少し前にラボのみんながお別れ会を開いてくれましたが、それ以外にも多くの方々から、個別に食事に誘ってもらったり、時間をとってミーティングをしてもらったり、手紙をもらったりしました。
それらの中で、特に今後の成長の糧になりそうだと感じた言葉やアドバイスを書き残しておきたいと思います。
Words of Wisdom:ホープ助教
「最後にアメリカ食のレストランでお昼でもどう?」
そう言って、ラボの助教が私達夫婦をランチに誘ってくれました。
彼は、ラボのホープとも言えるべき人物の一人で、以前も私達が辛い思いをしていた時にとても有益なアドバイスをくれていました。
先日の仕事中に、お昼ご飯を食べようとカンファレンスルームに行きましたが、すでにたくさんの人達が賑やかにお昼をとっていました。 ちょっとみんなと話す元気まではなかったので、私は一人でお昼ご飯を食べられる場所を探しました。 …
アメリカバーガーを食べながら
連れて行ってもらったところは、Phillyでも人気のアメリカメニューのお店でした。
店内には既にたくさんのお客さんが入っており、みんな楽しそうに食事をしていました。
私達は、アメリカの見納めにと大きなチーズバーガーを頼み、フォークとナイフで悪戦苦闘しながら美味しくいただきました。
話し上手の彼は、食事をしながら楽しい話を展開してくれました。
- もうすぐテニュア助教に申請する事
- でもすでにたくさんの大型グラントを獲得しているので、彼にとってはそこまで影響はない事
- 今後予定している研究内容の事
- 新しく雇用予定のポスドクの事
- etc.
新しく採用予定のポスドクは韓国からやってきて、優秀そうだと話してくれました。
私達は、どうやって採用するポスドクを選別するのか聞いてみました。
海外から応募してくるポスドクは優秀フィルターで選別済み
彼は言いました。
「まあ、アジアとか地球の裏側からわざわざ海を渡ってやってこようとするポスドクはある程度やる気と自信がある人ってことだよね。
自分に自信がなければ、アプライしてこないでしょ。
そーゆー意味で、既に優秀フィルターで選別された人達がアプライしてくるって思っているよ。」
アジア人は勤勉で欧米人はクリエイティブ……その心は
話は、アジア人と欧米人研究者の一般的な違いについての話題になりました。
彼は言いました。
「一般に、アジア人は勤勉でよく働き、欧米人はクリエイティブって言われるよね。
もちろん僕は、アジア人だってよく働くだけじゃなく、頭もいいと思っているよ。
だけど、どうして欧米人のほうがクリエイティブだと言われるのか。」
彼は続けました。
「アジア人は自分の意見をはっきり言わないから気づかれにくいっていうのは一つの理由だと思うけど、僕はそれだけじゃないと思ってる。
欧米人は自分の意見をはっきり言うけど、それは自分の考えを知ってもらうってゆー効果以上に、フィードバックがもらえるという重要な意味があるんだ。
どんないい考えだって、周りにアウトプットして、それに対して周りから有益なアドバイスをもらえなければ、洗練されていかないでしょ。
だから、何かいいアイデアがあってもそれを外に出さなければ、そのアイデアを磨く事はできない。
その積み重ねで、どんどんアイデアの質に差が出てくるんじゃないかと思うんだ。
まあ、欧米人は喋りすぎだけど、どんな粗削りのアイデアでもどんどん口にして、周囲の力でそれをレベルアップしていくのは、一般的に思われている以上に重要な事だと思うんだ。」
私は話を聞きながら、Mark Zackarberg がハーバード大学卒業式の commencement speech で話していた言葉を思い出しました。
No one does when they begin. Ideas don’t come out fully formed. They only become clear as you work on them. You just have to get started.
— Mark Zuckerberg (1984 – )
誰も最初から完璧にできていたわけじゃない。アイデアは完全な形でやってくるわけじゃない。アイデアはそれに取り組んでいる間にだんだんと形作られていくんだ。だから、君たちがしなきゃいけないことは、ただ "やり始める" 事だ。
どんな素晴らしい考えも、最初から完全な形で頭に浮かんでくるわけではありません。
最初は不完全で穴が多いアイデアばかり。
けれどもそれを不完全だからと自分の中に留めているだけでは、いつまで経ってもそのアイデアが洗練されていく事はありません。
自分の外に出して周囲の意見を求め、周囲からのフィードバックによってよりよいアイデアへと発展させていく。
それが最終的に「クリエイティブな」アイデアへと形作られていくのだと思いました。
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彼にとっては何気ない会話の一部だったと思いますが、私にとっては印象に残る言葉がいくつかありました。
日本で色々発言すると煙たがれる事も多いので、その点は慎重に空気を読んでいく必要はありますが、
基本的には人からの批判や嘲笑を恐れず、荒削りでも思いついた事をどんどん外に出して、周囲からのフィードバックを求めていきたいと思いました。
それを口に出して周囲からのフィードバックを受ける事で、どんどん面白いアイデアへと洗練されていく。
黙っていたらその機会は一生訪れない。