アメリカにきて半年ほど経ったある日の事。
フィラデルフィアの日本人コミュニティの、ある投稿が我が家で物議を醸しました。
「……無灯火で警察から職質されて、国際免許を見せたら、『この免許は無効だ』と言われて車を没収された……裁判ってどうすれば……」
え!?うちも国際免許で毎日通勤してるけど……
日本では1年間有効と言われてたけど、この免許じゃだめってこと……?
と慌て、長年こちらに在住している知り合いに聞きました。
その人によると、”居住” の場合、国際免許が有効なのは最初の2カ月程との事。
その時点で既に2カ月以上経過していたので、私達も ”無免許運転” となっていたわけです。
通勤だけなら電車でも可能なのですが、子供達の学校は駅の近くにないので、どうしても車が必要です。
すぐにこちらの免許を取らないといけません。
と、いうわけで、バタバタと免許取得に紛争しました。
今後必要な人達のために、ペンシルベニア州での運転免許取得までの流れを、こちらに書き留めておきたいと思います。(内容は州ごとに異なります。)
筆記試験(Knowledge Test)の準備
まずは、PennDOTのHP(こちら)へGO。
knowledge testに必要な書類を揃え、試験の勉強をします。
私達外国人居住者は、市民と違ってさらに多くの書類を準備しなければなりません……
Knowledge Testに必要な書類(外国人居住者用)
Knowledge Test に必要な書類は、下記7点。
- DL-180
- DS-2019
- 直近の I-94
- パスポート
- 居住を証明する書類2通(電気水道料金の請求書等。Photo ID があればそれ1点でOK)
- Social Security Card
- 支払い用の小切手(クレジットカードでもOK)
DL-180
申請書と健康診断書を兼ねた書式になっています。
まずはPennDOTのHPからDL-180の様式(こちら)をダウンロードし、かかりつけの内科医を受診し、診察、視力検査などを行います。
(ついでに採血もしましょうと言われて採血しましたが、免許取得には必要ありません。)
検査結果をDL-180に記入してもらいます。
DS-2019
有効期限が1年近くある事が重要です。
夫は元々2年間のDS-2019だったのですが、私は雇用の関係で1年間でした。
免許を取ろうとした時点で残りが半年だったので、このままでは試験を受けられません。
慌てて職場の事務に説明し、PIから次年度も雇用される証明をもらって次年度のDS-2019を作ってもらいました。
つまり、ビザの有効期限が元々1年の人は、こっちにきてすぐに運転免許を取得しないといけなかったわけです……反省。
直近のI-94
どこかのサイトに ”入国時、パスポートに押されたスタンプの事” とあったので、最初そのページを受付で見せました。
ところが、
「これじゃだめ。プリントアウトされた書類があるはず。」
と言われ、1回目は書類不備でしぶしぶ帰る事になりました。
(夫は 「photo IDの時はこれでいけたんだ」と、ゴリ押しして通してもらいましたが、受付の人によってはきっぱりと断られます。)
調べると、I-94を管轄しているサイトのHPから、View Travel History(こちら)へ入り、ここで個人情報を記入して取得する事がわかりました。
知っていたらすぐの作業だったのですが……これも反省。
パスポート
まあ、当たり前かな。
住居を証明する書類2通
公共料金の請求書等、住所が書いてある書類。
私達の場合は、居住後すぐにPhoto ID(こちら)を取得していたので、このカード1枚でOKでした。
Social Security Card
いつでもどこでも必要なSSN……
支払い用の小切手
実際に免許センターに行くと、クレジットカードでもOKでした。
あとは、knowledge testにでる内容のマニュアル書(こちら)をダウンロードし、ひたすら暗記。
交通ルールは大体同じだけど、アルコールOKの基準値etc.、覚えないといけない事もまあまああります。
この機会に見慣れない道路標識も再確認しました。
筆記試験(Knowledge Test)
自宅から一番近いところにあるDriver License Center(こちらでチェックできます)に行き、必要書類を提出。
漏れがない事を確認されると、ずらっと並んだコンピューターの所に案内されます。
あとは、コンピューターの指示に従い、タッチパネル形式で4択の質問に答えていきます。
