脳の酸素消費量

脳は、体重の2%程度の重さしかありませんが、体循環の約20%の血流量を必要とします [1

それだけ脳という組織は酸素を必要とする、ということですが、

ドイツのStrakaらの研究グループは、 実際に脳の細胞達がどれくらい活動時に酸素を消費しているか、 直接計測してみたそうです [2。  

脳の酸素消費量は本当に神経活動量と相関していた

彼らは、アフリカツメガエル(Xenopus Laevis)の脳を用いて、

上斜筋を支配する滑車神経の活動電位と、 それに対応する、後脳の酸素消費量を計測しました。  

通常状態では、脳を浸したリンゲル液中の酸素濃度はほぼゼロですが、

ミトコンドリアの機能をシアン化カリウムで阻害したり、 組織をエタノールで固定したりすると、 リンゲル液中の酸素濃度が上がります。

このことから、脳は周囲の酸素をあるだけ消費していると考えられました。  

リンゲル液中の酸素濃度を上げると、脳室内の酸素濃度も上がりました。

局所麻酔で神経の活動量を抑えると、酸素消費量は50%程度下がりました。  

一方、滑車神経の神経活動のスパイク群発の動きや長さに合わせて、 酸素消費量が一時的に上がっており、

神経活動と酸素消費量が綺麗に相関していました。    

My View

今まで、ヒトや動物モデルを使って、neurovascular coupling [3が示されてきたので、

" 神経活動 ⇔ 酸素消費量"

の図式は当たり前のように思っていましたが、

実際に計測されて

「あー、本当だったんだ。」

と思いました。  

 

個人的に興味を引いたのは、

神経活動に使う酸素消費量は、脳全体の50%程度、というところ。

それ以外はグリアetc.が使っているのでは、と考察されています。

以前よりもグリアの重要性が意識されているように感じていますが、

今回の結果は、ニューロン半分/グリア半分、と言っているように感じました。  

References

  1. Xing CY, Tarumi T, Liu J, et al. Distribution of cardiac output to the brain across the adult lifespan. J Cereb Blood Flow Metab. 2017;37(8):2848-2856. doi: 10.1177/0271678X16676826
  2. Özugur, S., Kunz, L. & Straka, H. Relationship between oxygen consumption and neuronal activity in a defined neural circuit. BMC Biol 18, 76 (2020). https://doi.org/10.1186/s12915-020-00811-6
  3. Huneau C, Benali H, Chabriat H. Investigating Human Neurovascular Coupling Using Functional Neuroimaging: A Critical Review of Dynamic Models. Front Neurosci. 2015;9:467. Published 2015 Dec 18. doi: 10.3389/fnins.2015.00467
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