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アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) 患者の神経イメージングや、ADモデル動物の解析では、ADによる神経変性は嗅内皮質から始まり、側頭頭頂葉皮質へと広がるとされる。

しかし、マイネルト基底核(nucleus basalis of Meynert, NbM) の変性の方が嗅内皮質よりも早く変性するというデータもある。

マイネルト基底核は前脳基底核に存在する神経核で、求心性のコリン作動性ニューロンを、大脳皮質へ投射している。

オーストリアSalzburg大学のFernández-CabelloとカナダWestern大学のSchmitzらは、2か所のニューロイメージング施設の患者(n1=284, n2=553)のイメージングを行い、マイネルト基底核と嗅内皮質のボリュームを比較した。

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前脳基底部の変性が先、かも

それぞれの患者の脳脊髄液(cerebrospinal fluid, CSF)のリン酸化タウ (pTau)、アミロイドβ (Aβ) のデータと比較検討したところ、pTau , Aβ と、マイネルト基底核/嗅内皮質の脳委縮と相関を示した。

また、神経変性の順番は、マイネルト 嗅内皮質の方が多かった。

さらに、マイネルト基底核のベースのボリュームが少なかった患者程、その後の嗅内皮質と嗅周皮質の神経変性が強かった。

これらの結果は、ADの神経変性は嗅内皮質や大脳皮質よりも先にマイネルト基底核で起こっていることを示すものである。

My View

ADの病理はよく見ますが、マイネルト基底核にはかなり効率にタウ病理を見ます。そして、変性しています。

ADでもDLBでも神経変性の強い場所ですし、

  • マイネルト基底核 → 大脳皮質
  • 中隔核、ブローカの対角帯核 → 海馬

に投射するコリン作動性神経細胞の変性・脱落、結果アセチルコリン量の低下は、Braak仮説が出る前からずっと前から言われているわけなので、個人的には今回の結果はしっくりきます。

 

この論文は神経の変性にフォーカスして解析しているわけですが、

最近、タウイメージングetc.の解析で、Braak仮説にちょっと変更が必要になりそうな結果もちらほらでてきているので、近い将来、若干軌道修正されるかも……という気がします。

ミクロだけであそこまでできたのは凄いですが、Braakさんも脳の全ての部位を観察したわけではないので……ってゆーか物理的にムリなので、

さらにイメージングの ”マクロ & 時間軸” の所見を追加して、より精度アップ……といったイメージ。