centenarian

学生時代、100歳を過ぎても元気に笑っている「きんさんぎんさん」の元気な姿をみて心が癒やされていました。

ぎんさんの他界後、剖検脳ではアルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD) の病理がみられたそうです。

にもかかわらず、生前は認知症を発症していなかったとのこと。

 

彼女達のように、100歳過ぎても元気で過ごされているご長寿の方々を「centenarian (センテナリアン) 」と呼びます。

「長寿の秘訣は何か?」

と、加齢や加齢に伴う疾患研究に携わる、多くの研究者から注目されている方々です。

 

今回、オランダ・アルツハイマー病センターの Dr. Holstege らの研究グループは、センテナリアンの方々を対象に、身体機能や認知機能の検査を行いました [1]

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330人のセンテナリアンの認知機能検査を行ったところ、年齢とともに若干の認知機能低下を認めるものの、認知症とはならなかったとのこと。

認知機能の維持は、身体機能の維持と相関しており、「体が若々しい人ほど脳も若々しい」といえるよう。

 

44人の方が剖検され、脳内にはアミロイドβ (Amyloid beta, Aβ) の蓄積や神経原線維変化 (neurofibrillary tangles, NFT) などのAD病理が認められました。

つまり、センテナリアンの方々は、AD病理を脳内に持ちながら、認知症を発症せずに大往生された、という事。

 

以前も、ADの家族性変異をもちながら認知症を発症しなかった症例を紹介しましたが、

AD病理に打ち勝つ何らかのファクターが、センテナリアンの方々の中にも存在する様子。

この解明が進めば、「AD病理に打ち勝って健康で長生き」という理想を、多くの人達が実現できるようになるかもしれないですね。

Reference

  1. Beker N, Ganz A, Hulsman M, Klausch T, Schmand BA, Scheltens P, Sikkes SAM, Holstege H. Association of Cognitive Function Trajectories in Centenarians With Postmortem Neuropathology, Physical Health, and Other Risk Factors for Cognitive Decline. JAMA Netw Open. 2021 Jan 4;4(1):e2031654. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.31654. PMID: 33449094; PMCID: PMC7811180.