作品:カワセミ

長女 (10歳) は図画工作が好きで、アメリカの学校では毎年 Little Artists の一人に選ばれていました。

 

帰国後、彼女は日本の公立の小学校に通っていますが、先日、彼女の作品が地区の小学校の作品展に選ばれたと連絡があり、私達は家族全員で鑑賞に行きました。

小学生達の作品を眺めながら

案内のあった会場を訪れると、たくさんの小学生やその家族が集まっていました。

みんな、自分達の作品が選ばれて会場のどこかに展示されているのでしょう。

私達は人混みの流れに沿って、順番に各部屋を回っていきました。

 

今回は「版画」の作品展でした。「白と黒」、時に「赤青黃緑の単色と黒」のコントラストが映える、多くの力作が並んでいました。

やはり高学年になるほど手が混んでいて、複雑な作品が多くなっています。

ただ全体を通して、男の子の作品と女の子の作品で、ちょっとした違いが感じられました。

女の子の作品は、殆どが少女漫画風

私が気になったのは女の子達の作品……それらを眺めながら、私は自分の小学生の頃を回顧しました。

「そうだった。女の子の作品って、大体こうなっちゃうんだったなー。」

女の子は大体自分を描いた人物画の版画が多いのですが、高学年になればなれるほど、その人物画が少女漫画の主人公のような顔立ちになっていっていました。

 

私は、小学校の図画工作の時間に、先生が

「女の子達は、漫画に出てくる絵にならないように気をつけてね。」

と指導していた事を思い出しました。

 

私を含め、クラスの女の子の殆どは少女漫画を読んでいて、

「こんなふうにかわいい女の子が描けるようになりたい」

と、漫画やイラストの絵をお手本にして、ノートなどに人の顔の絵などをよく描いて練習していました。

なので、図工の時間に人物の絵を描こうとすると、どうしても少女漫画の画風から抜け出せなくなるのです。

 

アメリカの小中学校の作品展では、このように描いている女の子の作品は一つもありませんでした。

子どもたちの読む漫画の作風が違うせいか、学校の指導方法が違うせいかなどはわかりませんが、とにかく何かが違うのでしょう。

このような少女漫画風の作品をしばらくみかけていなかったので忘れていましたが、今回の作品展をみて鮮明に思い出しました。

……日本では、昔も今も、女の子達にとっての少女漫画やイラストの存在はとても大きいようです。

彼女の場合

そんな事を思い出しながら、私は長女の作品が展示されているブースにやってきました。

長女「ほら、あそこ!」

彼女が指差したそのさきには、目の覚めるような青と黒で描かれた鳥の版画が飾られていました。

長女の作品:木にとまるカワセミ
長女の作品:木にとまるカワセミ

「わあ、鳥かあ……。」

長女「青の綺麗なのを綺麗に見せたかったの。だから、カワセミにしたの。カワセミが、川のそばにある木の枝にとまっているの。」

「カワセミ……。」

 

タイトルは「木にとまるカワセミ」。

 

確かにカワセミは青い鳥ですが、版画では鳥の部分は黒で表されているので、「カワセミ」と言われなければ何の鳥かわかりませんでした。

けれども、川の清流を背景に、木の枝に止まりかけたカワセミという構図は、とても迫力がありました。

私は、彼女の作品だけ人物画ではなかった事、青が映えるためにカワセミを描こうと考えた事に、ちょっとした感動を覚えました。

 

「お母さん、この作品が一番好きだなー。」

長女「本当!?」

 

―― 本当に好きだなー。私が小学生の頃は、こうは描けなかっただろうなー。

と思いながら、私はしばらくその作品を眺めていました。

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