Curr-Biol-2020-stress

先を見通し、予測し、柔軟に計画する事は、私達の生活にとってとても重要な能力である。

スタンフォード大学のWagnerらの研究グループは、加齢やストレス下の状態により、先をを見通し、柔軟に計画する機能が落ちる事を報告した。

ストレスで記憶の使い方が下手になり、計画性が落ちる

方法

被験者達には、ストレス無/有りグループにわけられ、それぞれ仮想空間の町をバーチャルで歩き、その間の神経活動を機能的MRI(functional MRI, fMRI)で解析、ストレスホルモンを測定された。

ストレス有グループは、試験の間、電気ショックを与えられる、と言われた。

1,2日目には、遠回りのルートを示して、街の様子を歩いて覚えてもらった。

3日目、被験者達は規定のルートを歩くよう指示され、その時の神経活動をfMRIで記録された。

次に、同じスタート地点に立たされ、ゴールまでできるだけ早くたどり着くよう指示された。(この時、ショートカットについては情報が与えれられていない。)

結果

ストレス無グループは、容易にショートカットを見つけ、最も早い方法でゴールまで到達した。

一方、ストレス有グループは、最も早いショートカットではなく、最初に提示された遠回りの道に近いルートでゴールへ向かった。

その間の神経活動を見ると、海馬のplanning activity etc. が、ストレス有グループで抑制されていた。

結論

ストレス状態の人は、海馬関連の記憶の活動性が落ち、未来予測に基づいた計画がうまくたてられなくなる。

 

My View

年末年始、強いストレスを感じているという自覚があり、「ちょっと休暇をとった方がいいかも。」と思っていました。

それと前後して、今までできていた事がうまくできなかったり、仕事の効率が悪くて、色々モタモタ遅くなったりして、「もう頭がダメになったかも。」と落ち込んでいましたが、この論文を読んで少しほっとしました。

ストレスのせいで、色々うまくできなくなっていたかもしれないんだったら、回復可能かもしれない。

とりあえず、不可逆的になる前に、ターゲットをストレス軽減に絞って行動してみよう……

と、思います。

References

  1. Brown TI, Gagnon SA, and Wagner AD. Stress Disrupts Human Hippocampal-Prefrontal Function during Prospective Spatial Navigation and Hinders Flexible Behavior. Curr Biol. 2020 Mar 30. pii: S0960-9822(20)30342-0. doi: 10.1016/j.cub.2020.03.006.
  2. Stephanie A Gagnon, Michael L Waskom, Thackery I Brown, Anthony D Wagner, Stress Impairs Episodic Retrieval by Disrupting Hippocampal and Cortical Mechanisms of Remembering, Cerebral Cortex, Volume 29, Issue 7, July 2019, Pages 2947–2964, https://doi.org/10.1093/cercor/bhy162
  3. Stanford University. "Stress thwarts our ability to plan ahead by disrupting how we use memory." ScienceDaily. ScienceDaily, 3 April 2020. <www.sciencedaily.com/releases/2020/04/200403115103.htm>.
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