大脳皮質には6層の興奮性神経細胞の層がある。
では、グリアの層は?
特に、アストロサイトは脳内の細胞の50%を占め、神経細胞の機能維持等、色々な役割を果たしている。
英ケンブリッジ大学のBayraktar, Rowitchらの研究グループは、large-area spatial transcriptomic (LaST) mapを用いて、1細胞あたりの遺伝子発現量を調べ、アストロサイトの層形成を検証した。
A new spatial transcriptomic approach reveals astrocyte heterogeneity across layers of the mammalian cerebral cortex. Astrocytes diversify into superficial-, mid- and deep-layer subtypes distinct from neuronal laminae, yet instructed by neuronal cues.
大脳皮質にアストロサイトの層
アストロサイトの46種の遺伝子を調べたところ、大脳皮質の表層、中間層、深層と、ぼんやりとしたアストロサイトの層形成を認め、それは神経の層と独立していた。
この層は新生児の脳内で形成され、ほとんどは生体マウスの大脳皮質内でも維持されていた。
Satb2とReelerの変異(ニューロンのpost-mitotic developmentを変化させる)はこのグリアの層形成を変化させた。
また、アストロサイトの層は、マウスの大脳皮質の場所によってパターンが分かれていた。
My View
HE染色やKB染色では大脳皮質はニューロンの層形成しか目立ちませんが、それはアストロサイトは核以外染まりにくいないから。
アストロサイトのマーカーで免染すると、層っぽく見えるときもあるなーとは思っていました。
以前、アストロサイトは存在部位によって形態および発現遺伝子が異なるという報告(Lanjakornsiripan et al., Nat Commun, 2018)がありましたが、
今回は、アストロサイトの遺伝子マップを作ってみたら、ニューロンとは独立して層形成していた、との事。
マウスとヒトでは脳の構造が違う部分も多いですが、このLaSTマップはヒトの大脳皮質にも応用できるよう。また、3Dマッピングも可能っぽい(Karreman et al., J Cell Sci, 2016)。
この層形成の意味、機能評価 etc. これから色々わかってくると思うので、楽しみに待っていようと思います。
References
- Bayraktar, O.A., Bartels, T., Holmqvist, S. et al. Astrocyte layers in the mammalian cerebral cortex revealed by a single-cell in situ transcriptomic map. Nat Neurosci. 2020 Mar 16. doi: 10.1038/s41593-020-0602-1.
- Lanjakornsiripan, D., Pior, B., Kawaguchi, D. et al. Layer-specific morphological and molecular differences in neocortical astrocytes and their dependence on neuronal layers. Nat Commun. 2018 Apr 24;9(1):1623. doi: 10.1038/s41467-018-03940-3.
- Karreman MA, Mercier L, Schieber NL. et al. J Cell Sci. 2016 Jan 15;129(2):444-56. doi: 10.1242/jcs.181842