ある日の事、長男(11歳)が家の中ごごそごそと物色し始めました。
私「何をしているの?」
と尋ねると、
長男「何か ebay で売れるものはないかと思って。」
とのこと。
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その後彼は、子供部屋にあった Knock Hockey の sticks と pucks を取り出し、
「これ売ってもいい?」
と聞いてきました。
Knock Hocky のボードは大きくて郵送が大変なので、この sticks と pucks だけををセットにして売ろうという考えのようです。
この Knock Hocky は、アメリカにきてまだ子供たちが泣きながらサマーキャンプに通っていた頃、サマーキャンプの施設の中にある遊びで唯一「面白かった」と言ってくれたもので、家でも楽しく遊べるようにと購入した最初のおもちゃでした。
私としては思い出の詰まったおもちゃでしたが、子供たちももう遊ばなくなったし、「まあいっか。」という気持ちでOKしました。
彼は標準価格をチェックし、早速 ebay のサイトにアップしました。
提示価格は 29.00 ドル。
「そんなに高い金額を設定して大丈夫の?」
と心配になって聞いてみましたが、他の used の価格もだいたいそんな感じ。
まあ、本人がいいなら、という事で了承しました。
それから彼は、毎日 ebay のサイトでオーダーが入ったかどうかチェックしていましたが、それと同時に他にも売れるものがないか探し始めました。
長男「この Harry Potter の7巻セット売ってもいいかな?僕、もう何回も読んだし。」
長男「このルービックキューブ達も全部売っていいかな?僕、もうあんまり遊んでいないし。」
彼は金目のモノ(?) を次々と見つけては、ebay で売ってもいいか確認してきました。
最初はマーケティングの勉強になっているかと思って微笑ましく感じていた私でしたが、彼の行動を見ているうちに、だんだん寂しくなってきました。
ハリーポッターシリーズは彼が最初にハマった本で、サマーキャンプがつまらないと言っていた時に毎日持っていってひたすら読んでいたし、
ルービックキューブ達は、彼がハマっていた時に自ら攻略法を紙に書き留めて何度も練習していて、今では周囲の人々が驚くほど高速で全面揃える事ができます。
以前、長男(8歳)の学校でルービックキューブが流行っている話(こちら)をしましたが、今回、その後の話をしたいと思います。 インターネットで解き方のパターンを調べ、それを長男に教えたところ、彼は全てのパターン …
私には彼の思い出が詰まっていると思っていた物たちが、彼の中ではそんなに大切ではなく、簡単に売却対象にされていくように感じて、
私はだんだんと悲しくなり、ある時ついに言いました。
「ハリーポッターもルービックキューブも長男くんに楽しんでもらいたくてお母さん達が買ったんだよ。自分のだと思って勝手に売ろうとしないで。」
彼はびっくりした顔をして、「ごめん」と一言発し、そのまま自分の部屋に入って行きました。
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しばらくして、私が夕食の準備をしていると、彼がやってきて話しかけてきました。
長男「本当はサプライズにしたかったんだけど、僕、ebay で物が売れたら、そのお金でお母さんの誕生日プレゼントとかお父さんの父の日プレゼントとかを買おうと思ってたんだ。」
私「え、そうだったの?」
長男「うん。あと、僕の誕生日プレゼントもおばあちゃんにPCのモニターをお願いしたけど、高いモニターだから、おばあちゃんが自分のお金を使わくてもいいように、僕がお金を稼いだらそのお金で買ってもらおうと思ったんだ。」
最近なんとかお金を儲けようとしていた目的は、両親へのプレゼントや、祖母の金銭的負担軽減だったようです。
私「そっか。知らずにごめんね。でも、お母さんにとっての思い出の品もあるから、帰国前に売ってもいいものと、日本に持って帰りたいものを一緒に考えよう。」
長男「うん。」
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そんな会話を交わした数日後、彼が最初に ebay にアップした Knock Hockey の Sticks & Pucks セットにオーダーが入ったという報告がありました。
彼は急いで品物を包装し、FedEx で発送しました。
その後、彼は Amazon.com で何やら注文し、自宅に届いた品物を包装紙でくるんでプレゼント風に仕上げました。
長男「お母さんのプレゼントができたよ。まだ誕生日じゃないけど、早く開けてほしい。」
彼は、それから毎日のように
「プレゼントを開けるのが待ちきれない。もう、先に開けちゃっていいんじゃない?」
と話しかけてきます。
息子が初めて自分で稼いだお金で買ったプレゼント。
一体何を買ってくれたのでしょうか。
私は、自分が初めて社会人になった時、初任給で両親にプレゼントを買ったときの事を思い出しました。
「プレゼントされた時の両親の気持ちはこんなんだったのかなー。」
と思いながら、自分の誕生日を待ちわびている今日このごろです。