病院に向かう途中で、私は自宅に立ち寄りました。
術後しばらく入院する必要があるため、息子が病院で退屈しないように、日頃遊んでいるものを持ってきてほしいと言われていました。
漫画ことわざ辞典、折り紙の本、折り紙、Camptain Underpantsの本…
彼が遊んでいる姿を思い出しながら、私は一つ一つ袋に詰めて行きました。
準備が終わると、私は朝から食事をとっていなかったことに気付きました。
喉が乾いたので、冷蔵庫を開けると、中にガラス容器を見つけました。
容器の中には彼が作ったラスクが入っていて、蓋には彼の字で
1人5こです。食べたらいっこずつ✓してください。
お父さん □□□□□
お母さん □□□□□
長男くん □□□□□
長女ちゃん □□□□□
次男くん □□□□□
と書かれていました。
ある日のこと、LINEに長女(小6)と次男(小3)から連絡が届きました。 ラスク作ったから、お仕事から帰ってきたら食べてね。一人5個だから、食べたら箱の上にある紙にCHECKを入れてね。
―― これからしばらくラスクが続くかと思ってたけど……。
こんな形で中断されるとは思っていませんでした。
・
・
・
病院に着き、手術室へ向かうと、受付の人から、手術が終わるまで病室で待機するように言われました。
病室は、EICUから小児科病棟に移り、息子の荷物が運び込まれていました。
個室では付添ができると言われ、私は息子を待つ間に付添許可の手続きをとりました。
その後、私と夫は、そのまま椅子にもたれかかり、しばらく静かにしていました。
急に言いようのない疲れが襲ってきて、手足が鉛のように重くなっていくのを感じました。