hospital

病院に到着し、救急外来で「本日搬送された◯◯の母です。」と名乗ると、待合室でしばらく待たされた後に、ERに案内されました。

見慣れたベッドの一角に、子供が横たわっているのが見え、周囲には夫と数人の大人たちが立っていました。

その光景を見た瞬間、私は涙が溢れてきました。

 

ゆっくりと近づき、子供の顔を除くと、彼は両目を閉じて静かにしていました。片側の頬骨付近に打撲痕が見えました。

私は息子に触れていいのかいけないのかもわからず、ただその場で泣きました。

 

「さっきCTを撮って、CTでは何もなかった。」

夫から説明を受け、私は聞き返しました。

「T2* であるってこと?」

「いや、なかった。FLAIRであった。」

「DWIは?」

「DWIでは写っていない。」

「どういうこと?」

 

そこで私たちは場所を移し、所見について話しました。

外傷ともincidentalomaとも断定できない所見……情報処理が追いつかず、私はただウロウロするばかりでした。

 

 

もう一度息子の元に戻ると、私は彼に話しかけました。

「次男くん、お母さんだけど、わかる?」

彼は目を閉じたまま、「うん」と答えました。

 

私は彼の頭を撫でながら、もう一度話しかけました。

彼はいつものように、「きゅぅ」とイルカのような声を上げました。

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