9月から長男と長女の学校が始まったのですが、二人が学校に行くためには、その前にしなければならないことが色々ありました。
その一つが、「小児科と歯科でチェックを受けること、必要な予防接種をすべて終わらせておくこと」でした。
渡米したばかりの私は、アメリカの保険制度がよくわかっておらず、受診予約をとるだけで数週間かかりました。
保険が使えるようになるまでの手続き
「もう手続きは済んでいるから、あとは自分の家族を自分の保険に追加するだけでOKよ!」
と軽く事務の人に言われたものの、指定されたURLから入ってもID、パスワードともにworkせず、何回も事務に確認しました。
結局、パスワードは私の全く知らない記号+番号でした。
このやり取りだけで数日かかりました。
自分の家族を追加し、認証されて番号が渡されるまで、もう2週間待ちました。
小児科の受診予約
ようやく保険が使えるようになり、電話で小児科と歯科医院の受診予約をとることにしました。
ここで第2の関門が待っていました。
まずアメリカの保険制度ですが、日本と違って国民皆保険ではないので、好きな時に好きな病院を受診できるわけではありません。
アメリカでは個人(もしくは就職先)で保険に入る必要があります。この保険には、HMO、PPOなどいくつか種類があり、私の就職先から提示された保険はHMO(歯科保健はDMO)でした。(用語説明)
HMOでは、まず、保険会社と提携しているドクターの中から、主治医になってくれそうな人を選ばなければなりません。
保険会社のサイトから、自宅に近そうな家庭医・小児科医にかたっぱしから電話をかけました。
1日目はどこにも予約がとれず終了しました。保険用語などがよくわからなかった私は、相手の求めている情報をうまく伝える事ができず、どこも受診予約までたどりつけませんでした。
2日目は、手元に色々な資料を用意し、深呼吸をして電話をかけました。ようやく子供達の受診予約がとれました。
保険会社のサイトで、予約がとれた先生を子供たちの主治医に指定しました。
歯科の受診予約
次に歯科受診ですが、こちらはさらに数日かかりました。
8歳、5歳、3歳全員を同じ日に受診させたかったのですが、「うちは7歳以上だけ。」と言われたり、「うちは5歳以下まで。」と言われたりして、なかなか3人が一緒に通える歯科医院が見つかりませんでした。
ようやく全員が受診可能な歯科医院が見つかり、受診予約をとりたい旨を伝えると、電話口で、
「サインは済んでいるの?それが済んでいないと受診予約はとれないわ。まず保険会社に電話して手続きをしてね。」
と言われました。
「ん?サイン?歯科の方はまずどこかに署名しないといけないのかな?」
と思って他のポスドクなどに聞きましたが、その必要はないとの事。
結局それが ”Assign(歯科医院を一つ指定すること)” の聞き間違いだと気づいたのは翌日の事でした。
保険会社に電話してAssignの手続きをとり、8月中に受診予約を取りました。
けれどもその後、Assignが有効になるのは翌月からということが判明。学校のDistrictに確認したところ、歯科レポートは9月でもよいと言ってもらえたので、歯科受診の予約を9月に取り直しました。
「このままでは二人とも新学期から学校にいけない……」
とかなりあせりましたが、ギリギリで予防接種と健康チェックを受け、新学期初日から、同級生と一緒に学校に通えることになりました。
その後
さて、これを機に家族全員で歯のチェックを受けたところ……長女が1本虫歯をもっていた事が判明しました。
その歯科医院では子供の歯は治療できないといわれ、教えてもらった小児歯科に電話をかけました。
すると電話口で、
「リフェローはもっているの?それがないと受診予約はできないわ。」
と言われました。
「ん?リフェロー?Re-fellow?なにそれ?」
ネットで検索してもそのような単語はでてきません。
同僚に尋ねると、”Referral(紹介状)”のことでした。
再度、チェックを受けた歯科医院にReferralを書いてもらうよう頼みました。数日後にメールでReferralを受け取り、ようやく小児歯科の受診ができました。
「これで治療してもらえる。」と思っていましたが、当日はチェックだけとのこと。
しかも、思っていたよりも虫歯が大きくて、「麻酔で鎮静をかけたうえで抜歯が必要」という診断でした。麻酔の同意書などに(夫が)サインしました。
このままでは保険が効かないので、また保険会社と交渉云々……1か月後にようやく治療してもらえる事になり、再診予約をとりました。
今度、両親の見守る中、6歳の娘は鎮静を受けながら抜歯を受ける予定です……
Glossary
保険用語
HMO (Health Maintenance Organization)
その保険のネットワークに加盟する意思の中から主治医を一人選び、どんなときもまず主治医を通さなければならない。専門医を受診する場合も、主治医にまず相談して専門医へ紹介してもらう。PPOに比べて自己負担額が少なく、保険料も安い。
PPO (Preferred Provider Organization)
ネットワーク内でも外でも保険が使える。しかし、ネットワーク外の医療機関を使うと、自己負担額が増える。HMOに比べて保険料が高い。
POS (Point-of-service)
HMOとPPOのハイブリット型。補償内容はHMOに近いが、HMOと異なりネットワーク外の医療機関も使える。しかし、医療報酬額に制限がないため、自己負担額は増える。
EPO (Exclusive Provider Organization)
PPOの一種だが、PPOより規則が厳しい。ネットワーク外で保険が使えるのは緊急時のみ。
(こちらの記事を参照しました。)
オバマケアについて
「医療保険制度改革法:Affordable Care Act」、通称「オバマケア」。日本にいる時は、「オバマケアが通ったから、アメリカも国民皆保険になったのかな。」と思っていました。けれども、オバマケアの仕組みは、日本の国民皆保険とは異なるようです(こちらとこちらとこちらの記事を参照しました)。
先日、テキサス州の連邦地裁でオバマケアに違憲判決がでたとのこと。国民の貧富の差が大きなアメリカでは、問題が根強く、国民皆保険も簡単にはいかなさそうだと思いました。