空席

同じ部屋の同僚がラボに来なくなって、約3カ月が過ぎました。

彼女の机は、時々ノートやメモの配置が変わっているなと気づくときもありますが、概ね3カ月前のままです。

その間、一度、彼女と会う機会があったのですが、その時、彼女は「今、病欠依頼を出している」と寂しそうに笑っていました。

 

きっかけはいつも行われているミーティングでした。

彼女はかなり準備して発表に臨んでいましたが、内容が長すぎたり、ポイントがずれているなどの指摘を受け、PIから強制的に発表を終了させられました。

彼女は自分の席についてから涙を流し、その数日後から姿を見せなくなりました。

 

時が止まったようなその席を眺めながら、私は以前ラボで働いていた人の言葉を思い返していました。

「……同僚のポスドクが、ある時ぱったりラボに来なくなって、その数か月後にその人の机が綺麗さっぱり片づけられていたんだ。ここではよくある事だよ。」

 

 

私もミーティングでかなりきつい言葉を受けて落ち込んでいた事があったので、彼女には何とか立ち直り、できればまたここに戻ってきてほしいです。

今度彼女と会ったら、笑顔で話しかけたいな、と思います。

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