先日、長男 (12歳) の中学の入学式がありました。
入学式の朝
「お母さん、僕のネクタイ、なんか変じゃない?」
入学式の朝、長男は初めて自分でネクタイをつけました。
春休みに何回か練習しましたが、やはりまだ一人では綺麗にできないようです。
中学初日の今日は、鏡を見ながら一緒にネクタイを締め直しました。
これから中高一貫の学校に通う事になるので、6年間で成長する可能性を見越して、制服はかなり大きめに新調しました。
袖も裾も胴回りもかなりぶかぶかで、あまり格好のいいものではありません。
それでも、ネクタイを締め、校章をつけて顔を上げた時の彼の表情は締まっていて、「今までとは違う学校生活が始まるのだ」と意識しているようでした。
「じゃあ、僕、行ってくるからね。後で入学式で会おうね。」
そう言って、彼は一足先に家を出ていきました。
入学式
その日は朝から雨が降っていました。
私も久しぶりにスーツに着替え、長男から2時間ほど後に家を出ました。
長男が辿ったであろう道を歩き、電車に乗って、隣県にある中学校まで向かいました。
――彼はちゃんと電車に乗れたんかな?まあ、「今から電車に乗る」ってゆーLINEの後から連絡がないから、無事に乗れたってことなんだろうけど……
今まで大人の送り迎えがないとなかなか遠出できなかった彼が、ここ1ヶ月の間に一人で電車に乗って県境を超えるようなったかと思うと、なんだか不思議な感じがしました。
入学式の開始前ギリギリに到着し席につくと、すぐにブラスバンドの演奏が始まり、新入生が入場してきました。
新入生全員が入場し、着席すると、
「入学を許可される者」
として、新入生一人ひとりの名前が呼ばれていきました。
長男の名前が呼ばれた時は、彼も「はい」と言って起立をしていました。
その後、校長先生、教頭先生……と、色々な先生からのお話がありました。
この学校は文部科学省のSSH指定校としてサイエンス教育のカリキュラムに力を入れており、またSGH指定校として海外研修などのプログラムも豊富で、グローバルな次世代リーダーを育成するために様々な工夫をされているようです。
「今年は大学進学で、先輩たちが輝かしい実績をあげてくれました。けれども、私達の目指す教育は、所謂 ”いい大学” へ進学することを最終目標とはしていません。大人になって世界をリードするために必要な事、それを学んでもらう事を目標にしています。その教育の一過程、通過点として、大学進学があると考えています。」
先生方のお話からは、教育に対する熱意と情熱が感じられました。
話の内容は、私が日頃からぼんやりと考えていた教育理念に近いものがあり、一保護者として大変心強く感じました。
――この恵まれた環境を活かして、息子にも、他の同級生たちにも多くの事を学んでもらいたいなー。
と思いました。
帰り道
入学式の後、新入生は教室で担任の先生からの話があり、その間保護者に対するオリエンテーションがありました。
オリエンテーションが終わって外にでると、キョロキョロと辺りを探している長男の姿を見つけました。
「あ、お母さん。」
彼は、傘を差しながら静かにこちらへやってきました。
「帰ろっか。道、わかる?」
そうして私達は駅まで向かいました。
「待って、お母さんは先に歩かないで。僕、ちゃんと道がわかるか、自分で確認しながら帰りたいから。」
彼は、私の先を歩き、辺りを確認しながら改札口を通り、ホームまでたどり着きました。
「ちゃんと来れたでしょ?後は、この電車で○○駅まで行って、そこで降りて……」
そう言って彼は、家までの帰り道をシミュレーションしていました。
しばらくすると、彼のシミュレーション通りに電車がやってきました。
私は何も言わず、彼の後ろについて、電車に乗り込みました。