私が落ち着くまで待った後で、夫は、ベッドの対側に立っていた人たち ― 担任の先生、校長先生、養護の先生 ― を紹介しました。
「これから、学校で何があったか説明してくださるそうなので、部屋を出ようか。」
私たちはERを後にし、待合室で適当に椅子を並べて話しました。
先生方は、私たちに深く謝罪したあとで、本日学校で起こったことを話してくれました。
通常の体育の授業のグループ活動中、順番に風船を上に上げてグループ間で渡していくというアクティビティの中で、友達と接触したとのこと。
話を聞く限り、自分の子供に非はありませんでした。相手の子供にも悪気はなく、風船に気を取られて周囲が見えなくなったことによるアクシデントと考えられました。
息子は、日頃から元気があり余っており、周りを確認せずに突然走り出したりしていたので、私は彼が交通事故にあったりしないかと、いつもハラハラしていました。
どんな授業も全力で受ける彼は、体育の授業中も全力で動いていたのでしょう。
そして、彼くらいの年齢の男の子達は、みんなそれくらい元気があるのでしょう。
そんな考えを巡らせていると、夫が口を開きました。
「息子は、日頃からぴょんぴょん跳ね回っているような子で、周りを見ずに行動するような危なっかしいところもあったので……」
同じことを考えていたのでしょう。私も続けました。
「いつか、交通事故か何かにあうんじゃないかと心配していたんです。気をつけるように毎回注意はしていたんですが……」
―― でも、心配していたのは、こんな形の事故じゃない。
私は最後の言葉を飲み込みました。
彼は、廊下を走っていてぶつかったわけでも、友達とふざけあっていたわけでもなく、体育の授業中に指示どおりに動いていただけです。
彼がどうやってこの事故を防げたでしょうか。
「お子さんだけでなく、この年齢の子供たちは、まだ周囲に注意を払わずに動くことが多く、そのことを認識して私がもっとしっかり安全面を考えた授業を行うべきでした。本当に申し訳ありませんでした。」
先生方は何度も頭を下げました。