中脳黒質緻密部のドパミン神経細胞の変性は、加齢と共に進行し、とくにパーキンソン病(Parkinson's disease, PD)に特徴的である。
加齢はPDの最も大きなリスク因子である事から、アメリカ・フロリダ医科大学のKhoshboueiらのグループは、加齢と共に黒質のミクログリアの老化(senescence)が起こっているのではないかと仮説を立て、野生型マウス(C57BL/J6マウス、1 mo, 6 mo, 9 mo, 18 mo, 24 mo)で検証した。
PDの黒質ではミクログリアが老化している
tyrosine hydroxylase (TH) 陽性細胞の数は、黒質緻密部(SNc)では9 mo、腹側被蓋野(VTA)では6 mo後から減少した。
双方とも加齢と共にミクログリアの突起が減少し、細胞体の大きさが増加し、ミクログリアとドパミン神経細胞との接触が増えていた。
SNcでは、神経由来成長因子(BDNF)のTH mRNAに対する割合が減少していたが、VTAではそれがみられなかった。
これらのマウスは加齢と共に軽度の歩行の異常を示した。
これらの結果から、ミクログリアが老化するにつれ、その機能を補うべく、SNcやVTAのニューロンとの接触を増やして神経細胞をサポートしようとしていると考えられた。
Reference
- Fatemeh Shaerzadeh Leah Phan Douglas Miller Maxwell Dacquel William Hachmeister Carissa Hansen Alexandra Bechtle Duan Tu Maia Martcheva Thomas C. Foster Ashok Kumar Wolfgang J. Streit Habibeh Khoshbouei. Microglia senescence occurs in both substantia nigra and ventral tegmental area.
Glia. 2020 Apr 10. doi: 10.1002/glia.23834.