- レヴィ小体型認知症(Dementia with Lewy bodies, DLB)
- パーキンソン病認知症 (Parkinson's disease dementia, PDD) は、
Parkinson's disease (PD) に特徴的な運動機能症状に加えて認知機能障害を伴う疾患で、Lewy body dementia (LBD) と呼ばれています [1]。
以前はPD症状の発症前か発症1年以内に認知機能症状を発症したらDLB, それ以降だとPDDという 「1年ルール」によって区別されていましたが、最近、その境界はかなり曖昧になってきています。
LBDは、病理学的にはα-シヌクレイン (α-synuclein, α-syn)の凝集体を特徴とするシヌクレイノパチーに分類されますが、
アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) に特徴的な病理像(Aβプラークや神経原線維変化)も高頻度に合併します。
今回、アメリカ・National Institute on Aging (NIA) の Dr. Scholz らの研究グループは、LBDの患者さんのGWAS解析を行い、LBDのリスク多型として、既知の3リスク遺伝子に加え、新規遺伝子を同定しました [2]。
LBDのGWAS解析
彼らは、
- LBD患者:2,591人
- 健常人:4,027人
の whole-genome sequence (WGS) 解析を行った。
結果、既知のLBDリスク遺伝子
- GBA
- APOE
- SNCA
に加え、新たに
- BIN1
- TMEM175
を同定した。
これら5種類のリスク遺伝子のうち、
- GBA, SNCA, TMEM175 -> PD のリスク遺伝子
- APOE, BIN1 -> AD のリスク遺伝子
としても知られており、LBDは、遺伝学的にもPDとADと共通事項を持つ事が示唆された。
また、これらリスク遺伝子と臨床データとの相関をみると、
- PDリスク遺伝子を持つ人は、発症年齢が早い
- ADリスク遺伝子を持つ人は、発症してから死亡までの期間が短い
という事がわかった。
Whole-genome sequence analysis identifies five independent risk loci for Lewy body dementia and demonstrates overlapping genetic architecture with Alzheimer’s and Parkinson’s diseases.
References
- Gomperts SN. Lewy Body Dementias: Dementia With Lewy Bodies and Parkinson Disease Dementia. Continuum (Minneap Minn). 2016 Apr;22(2 Dementia):435-63. doi: 10.1212/CON.0000000000000309. PMID: 27042903; PMCID: PMC5390937.
- Chia, R., Sabir, M.S., Bandres-Ciga, S. et al. Genome sequencing analysis identifies new loci associated with Lewy body dementia and provides insights into its genetic architecture. Nat Genet 53, 294–303 (2021). https://doi.org/10.1038/s41588-021-00785-3