COVID19のワクチンの中間報告で盛り上がりをみせるアメリカですが、新規感染者数はうなぎのぼり。
マスク・隔離・長期間の我慢が苦手な人達は、
「もう無理!」
と、公共の場に集まって食事したり遊んだりしています。
また、経済的に困窮してなんとか働こうとする人達もいるので、
クラスターが追えないくらいに、再び感染が広がっています。
今回、アメリカ・スタンフォード大学のDr. Leskovecらの研究グループは、携帯のGPSデータを使って、
多くの人達が集まる場所とCOVID19感染との関係を調べて報告しました [1]。
An epidemiological model that integrates fine-grained mobility networks illuminates mobility-related mechanisms that contribute to higher infection rates among disadvantaged socioeconomic and racial groups, and finds that restricting maximum occupancy at locations is especially effective for curbing infections.
COVID19に最も感染しやすい場所はどこ?
彼らは、SafeGraphという携帯のトラッキングアプリを使って、2020年3月1日から2020年5月2日までの、利用者の行動パターンとCOVID19感染との関係を調べた。
SafeGraph's mission of open access to geospatial datasets like POI and foot traffic empowers firms with better geolocation, analytics, and intelligence.
アメリカの人々の移動率は、シャットダウン後大幅に減少した(i.e. シカゴで54.7%減)
移動場所とCOVID19感染の関係を調べると、ある特定の限られた場所 "superspreader" で多くのクラスター感染が起こっていた。
それは、密集したレストランやホテルなど。
この特定の場所だけでシャットダウンしたら感染等はどうなるかシミュレーションしたところ、
感染者数は減るが、人々の移動率もグンと下がった。
シミュレーションの結果、特定の場所だけをシャットダウンするよりも、全体の施設の収容人数に制限をかけるほうが有効のようだった。
お店を再開することについてシミュレーションすると、
フルサービスのレストラン、ジム、ホテル、カフェ等は、再開によってCOVID19の感染者数が急増することが予想された。
人々の移動率と所得との関係をみると、低所得者層は、高所得者層と比べて、シャットダウン後の移動率があまり低下していなかった。
それと呼応するように、低所得&高移動率の人達の間で、COVID19感染率が高かった。
お店の再開は、特に低所得者層のCOVID19感染の爆発的な増加を招く事が懸念される。
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経済を優先すれば感染者が増え、感染を抑えようとシャットダウンすれば、生活に困窮する人達が増える…なかなか難しそうです。
みんなが安心して外に出られる日が早くくるといいなー。
やっぱり、頼みの綱はワクチンか…
Reference
- Chang, S., Pierson, E., Koh, P.W. et al. Mobility network models of COVID-19 explain inequities and inform reopening. Nature (2020). https://doi.org/10.1038/s41586-020-2923-3