昨年は、個人的に色々と浮き沈みの激しい1年だったように思います。
時折、主に仕事中、小事と思われる出来事に過剰に反応して憤り、言いようのない焦燥感と虚無感に襲われ、気持ちを立て直すのが難しい時がありました。
そのような感覚と並行してよく浮かんできた考えは、
「私が今いなくなっても、世の中は変わらず回っていく。」
という事でした。
私が死んだら、家族や友達は悲しむと思うし、子供達は立ち直るのにしばらく時間がかかるでしょう。
そんな思いはさせたくないので、明日も明後日も、笑顔を絶やさず生活していこうと思っています。
けれどもそのような動機が、「自分自身に中身がなく、あまり価値のない人間のように感じる」という気持ちを拭うことにはつながらないのです。
これは、大変な損をしていると思います。
同じ日常、同じ出来事でも、楽しく感じるか辛く感じるかは自分次第なのに、ネガティブな気持ちに時間を支配されるのはかなり損な事です。
どーしたものかなーと思って、色々試してみましたが、下記2つが打開策になりそうな気がしています。
今年はそれらを心がけて生活してみたいと思います。
Reading
実験中、手を動かす時間が長くなると、自分が考えて動いていないように感じてきて、焦燥感が大きくなります。
論文を読むと、空の容器にコロンと知識が入ってくるように感じ、その分焦燥感が減ります。
人生に虚無感を感じた時は、研究とは関係のない、一般向けの本に時間を割くようにしました。読書の後は、乾いた砂漠に水が染み入るように感じます。
本の内容は、The 7 habits of Highly Effective Peopleのような啓蒙的な本もいいけれど、Magic Tree Houseのような子供向けの本でも大いに効果があります。
子供向けの本は、簡単に読めるので気を張らなくていい所と、意外と英語の勉強にもなる所が気に入っています。
私のように大人になってから英語を学んだ人間にとっては、専門用語やニュースに出てくるような言葉は知っていても、子供向けの本に出てくるような簡単な表現に馴染みのない事が多いので、同僚とsmall talkをするときに大いに役立ちます。
仕事が忙しくなると、読書などの時間は後回しになりがちですが、今年はそのような生活はやめて、三度の食事と同じように読書時間を確保していこうと思います。
Monotasking
それまで私の目標はMultitaskingでした。
臨床をしながら研究を進め、陣痛が始まるまでピペットを握り、数時間おきに仕事を抜けて搾乳する間に論文を読み、料理をしながらTED talksを聞く……
数年前まで、それはうまくworkしていました。
けれども、最近の生活の中では、Multitasking志向のために何一つ成し遂げていないように感じることが多くなりました。
集中力と記憶力の衰えを感じるようになった事も影響しているかもしれません。
それまでは、一見Multitaskingのように見える作業の中でも、私は一つのことに集中力の8割近くを注ぎ、残りの2割くらいを別の作業に使っていたように思います。つまり、Multitaskingの中でMonotaskingを行っていたのです。
今はそれができません。
疲れや鬱々とした気持ちのせいなのか、加齢や変性による脳の衰えのせいなのかは、わかりません。
でも、できない以上、私の生活スタイルの方を変えなければなりません。
「一つことに集中して取り組む。それが終わったら次のことに取り組む。」
しばらくはこのMonotaskingの方針を貫いていきたいと思います。
Every cloud has a silver lining.
— English proverb. The phrase 'silver lining' was coined by John Milton (1608-1674) in his masque Comus.
どんな雲にも銀の裏地がついている。
今年もよろしくお願いします。
2020年1月