
ある日の朝、朝食中に長女(9歳)が言いました。
「今度の週末、またクレーンゲームをしてもいい?」
クレーンゲームを避けてきた私と、それに魅力を感じている彼女
彼女の言うクレーンゲームとは、俗に言うUFOキャッチャーの事で、
数日前に遊びに行った屋内スケート場で、彼女はリンクの隣に置かれていたクレーンゲームを見つけ、人生で初めて挑戦したのでした。
その時は、1ドルで2回挑戦できたのですが、あっという間に2ドルがマシーンに吸い取られ、手元には何も残らない状態……。
「え?クレーンゲームがどういうものかわかったんじゃないの?」
と私は思わず尋ねました。
私が子供の頃にもクレーンゲームはありましたが、小学校の時に数回挑戦して、すぐに
「これはハマったらいけないヤツだ。」
と思って、以降1度もそれで遊んだ事はありませんでした。
もうネジが外れてしまうんじゃないかと思うくらい、グラグラに作られているクレーンのアーム接合部。
あの弱々感を見ると、お店が私達からお金を取るためにわざと把持力を最弱にしているように思えてならず、子供ながらにあまり気持ちよく遊べませんでした。
なんとなく、長女も子供の頃の自分と同じ様に考えるんじゃないかと思っていたので、
「またクレーンゲームがやりたい」
と彼女から言われ、私は結構驚きました。
「まあ、やりたいんだったらいいけど、取るのは難しいよ。
もちろん取れる人もいるんだけど、その人達は、たいていたくさんお金をかけてクレーンゲームを練習してるんだと思うよ。
せめてYouTubeとかでコツを勉強してから当日臨んでみたら?」
やっぱりクレーンゲームがしたい
そんな会話を交わしながら迎えた週末。
外は極寒でアウトドアの遊びは難しいので、家族全員で屋内スケートリンクに遊びに行きました。
みんな滑って転んで、ひとしきり遊んだ後、もう帰ろうとリンクを降りた時に、長女が言いました。
「クレーンゲームで遊んで良い?」
彼女は、ポケットから自分の貯金の25セント硬貨を4枚取り出し、クレーンゲームを始めましたが、案の定、全然キャッチできません。
「難しい……もうちょっとでとれそうなんだけど。」
それを隣で見ていた次男(6歳)。
「僕もやってみていい?」
と尋ねてきました。
長女も「次男くんにもやらせてあげて」と、両手を合わせてお願いのポーズ。
私は、
「えー、次男くんもクレーンゲームがやりたいの?
まあいいけど、絶対にとれないと思うよ。」
と答え、次男に25セント硬貨を4枚渡しました。
次男もクレーンゲームに挑戦
「取れなかったらすぐ諦めてくれたらいいけど……」
と思いながら見守る中、次男はコインをマシーンに入れて、ゲームを始めました。
次男にとっても人生初のクレーンゲーム。
レバーやボタンの動かし方もわからず、
「違う、そこじゃない。こっち!」
と長女に大声で叫ばれつづけながら、フラフラとクレーンを動かし初めました。
私は、
「やっぱどうやっても商品はとれなさそうだわ。」
と思いながら、みんなと一緒に彼のクレーンさばきを見ていました。
すると……
不器用に動いていたクレーンのアームが一度開き、高度を下げ、そしてアームが再び閉じかけたとき、
なんというか、閉じかけたクレーンのアームの間にすごいタイミングでボールがひっかかり、
次男はそのままボールをゲットしました。
「すごい!すごい!すごい!!!」
と、手放しで喜ぶ長女と、照れ笑いをする次男。
私は、
「えー、凄すぎる。何も対策立てずに、1回目で取れちゃった……。」
と、驚きを隠せません。
すると、長女がくるっと振り返って言いました。
「お母さん、さっき『絶対取れない』って言ったよね?
でも 世の中に『絶対』なんてものは never 存在しないんだよ。」
……はい、仰る通りです。