ここでは英語以外にも、様々な言語が選択可能で、日本語も選択できます。
2問までは間違えてもOK。
10問正解した時点で終了です。
試験勉強をしていたら簡単に解ける問題ばかりでしたが、マニュアルを読まずに受けるとちょっときついと思います。
実技試験
免許センター(こちら)に行って試験を受けるのですが、普通に予約しようとするとどこも3カ月くらい先まで予約が埋まっていました。
夫が運よくキャンセル待ちを見つけて、自宅から40分ほどの免許センターに試験を受けに行ったのですが……
彼は長らく列に並ばされた挙句、試験開始の時点で
「君は助手席に運転免許を持つ人を乗せていないじゃないか!ダメダメ。」
と試験官から言われ、試験を受けさせてもらえませんでした。
(後から同僚に聞くと、knowledge testに合格してから実技試験までは、所謂仮免の状態なので、常に運転免許を持つ人を同伴して運転しないといけないという決まりになっているそうです。)
一旦引き下がったものの、あきらめきれずに車の中でPennDOTのHPを確認していた夫……国際免許を持っている人はそれを提示すればOK、という記載を見つけます。
彼は再度受け付けに行ってその部分を提示し、国際免許証を見せて交渉しました。
受付の人が試験官に説明し、試験官はしぶしぶOK。
再びチャンスを得ましたが……
その時点ですでに試験官の印象は最悪だったため、開始直後からピリピリムード……
試験官の指示(英語)の意味をすぐに理解できずに反応に遅れると、そのまま落とされてしまいました。
「僕は大学で何を学んできたんだ。試験の前は傾向と対策じゃないか……。」
と意味不明な言葉を呟きながら、彼はその後、YouTubeで教習所の人が解説しているものや、実際の試験を隠し撮りした投稿などをひたすら見て対策していました。
ほどなくして、委託された第3セクター(こちら)でも試験を受ける事が可能で、そちらの方が自宅から近いし、優しい試験官が多い事を聞きました。
自宅から車で5分ほどの所にある教習所に電話すると、2人とも数日後にすぐに予約が取れました。
そして、猛省後にばっちりと傾向と対策を整えた夫と、それに便乗した私は、前回の惨劇とは打って変わって、すんなりと合格しました。
実技試験に必要な書類
- knowledge testの合格証明書
- 車の保険証
- 車の登録証
- photo ID
念のため国際免許証も持っていきました。
実技試験内容
基本的な車の操作の確認
- ライトをつけたり、消したり、アッパーにしたり。(headlight, fog light, brake light, emergency flasher / hazard light...ひととおり指示されます。)
- ハンドブレーキ(emergency brake / parking brake)をかけたり外したり。
- ウィンカー(turn signal / indicator)を指示通りに出したり。
全て簡単な指示なのですが、言葉がわからないと指示に従えないので、基本的な言葉は予めチェックしておく必要があります。
縦列駐車
4つのコーンで区切られた枠内に収まるように縦列駐車をします。
切り返しは、前3回、後ろ3回まで。
枠内に入ったと思ったら試験官に伝え、彼が外を降りて確認します。
走行
上2つをクリアすると、公道に出て、試験官の指示に従って車を進めていきます。
10~15分ほどポイントの個所を周ると、試験場に戻り、ブレーキをかけて終了です。
試験官がその場でOKサインをくれて、ほっと一安心しました。
特に日本人がひっかかりやすいポイントとしては、
- 縦列駐車の時に、右ウインカーを出し忘れて減点。(私達はハザードをつける習慣がありますが、ここではウインカーを使います。)
- 公道で左折するとき、左折後すぐは一番左側のレーン(つまり中央分離帯側)に入らないといけないが、それを知らずに右側のレーンに入って即アウト。
という事があるようなので、心に留めておくと良いと思います。
建物内に戻り、簡単な書類に署名をすると、試験は終了です。
数日後に証明書が自宅に届き、それをセンターに提出して新しい免許証を作ってもらいました。
一時はどうなることかと思いましたが、無事に免許がとれて安心しました。
ただ、運転免許の有効期限は普通4年くらいなのですが、私達のような外国人居住者の場合はビザの有効期限までと決められているようです。
私のビザは1年更新なので、毎年免許の更新に行く必要があります……外国人居住者の辛いところです。