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先日、長女(小6)と次男(小3)の家庭訪問がありました。

私と夫は、2人とも仕事を早めに切り上げ、家庭訪問に備えました。

2人の先生方は、それぞれ時間をおいて自宅に来られました。

長女の場合

家庭訪問の間は、先生たちが一斉に出払うので、生徒は早退となります。

長女は、自宅で、担任の先生が来るのを待っていました。

 

―― ピンポーン

 

マンション下のチャイムがなると、彼女は慌てて玄関に出て、ドアの影に隠れました。

「何してるの?」

長女「先生を驚かすの。」

「そんなことして大丈夫なの?」

長女「大丈夫なの。」

 

そして、自宅玄関のチャイムがなり、ドアを開けると、彼女は

「わ!」

と言って、先生を驚かせていました。

 

私は「先生に対して失礼なんじゃないか」とハラハラしましたが、当の先生は、

「あー、やっぱりー!」

と言いながら、入ってきました。

 

……生徒からいたずらされるのには慣れているようです。

 

 

リビングに先生をお通しして話を聞くと、去年の家庭訪問で「おとなしすぎるところが心配」と言われるほどシャイだった彼女は、今ではすっかり学校に慣れて、お友達と大声を上げながら遊んでいる様子。

冒頭の先生への対応をみる限り、彼女は新しい担任の先生にもかなり心を許しているように思います。

 

他に共有しておくべき問題点は、先生からも私たち両親からも特に上がらず、先生は「じゃあ、また明日ね!」と長女とハイタッチして席を経ちました。

次男の場合

しばらくすると、次男の担任の先生がやってきました。

長女の話によると、この先生は小学校で一番人気の先生らしく、「3年生の担任になる」と発表があったとき、長女の周りにいた6年生の生徒たちは「えーっ!!」と一斉に落胆の声を上げたそう。

多感な小学高学年生達の心をそこまで掴むとは……なんと奇特な先生でしょう。

 

―― ピンポーン

 

マンション下のチャイムがなると、次男は、玄関のドアを開け、裸足のまま内廊下に飛び出していきました。

そして、エレベーターが開いたところで、

「わ!」

 

……最近は先生を驚かせるのが流行っているのでしょうか?

気になることは……

担任の先生は、私よりも少し若めの男の先生でした。

彼は、次男の授業中や休み時間の様子を、とても丁寧な口調で詳しく話してくれました。

 

「ご家庭での様子や、ご両親からみて気になることなどを教えていただけますか?」

先生からの質問を受け、私たち両親はそれぞれ自分の息子に対して思っていることを話していきました。

  • 元気がよく、いつも飛び跳ねていること
  • とても好奇心が旺盛で、毎日のように何かしらの質問をしてくること
  • 最近は、ことわざを覚えるのにはまっていて、本で覚えた知識を使おうと、会話に織り込んでくること

これらのことは、私たちからみれば彼の長所と感じるところですが、一方で、小学校で友達や先生との軋轢を生むのではないかと心配する要素でもあります。

 

先生は、私の話を熱心に聞き、そして答えました。

「まず最初にお伝えしたいのは、今のところ、新しいクラスで次男くんとお友達との間で何か気になる空気を感じることはありません。彼はいつも輪の中心にいて、みんなと楽しく遊んでいます。よくお友達に折り紙の折り方を教えていて、多くの生徒から慕われています。

授業に関しては、彼は毎回一生懸命に授業に参加していて、いつも元気に発表してくれます。

ただ、自分が伝えたいことが後から後から出てきて、教室のみんなにうまく伝わらくなってしまうようなときがあります。

そんな時は、彼自身も、もどかしく感じるようです。

そんなときは、一旦落ち着いてもらって、彼の考えや言いたいことをまとめるお手伝いをして、それからもう一度発表してもらうようにしています。」

彼の可能性を

先生の言葉は、授業中の次男の様子を的確に描写しているように感じ、私は少し驚きました。

数十人の生徒一人ひとりをしっかりと観察し、その内面を読み取り、良い方向にサポートしていくのは、中々に大変なことではないかと思います。

6年生の子たちが「自分たちの担任に」と熱望していた理由がなんとなくわかったような気がしました。

 

「何かわかりにくところや、知りたいこと、他に気になることはありませんか?なんでも良いので、教えて下さい。」

先生はもう一度尋ねました。

 

私は少し気を許し、次男が、以前の担任の先生から「授業中に話の方向性を変えないで。」と叱られ、しばらく落ち込んでいた事を話しました。

様々なことに興味を持ち、それを臆せず質問したり意見をしたりする彼の性格は、子どもとしての彼の可能性を感じる、魅力の一つだと思っています。

けれども、周りの大人がその特性を尊重せず、乱暴な言葉で抑制しつづければ、その魅力は次第に陰り、社会の中で消えていくことになるでしょう。

 

私はそのような子どもの特性を「原石」だと考えていました。

この原石を磨いて将来的に輝かせるか、磨かずに角をとって河原の丸石のようにするかは、私たち大人次第だと思うのです。

 

 

―― 自分の息子のことを原石とか言ったら、イタイ親だと思われそうだな。

私は、他にやんわりと伝えられるような言葉がないか探しましたが、その言葉以外にしっくりとくる言い回しが見つからず、仕方がないので恐る恐る続けました。

 

「……私は、彼の特性は原石だと思っています。」

 

言ってしまった後で、

―― やっぱりこの言い方はイタイかも……。

とドキドキしましたが、そんな私の心配を吹き飛ばすかのように、先生は私の目を真っ直ぐみながら、「はい!もちろんです!」と何度も大きく頷きました。

良いスタートが切れたかな?

担任の先生が帰り、子供たちは「先生がお家に来て楽しかったー。」と言いながら、2人で遊び始めました。

―― 2人ともいい先生達と出会えたみたいで、よかったなー。

と、思いました。

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