる「雑談」の事を指します。
「自分の研究の事だったら英語で話せるけど、「雑談」となると途端にみんなの会話についていけなくなる」
というのは、「留学したての研究者あるある」だと思いますが、
このスモールトークが、実はものすごく大事だ、というのです。
ここでいう「スモールトーク」とは、同じ「学会に参加」というシチュエーションで説明すると、
講演の開始10分前に席につき、その数分後に隣に人が座った時、その人と
- 学会に来た目的
- どこからどうやってきたか
- 今日の気候
- 学会の感想
- 自分の紹介
等々、 「雑談」によるコミュニケーションを図る事を言います。
この「雑談力」が非常に大切で、このスモールトークがその後の「ネットワーキング活動」へとつながっていく、というのです。
今回のワークショップでは、下記4点についてグループで話し合い、意見交換をしました。
- What are your current opportunities for networking?
- In the past year, when have you been able to network with other researchers in your fiel? Outside your field? Has this become easier or more difficult with Covid?
- What is the difference between networking and small talk?
- Who care? Like-who actually cares about your science? Who might you have to talk to about science?
アウトリーチ活動の重要性
日本のラボの所属していた頃は、「アカデミックデイ」といって、大学に所属するそれぞれのラボの研究内容を一般の人達に紹介する催し物が開かれていました。
このように、自分たちの研究を、一般の人達に広く知ってもらう活動を、「アウトリーチ活動」と言います。
アメリカでは、このアウトリーチ活動が非常に重要で、
ファカルティのポジションを得ようとしたり、製薬企業などで働こうとする場合、
必ず面接で
- どれくらいの回数アウトリーチ活動をしてきたか
- 誰を対象にアウトリーチ活動をしてきたか
- どんな内容のアウトリーチ活動をしてきたか
等を聞かれるそうです。
私の場合、自分の事に一生懸命で、アウトリーチ活動はなおざりになっていたところがありました。
これを機会に、これまでの自分の行動を反省し、
「アウトリーチ活動に積極的に参加しよう」
と思いました。
エレベーター・ピッチ
エレベーター・ピッチとは、このブログや読書ログでも何回か説明しましたが、
「エレベーターで会社上司や取引先の人などと鉢合わせた時、そのエレベーターから降りるまでの15秒から30秒までの間で、自分のプロジェクトについて簡潔かつ要点を得たプレゼンをする」
というコンセプトになります。
私達研究者に当てはめると、
「30秒間の間で、自分の研究プロジェクトについて、サイエンスがわからない人でも理解できるように説明する」
という事になります。
オーストリアのクイーンズランド大学では、このエレベーター・ピッチのトレーニングに力を入れていて、
毎年コンペティション (Three Minute Thesis, 3MT) も開催されています。
今回は、2020年度の3MTの次点をとった大学院生のプレゼンテーションを鑑賞し、そのポイントについて話し合いました。
発音のポイントは「アクセント」
これは多くの人達が聞いたことがあると思いますが、
ネイティブの人達が「ノンネイティブの英語がわからない」と感じる原因のほとんどが、「発音」と言うよりは「アクセント」なのだそうです。
逆に言うと、少しくらい発音が違っても、「アクセント」と「リズム」がそれっぽければ、内容は伝わる、とのこと。
ネイティブが一番困惑するのは、
「動詞なのに第一音節にアクセントを置いたり、名詞なのに最後の音節にアクセントを置いたり」する場合。
今回のワークショップでは、特に研究関連でよく使われる言葉のアクセントの位置について勉強しました。
ワークショップ 1 を受けた感想
90分間はあっという間でしたが、いずれもとてもためになる内容でした。
このワークショップでは宿題もたくさんでていて、期限までに講師の先生に提出し、フィードバックを受けなければなりません。
そして、その内容を元に、次のワークショップが進んでいく、という流れになっています。
何でもそうですが、話を聞くだけでは、自分のモノにはできません。
今回受けた講義とディスカッションの内容を自分の中で反芻し、宿題も全力で取り組んで、スキルを自分のモノにしていきたいと思います。