火星の石を採取し、地球に持ち帰るプロジェクトの詳細が固まった。
最初のステップは今年7月、NASAがPerseverance roverを打ち上げる。
Perseverance roverは火星表面を走り、火星の埃や岩をチューブに採取する予定。
この計画が成功すれば、火星の石を地球に持ち帰るのは実に約10年ぶりとなる。
Pervererance roverは来年2月に、火星のJezeroクレーターに降り立つ。
ここには古い三角州がある事から、昔、生物がすんでいた痕跡があるのではないかと考えられている。
Perseveranceはこのあたりを採掘し、約30個の小さなサンプリングチューブをいっぱいにする。
今までは、このサンプリングチューブをどうやって地球に持ち帰るか明らかにされていなかった。
けれども試行錯誤の末、NASAとEuropean Spade Agency (ESA) は最終計画を練り上げた。
その計画とは、
- まず、最初のスペースクラフトがJezeroクレーターに降り立つ。
- そこで小探査機がPerseveranceのところまで進み、サンプリングチューブを回収して "Mars ascent vehicle" に移す。
- その後、Mars ascent vehicle が火星を飛び立ち、コンテナを火星の軌道に乗せる。
- そこで、2番目のスペースクラフトがコンテナまで軌道修正し、サンプルを回収して地球に帰る。
- スペースクラフトはユタ州の軍事トレーニング施設に降り立つ予定。
一連のプロセスは困難を極める。
今まで火星表面にクラフトを到達させた国はないし、2つのスペースクラフトを火星の軌道上に乗せるという事も初めてである。
「これは決して簡単な事ではない。けれども、我々は全ての工程をできるだけシンプルにしなければならない。」
と、NASA火星探査プログラムリーダーのJim Watzinは言う。
NASAとESAはそれぞれの経験により、仕事を分担している。
NASAはサンプル回収用の着陸船とMars ascent vehicleの建設を計画中。
ESAは小探査機作りとサンプルを持ち帰る部分を担当。
ESAは今まで火星に探査機を飛ばした事がないので、ロシアの宇宙開発局と共に行う予定だが、コロナパンデミックの影響などで遅れている。
Watzinはこのプロジェクトにいくらくらいの費用がかかっているか言葉を濁したが、少なくともそれぞれ数十億ドルずつかかっている模様。
全てがスケジュール通りに進めば、サンプル回収クラフトは2028年に火星に到達する予定。
小探査機は火星の嵐や極寒の季節を避けた時期に自身の仕事を行う。
サンプルを載せたスペースクラフトが火星を離れた後は、2031年9月にユタ州に到着する。
NASAとESAは、今月募集をかけ、この貴重なサンプルの解析を手伝う研究者達を募った。
Reference
- Alexandra Witze, Revealed: How a spacecraft will bring Mars rocks to Earth, Nat News, 16Apr2020, doi: 10.1038/d41586-020-01114-0